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バイオフィルム除去と抗菌は別物?エアフローとオゾン水の役割を解説

Last Updated on 2 days ago by prebeau

「殺菌作用のある水を使えば、歯の表面のバイオフィルムもなくなるのでしょうか?」

「オゾン水で細菌を減らせるなら、エアフローは必要ないのでは?」

「エアフローでバイオフィルムを取れば、抗菌的な処置は必要ない?」

歯科メンテナンスでは、

バイオフィルムを除去すること

細菌に抗菌的に作用すること

が、同じ意味で説明されることがあります。

しかし、科学的にはこの2つは分けて考える必要があります。

実際、2026年に発表された口腔内Streptococcus属を対象とした基礎研究では、オゾン水を含む消毒剤を30秒間作用させることで細菌の生存性には変化がみられた一方、バイオフィルムそのものの物理的な除去は限定的でした。

つまり、

細菌の生存性を低下させること ≠ 歯面に付着したバイオフィルムを取り除くこと

です。

東京・赤坂のPreBeau Oral Careでは、この違いを踏まえ、

GBT・エアフローによる物理的なバイオフィルム管理を基本とし、必要に応じて5ppmオゾン水を抗菌的な補助アプローチとして使用する

という考え方でメンテナンスを行っています。

東京・赤坂のGBT・エアフロー・オゾン水による予防メンテナンス

監修:歯科医師 毛利 国安
PreBeau Oral Care 院長


そもそも「細菌」と「バイオフィルム」は同じではありません

口腔内には非常に多くの微生物が存在しています。

しかし、歯の表面に存在する細菌は、すべてが1個ずつバラバラに浮遊しているわけではありません。

歯面などに付着すると、

  • 複数種類の微生物
  • 微生物が産生する細胞外マトリックス
  • タンパク質
  • 多糖類
  • DNAなど

からなる複雑な構造を形成します。

これがデンタルバイオフィルムです。

一般に「歯垢」「プラーク」と呼ばれるものも、単なる細菌の集合ではなく、構造を持った微生物コミュニティとして考えることが重要です。

そのため、

細菌を殺菌・不活化すること

バイオフィルムという構造そのものを歯面から取り除くこと

は別の処置になります。


2026年研究|30秒抗菌してもバイオフィルムは十分には除去されなかった

この違いを非常に分かりやすく示した研究が2026年に発表されています。

Komatsubaraらは、

  • Streptococcus mutans
  • Streptococcus sanguinis
  • Streptococcus oralis
  • Streptococcus salivarius
  • Streptococcus gordonii
  • Streptococcus mitis

などの口腔Streptococcus属に対して、オゾン水を含む複数の消毒剤を使用しました。

研究では、

細菌がどの程度生存しているか

だけでなく、

形成されたバイオフィルムそのものがどの程度残っているか

も評価しています。

その結果、30秒間の処理では、使用した消毒剤によるバイオフィルムそのものの除去は全体として限定的でした。

一方、細菌の生存性については薬剤によって異なる変化が認められ、オゾン水はこの実験条件下でS. mutansに対して強い抗菌作用を示しました。

参考:

Komatsubara M, et al.
Differential susceptibility of cariogenic and commensal oral Streptococcus species to chemically distinct disinfectants including ozone water in vitro.
Infection Prevention in Practice. 2026.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42222438

この研究から何が分かる?

重要なのは、

「オゾン水が効いた」

という部分だけを見ることではありません。

むしろ歯科メンテナンスを考えるうえでは、

抗菌作用があっても、それだけで付着したバイオフィルムが除去されるとは限らない

という点が非常に重要です。

例えば、

細菌の生存性が低下した

しかしバイオフィルム構造は歯面に残っている

という状態は起こり得ます。

また、この研究はin vitro(実験室内)の研究です。

実際の口腔内には、

  • 唾液
  • 歯肉溝滲出液
  • タンパク質
  • 食物残渣
  • 歯石
  • 複数菌種からなる成熟したバイオフィルム
  • 歯周ポケット
  • 天然歯や修復物の複雑な表面

などが存在します。

したがって、この研究結果をそのまま

「オゾン水を30秒使えば実際の患者様のむし歯菌を十分に殺菌できる」

と解釈することはできません。


オゾン水には強い抗菌作用を示した基礎研究があります

オゾン(O₃)は強い酸化作用を持つ物質です。

水中にオゾンを溶解させたオゾン水については、口腔関連細菌に対する複数の基礎研究があります。

2023年の研究では、4〜6ppmのオゾン・ウルトラファインバブル水が、

  • Streptococcus mutans
  • Streptococcus sobrinus
  • Fusobacterium nucleatum
  • Prevotella intermedia
  • Porphyromonas gingivalis

などに対して検討されました。

その結果、実験室内の**浮遊菌(planktonic culture)**では、30秒以内に生菌数が99%を超えて減少しました。

Takizawa F, et al.
Ozone ultrafine bubble water exhibits bactericidal activity against pathogenic bacteria in the oral cavity and upper airway and disinfects contaminated healthcare equipment.
PLoS One. 2023.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37043490

PreBeau Oral Careで使用している5ppmオゾン水は、この研究で検討された4〜6ppmという濃度範囲に入ります。

しかし、ここでも重要なのは、

浮遊菌への抗菌作用

実際の歯面に形成された成熟バイオフィルムへの作用

を同じものとして扱わないことです。

5ppmオゾン水は口腔細菌にどこまで有効?ミュータンス菌・歯周病菌への研究結果

オゾン水は何秒で作用する?4〜6ppmオゾン水の口腔細菌に対する研究


「99%殺菌」と「99%バイオフィルム除去」はまったく違います

ここは患者様にとって非常に分かりにくい部分です。

例えば研究で、

「生菌数が99%減少した」

と報告されていても、

それは

「歯の表面のバイオフィルムが99%取り除かれた」

という意味ではありません。

生菌数は、

「その条件下で生存していた細菌がどれくらい減少したか」

を表す指標です。

一方、バイオフィルム除去は、

「歯面などに付着している構造物をどれくらい物理的に取り除いたか」

という別の問題です。

この2つを混同すると、

「殺菌水を使えばクリーニングは不要」

という誤った理解につながる可能性があります。


エアフローの役割は「物理的なバイオフィルム管理」

エアフロー(Air Polishing)は、

  • 圧縮空気
  • 専用の微細パウダー

を噴射し、歯面などに付着したバイオフィルムや着色を物理的に除去する方法です。

現在では、エリスリトールなどの低研磨性パウダーを使用する方法も広く研究されています。

PreBeau Oral CareではGBT(Guided Biofilm Therapy)の考え方を取り入れ、

  1. 口腔内と歯周組織を確認する
  2. バイオフィルムを染め出す
  3. 付着している位置を可視化する
  4. エアフローなどでバイオフィルムを除去する
  5. 必要な部位の歯石を除去する
  6. 処置後を確認する
  7. セルフケアにつなげる

という流れを基本としています。

エアフローとは?歯や被せ物への負担を抑えたクリーニングを解説

GBTと従来のPMTCは何が違う?自費メンテナンスの選び方


2026年GBT systematic reviewでは「快適性」などに利点

2026年に発表されたGBTのsystematic reviewでは、5研究・合計231名が評価されています。

GBTは従来の非外科的歯周治療と比較して、

  • 患者満足度
  • 痛み・不快感
  • 処置時間

などの患者中心アウトカムで良好な結果が報告されました。

一方、

  • Bleeding on Probing(BOP)
  • Probing Pocket Depth(PPD)
  • Clinical Attachment Level(CAL)

などの主要な歯周臨床指標については結果が一貫しておらず、GBTが従来法より臨床的に優れていることまでは確立されていません。

Yein N, et al.
Clinical efficacy of Guided Biofilm Therapy in the management of periodontal disease – a systematic review.
BMC Oral Health. 2026.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42032569

したがって、

「GBTだから歯周病がより治る」

と説明するのではなく、

バイオフィルムを可視化して物理的に管理するための一つの方法

として考えることが適切です。

歯周病予防にエアフローは有効?GBTの研究と現在のエビデンス


歯周病メンテナンスの基本は「機械的なプラーク・バイオフィルム管理」

European Federation of Periodontology(EFP)のStage I–III歯周炎に対するS3レベル臨床ガイドラインでも、歯周病治療およびSupportive Periodontal Careにおいて、

Professional Mechanical Plaque Removal(PMPR:専門家による機械的プラーク除去)

が重要な構成要素として位置づけられています。

また、歯周治療後のメンテナンスでは、患者様自身によるセルフケア、リスク因子の管理、定期的な専門的清掃などを組み合わせることが重要とされています。

Sanz M, et al.
Treatment of stage I–III periodontitis—The EFP S3 level clinical practice guideline.
Journal of Clinical Periodontology. 2020.

https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7891343

つまり、

「何で殺菌するか」より先に、「付着したバイオフィルムをどう管理するか」

を考える必要があります。


ではオゾン水には意味がないの?

そういう意味ではありません。

オゾン水については、口腔関連細菌に対する興味深い基礎研究があります。

PreBeau Oral Careでは、

GBT・エアフロー

物理的なバイオフィルム管理

5ppmオゾン水

抗菌作用を期待する補助的なアプローチ

として役割を分けています。

つまり、

バイオフィルムを確認する

物理的に除去する

必要に応じて抗菌的なアプローチを加える

という考え方です。

歯科で使うオゾン水とは?5ppmオゾン水の抗菌作用を研究データから解説

エアフローと5ppmオゾン水を組み合わせた歯科メンテナンスとは


「先にエアフロー、その後オゾン水」なら相乗効果がある?

理論的には、

物理的にバイオフィルムを減らしたあと、抗菌的な処置を行う

という考え方には合理性があります。

しかし、

エアフロー+5ppmオゾン水という組み合わせによって、歯周病予防効果が有意に高くなることが臨床的に確立されているわけではありません。

PreBeau Oral Careと同一条件、

  • GBT
  • エアフロー
  • 5ppmオゾン水

を組み合わせたメンテナンスが、それぞれ単独より優れていることを証明した十分な高品質比較試験は現時点では確認できません。

そのため当院でも、

「相乗効果が証明されている」

「オゾン水を追加すれば歯周病予防効果が何倍になる」

といった説明は行っていません。


オゾン水だけでは歯石も取れません

もう一つ重要なのが歯石です。

歯石は、プラークが石灰化した硬い沈着物です。

オゾン水を使用しても、

歯石そのものを物理的に取り除くことはできません。

また、エアフローも硬く付着した歯石の除去を主目的とする機器ではありません。

必要な場合には、

  • 超音波スケーラー
  • 適切な歯周用器具

などを使用して歯石を除去する必要があります。

したがって歯科メンテナンスは、

「エアフローだけ」

「オゾン水だけ」

という一つの方法で完結するものではありません。


「口の中を完全に殺菌する」ことが目的ではありません

口腔内には、むし歯や歯周病に関連する細菌だけが存在しているわけではありません。

多くの常在微生物が共存しています。

2026年のKomatsubaraらの研究でも、オゾン水に対する感受性はStreptococcusの菌種によって異なっていました。

これは、

口腔内細菌をすべて同じものとして考えるべきではない

ことを示す一つの基礎研究でもあります。

歯科メンテナンスの目的は、

「口の中を無菌にすること」

ではありません。

目的は、

  • 病的なバイオフィルムの蓄積を抑える
  • 歯肉や歯周組織を良好な状態に維持する
  • むし歯・歯周病のリスクを管理する
  • 天然歯をできるだけ長く残す
  • インプラントや修復物を長期的に維持する

ことです。


2026年の臨床レビューでもオゾン水のエビデンスはまだ限定的

オゾン水については基礎研究だけでなく、患者様を対象とした臨床研究もあります。

2026年8月に発表されたsystematic review / meta-analysisでは、オゾン水をプラセボまたはクロルヘキシジンと比較したRCTが評価されました。

短期的なプラーク減少についてオゾン水に良好な傾向は認められましたが、統計学的に明確な差にはならず、エビデンスの確実性はlowと評価されています。

Mohandas R, et al.
Ozonated water as a preventive oral hygiene aid: a systematic review and meta-analysis of its role in reducing dental plaque.
Evidence-Based Dentistry. 2026.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42542467

したがって現時点では、

「オゾン水を使用すれば通常の歯科メンテナンスより優れた臨床結果が得られる」

と断定できる段階ではありません。


PreBeau Oral Careでは「除去」と「抗菌」を分けて考えています

東京・赤坂のPreBeau Oral Careでは、患者様の状態によって内容を調整しますが、基本的には、

1.口腔内・歯周組織を評価

歯肉、歯周ポケット、出血、むし歯、天然歯、インプラント、修復物などを確認します。

2.バイオフィルムを可視化

必要に応じて染め出しを行い、バイオフィルムが残っている場所を確認します。

3.GBT・エアフロー

付着したバイオフィルムや着色を物理的に管理します。

4.必要な歯石を除去

硬く付着した歯石があれば、適切な器具で除去します。

5.必要に応じて5ppmオゾン水

口腔関連細菌への抗菌作用を期待する補助的方法として使用します。

6.セルフケアを確認

歯ブラシ、フロス、歯間ブラシなど、ご自宅での管理方法を確認します。

7.定期的に再評価

リスクに応じて適切なメンテナンス間隔を設定します。


「抗菌作用が強い=優れたメンテナンス」ではありません

歯科メンテナンスについて考えるとき、

「○%殺菌」

「殺菌水を使用」

といった数字や言葉は非常に分かりやすく見えます。

しかし、本当に確認したいのは、

  • 歯周組織を診査しているか
  • バイオフィルムを確認しているか
  • 物理的にバイオフィルムを除去しているか
  • 必要な歯石を除去しているか
  • 天然歯・インプラント・修復物に応じて器具を選択しているか
  • セルフケアにつなげているか
  • 定期的に再評価しているか
  • 基礎研究の結果を臨床効果のように誇張していないか

という点です。

抗菌水はメンテナンス全体の一要素であって、メンテナンスそのものではありません。


まとめ|「取る」と「抗菌する」は役割が違う

歯科メンテナンスでは、

エアフロー

歯面などに付着したバイオフィルムを物理的に除去・管理する

5ppmオゾン水

特定の口腔関連細菌に対する抗菌作用を期待する補助的方法

と、役割を分けて考えることが重要です。

2026年の基礎研究でも、

細菌の生存性を低下させることと、バイオフィルムそのものを除去することは同じではない

ことを示す結果が報告されています。

また、4〜6ppmオゾン水には口腔関連細菌への強いin vitro抗菌作用を示した研究がありますが、実際の患者様における臨床効果についてはまだエビデンスが限定されています。

そのためPreBeau Oral Careでは、

バイオフィルムを物理的に管理することを基本とし、必要に応じて5ppmオゾン水を補助的に組み合わせる

という考え方を採用しています。

「何%殺菌できるか」だけではなく、

どこにバイオフィルムがあり、どう取り除き、どう良好な状態を維持するか

を重視したメンテナンスを行うことが大切です。

東京・赤坂のGBT・エアフロー・5ppmオゾン水による予防メンテナンス


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ミュータンス菌・Porphyromonas gingivalisに対するオゾン水の抗菌効果とは

エアフローと5ppmオゾン水を組み合わせた歯科メンテナンスとは

歯周病菌を減らすには?プロフェッショナルクリーニングと抗菌水の考え方


参考文献

Komatsubara M, Watanabe A, Kuwagi S, et al.
Differential susceptibility of cariogenic and commensal oral Streptococcus species to chemically distinct disinfectants including ozone water in vitro.
Infection Prevention in Practice. 2026.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42222438/

Takizawa F, Domon H, Hiyoshi T, et al.
Ozone ultrafine bubble water exhibits bactericidal activity against pathogenic bacteria in the oral cavity and upper airway and disinfects contaminated healthcare equipment.
PLoS One. 2023.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37043490/

Yein N, Martande S, Shetty SK, et al.
Clinical efficacy of Guided Biofilm Therapy in the management of periodontal disease – a systematic review.
BMC Oral Health. 2026.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42032569/

Mohandas R, Mohapatra S, Poothakulath Krishnan R.
Ozonated water as a preventive oral hygiene aid: a systematic review and meta-analysis of its role in reducing dental plaque.
Evidence-Based Dentistry. 2026.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42542467/

Sanz M, Herrera D, Kebschull M, et al.
Treatment of stage I–III periodontitis—The EFP S3 level clinical practice guideline.
Journal of Clinical Periodontology. 2020.
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7891343/


医療情報について

本記事は、査読済み基礎研究、systematic review、meta-analysisおよび歯周病臨床ガイドラインを参考に、歯科医師・毛利国安が監修しています。

本記事で紹介したオゾン水の抗菌作用に関する研究の多くは、特定の細菌や実験条件を用いたin vitro研究です。

特に、4〜6ppmオゾン水で報告された「99%を超える生菌数減少」は、主として浮遊菌を対象とした実験室内研究の結果であり、実際の患者様の口腔内で同じ割合の細菌減少が起こることを意味するものではありません。

また、2026年の研究では、消毒剤によって細菌の生存性に変化がみられた一方、30秒間の処理ではバイオフィルムそのものの物理的除去は限定的でした。

オゾン水単独、あるいはエアフローと5ppmオゾン水の併用によって、むし歯や歯周病を予防・治療できることを保証するものではありません。

歯科メンテナンスでは、口腔内および歯周組織を診査し、患者様ごとの状態・リスクに応じて、セルフケア、専門的な機械的バイオフィルム管理、必要な歯石除去などを組み合わせることが重要です。

監修:毛利 国安
歯科医師/PreBeau Oral Care 院長
大阪大学歯学部卒業
ミシガン大学 歯周病学分野 Postdoctoral Fellow
UCLA ACT Surgical Implant Dentistry Resident
元 霞が関デンタルオフィス院長
Icon(アイコン)公認講師・KOL