エアフローとは?歯や被せ物への負担を抑えたクリーニングを解説
Last Updated on 3 days ago by prebeau
「歯のクリーニングで使うエアフローとは何ですか?」
「普通のPMTCや歯石取りとは何が違うのでしょうか?」
「セラミックやインプラントが入っていても使えますか?」
エアフロー(Air Polishing)は、水・空気・専用の微細なパウダーを噴射し、歯面などに付着したバイオフィルムや着色を除去する歯科クリーニング方法です。
従来のようにブラシやラバーカップで歯面を一律に研磨する方法とは、汚れへのアプローチが異なります。
特に近年は、粒子の細かいエリスリトールやグリシンなどの低研磨性パウダーが用いられるようになり、天然歯だけでなく、症例に応じてインプラントや修復物周囲のバイオフィルム管理にも使用されています。
ただし、
「エアフローなら歯や被せ物を絶対に傷つけない」
という意味ではありません。
パウダーの種類、噴射時間、距離、角度、対象となる歯面・修復材料などによって影響は異なります。
東京・赤坂のPreBeau Oral Careでは、スイスEMS社のGBT(Guided Biofilm Therapy)認定クリニックとして、エアフローを単なる「着色取り」ではなく、バイオフィルムを管理するためのメンテナンスの一工程として使用しています。
→ 東京・赤坂のGBT・エアフローによる予防クリーニング・歯科メンテナンス
監修:歯科医師 毛利 国安
PreBeau Oral Care 院長
エアフローとは?
歯科でいうエアフローとは、一般的に**Air Polishing(エアポリッシング)**と呼ばれるクリーニング方法です。
専用機器から、
- 水
- 圧縮空気
- 専用パウダー
を噴射し、歯の表面などに付着したバイオフィルムやステインを除去します。
コーヒー、紅茶などによる着色を落とす目的で知られていますが、現在はそれだけではありません。
歯周病やむし歯の予防を考えるうえで重要な歯面のバイオフィルム管理にも利用されています。
スイスEMS社では、このエアフローを含めた予防・メンテナンスの体系を**GBT(Guided Biofilm Therapy)**として構成しています。
EMS公式でもGBTは、予防・治療・メンテナンスにおけるバイオフィルム管理を目的とした、体系的な8ステップのプロトコルとして説明されています。
→ EMS公式|Guided Biofilm Therapy(GBT)について
エアフローは「歯石を取る機械」ではありません
ここはよく誤解されるポイントです。
エアフローが得意なのは、主に
バイオフィルムやステインなどの除去
です。
一方、硬く石灰化して歯面に付着した歯石については、エアフローだけですべて除去できるわけではありません。
そのため実際のメンテナンスでは、
- 口腔内・歯周組織を確認する
- バイオフィルムを確認する
- エアフローでバイオフィルムや着色を除去する
- 残っている歯石を必要な器具で除去する
- 処置後の状態を確認する
というように、複数の方法を組み合わせます。
「エアフロー=歯石取りの代わり」ではありません。
この違いを理解することが大切です。
バイオフィルムとは?
バイオフィルムとは、細菌が集まり、歯面などに付着して形成する構造です。
単に細菌が水の中に浮いている状態とは異なり、複数の微生物が集まり、その周囲をマトリックスと呼ばれる構造が取り囲んでいます。
毎日の歯磨きは、このバイオフィルムを管理するための基本です。
しかし、
- 歯と歯の間
- 奥歯
- 歯肉に近い部分
- 歯列が重なっている部分
- ブリッジ周囲
- インプラント周囲
- 矯正装置周囲
などは、セルフケアだけではバイオフィルムが残りやすい場所です。
歯科医院で行うプロフェッショナルクリーニングでは、こうした部分も確認しながら管理します。
従来のPMTCとエアフローは何が違う?
従来から行われているPMTCでは、ラバーカップやブラシなどに研磨ペーストをつけ、歯面に機械的に接触させて清掃・研磨する方法がよく用いられます。
一方、エアフローでは、パウダーを含む水流を噴射してバイオフィルムや着色にアプローチします。
つまり、
PMTC:器具を歯面へ直接接触させて研磨する方法
エアフロー:水・空気・パウダーを利用して付着物を除去する方法
という違いがあります。
どちらか一方が常に優れているわけではありません。
汚れの種類、歯面、補綴物、知覚過敏の有無などによって、適切な方法を選択することが重要です。
→ GBTと従来のPMTCは何が違う?自費メンテナンスの選び方
エアフローはなぜ歯への負担を抑えやすいの?
現在のエアポリッシングでは、従来の重炭酸ナトリウム(炭酸水素ナトリウム)だけでなく、より粒子の細かい
- グリシン
- エリスリトール
などの低研磨性パウダーが使用されています。
2020年にBMC Oral Healthに掲載された実験研究では、コンポジットレジン表面に対して、
- 炭酸水素ナトリウム:40μm
- グリシン:25μm
- エリスリトール:14μm
のパウダーを比較しています。
その結果、炭酸水素ナトリウムはグリシンやエリスリトールより修復材料表面への影響が大きい傾向が確認されました。
→ PubMed|3種類のエアポリッシングパウダーがコンポジット表面に与える影響
さらに2025年に発表された修復材料に関するシステマティックレビューでも、エアポリッシングや超音波器具による影響は材料ごとに異なるものの、エリスリトールやグリシンなどの低研磨性パウダーは、修復物への影響を抑えるための選択肢として推奨されています。
ただし、ここには重要な注意点があります。
「エアフローなら歯や被せ物を傷つけない」は正確ではありません
エアフローについて、
「歯をまったく傷つけない」
「セラミックやレジンにも完全に安全」
と断定するのは適切ではありません。
2025年の実験研究では、低研磨性パウダーを使用した場合でも、コンポジットレジン表面に一定の材料損失が確認されています。
→ PubMed|低研磨性パウダーによるコンポジット修復物表面への影響
また、2025年のシステマティックレビューでも、
修復材料への影響は「ゼロ」ではなく、材料の種類や器具・パウダーの選択によって異なる
とされています。
そのためPreBeau Oral Careでは、
「エアフローだから安全」と考えるのではなく、対象となる歯・修復物と目的に合わせて機器や方法を選択すること
を大切にしています。
YMYLの観点でも、「傷つけない」と断定するより、
「適切な低研磨性パウダーと使用方法により、従来の高研磨性パウダーなどと比較して表面への負担を抑えることが期待できる」
という表現が、現在のエビデンスに近い説明です。
セラミックが入っている人にもエアフローは使える?
使用できる場合があります。
ただし、「セラミック」と一言でいっても材料は同じではありません。
例えば、
- ジルコニア
- 二ケイ酸リチウム
- 長石系セラミック
- ハイブリッド材料
- コンポジットレジン
などでは表面特性が異なります。
2025年の修復材料に関するシステマティックレビューでは、ジルコニアや二ケイ酸リチウムなどは比較的影響を受けにくい一方、レジン系材料などでは表面変化が起こりやすい可能性が示されています。
→ PubMed|歯科修復物に対するエアポリッシング・超音波器具の影響
したがって、
「被せ物があるからエアフローができない」
わけでも、
「どんな被せ物でも同じ条件でエアフローを当ててよい」
わけでもありません。
修復材料や部位を把握したうえで使用することが重要です。
インプラントにもエアフローは使える?
インプラント周囲のバイオフィルム管理にも、低研磨性パウダーを用いたエアポリッシングが研究されています。
2024年のシステマティックレビューでは、エリスリトールを使用したエアポリッシングについて、15研究が検討されました。
その結果、チタンインプラント表面のバイオフィルム除去に有効性が示され、研究範囲内では重大なインプラント表面・周囲組織への損傷を認めなかったと報告されています。
→ PubMed|Efficacy and safety of erythritol air-polishing in implant dentistry: A systematic review
ただし、これも
「すべてのインプラントにどのような条件でも安全」
という意味ではありません。
インプラント表面、補綴物、周囲組織、ポケットの深さなどを確認したうえで適切な器具を選ぶ必要があります。
→ インプラントやセラミックが多い方にエアフローが向いている理由
歯ぐきの中にもエアポリッシングはできる?
症例によっては、歯肉縁下のバイオフィルム管理にもエアポリッシングが使用されます。
低研磨性のグリシンやエリスリトールを使用したsubgingival air polishing(歯肉縁下エアポリッシング)については、多くの臨床研究があります。
2025年のRCTを対象としたsystematic review / meta-analysisでは、エリスリトール、グリシン、トレハロースを使用した歯肉縁下エアポリッシングが比較され、歯周ポケットの深さなどについてパウダー間の明確な優劣は示されませんでした。
→ PubMed|Subgingival air-polishing powdersに関するsystematic review and meta-analysis
つまり、パウダーの名前だけで治療効果が決まるわけではありません。
歯周病の程度や歯周ポケットの状態を診断し、必要な治療を組み合わせることが重要です。
エアフローは歯周病治療にも有効?
エアポリッシングは、歯周病治療や治療後のメンテナンスで研究されています。
エリスリトールパウダーに関するsystematic reviewでは、歯周ポケットの深さ(PPD)、クリニカルアタッチメントレベル(CAL)、プロービング時出血(BOP)などについて、従来の非外科的歯周治療を一貫して上回るというエビデンスは確認されていません。
グリシンパウダーのsystematic review / meta-analysisでも、患者の疼痛・不快感が少ない可能性は示された一方、PPD、CALなどでは従来法に対する明確な優越性は確認されていません。
→ PubMed|Efficacy of glycine powder air-polishing in supportive periodontal therapy
さらに2026年に発表されたGBT全体のシステマティックレビューでも、患者満足度・疼痛・治療時間といった患者中心のアウトカムでは利点が示されましたが、主要な歯周臨床指標については結果にばらつきがあります。
→ PubMed|2026年 Guided Biofilm Therapy systematic review
したがって、PreBeau Oral Careでは、
「エアフローを使えば歯周病が治る」
とは考えていません。
エアフローは、歯周病の予防・治療・メンテナンスにおけるバイオフィルム管理の一つの方法として位置づけています。
→ 歯周病予防にエアフローは有効?GBTの研究と現在のエビデンス
GBTとエアフローは同じもの?
同じではありません。
これは重要です。
エアフロー=機器・処置方法
であるのに対して、
GBT(Guided Biofilm Therapy)=バイオフィルムを可視化し、評価・清掃・歯石除去・再評価・リコールまで行う体系的なプロトコル
です。
EMSではGBTを8ステップで構成しています。
概念的には、
- Assessment:口腔内の評価
- Disclosure:バイオフィルムの可視化
- Motivation:セルフケア指導
- AIRFLOW:バイオフィルム・ステイン除去
- 必要に応じた歯肉縁下のバイオフィルム管理
- 残存歯石の除去
- Check:処置後の確認
- Recall:リスクに応じた次回来院
という流れです。
つまり、
「エアフローを置いている歯科医院」=「GBTを行っている歯科医院」
とは限りません。
→ GBTと従来のPMTCは何が違う?自費メンテナンスの選び方
PreBeau Oral CareはGBT認定クリニックです
東京・赤坂のPreBeau Oral Careは、スイスEMS社のGBT認定クリニックです。
当院ではEMS社のAIRFLOW Prophylaxis Masterを導入し、エアフローを単純なステイン除去だけに使用するのではなく、バイオフィルムを確認しながら行う予防メンテナンスの一工程として使用しています。
→ PreBeau Oral Care|GBT認定クリニックの予防クリーニング
一方で、当院でもすべての患者様に同じ処置を行うわけではありません。
必要に応じて、
- エアフロー
- PMTC
- 超音波による歯石除去
- 歯周組織の評価
- インプラント・修復物の確認
- セルフケア指導
- 5ppmオゾン水
などを組み合わせます。
「エアフローを受けること」が目的ではなく、「現在ある歯や修復物をできるだけ長く維持すること」が目的だからです。
エアフローと5ppmオゾン水の役割は違います
PreBeau Oral Careでは、必要に応じて5ppmオゾン水も使用しています。
しかし、
エアフローとオゾン水は同じ目的の処置ではありません。
エアフローは主として、歯面などに存在するバイオフィルムや着色を物理的に除去する方法です。
一方、オゾン水には、特定の口腔関連細菌に対する抗菌作用を示す基礎研究があります。
そのため当院では、
物理的なバイオフィルム管理
と
抗菌的なアプローチ
を区別して考えています。
→ エアフローと5ppmオゾン水を組み合わせた歯科メンテナンスとは
→ バイオフィルム除去と抗菌は別物?エアフローとオゾン水の役割を解説
エアフローがおすすめされることがある方
エアフローは、例えば次のような方で選択肢になることがあります。
- コーヒー・紅茶などの着色が気になる
- 定期的にバイオフィルム管理を受けたい
- 歯と歯の間に汚れが残りやすい
- 矯正装置が入っている
- インプラントがある
- セラミックなどの修復物が多い
- 従来の回転ブラシによる研磨が苦手
- 予防目的で定期的に歯科医院へ通いたい
ただし、実際に適しているかどうかは口腔内の状態によって異なります。
エアフローだけで十分ではないこともあります
例えば、
- 大量の歯石がある
- 深い歯周ポケットがある
- 歯肉から強い出血がある
- 進行した歯周病が疑われる
- むし歯がある
- インプラント周囲炎が疑われる
といった場合は、通常のクリーニングとは別の診断・治療が必要になることがあります。
「エアフローを受けたから大丈夫」ではなく、まず診断が重要です。
これは自費クリーニングでも同じです。
→ 自費クリーニングは何が違う?時間をかけたバイオフィルム管理と予防歯科
赤坂でエアフロー・GBTによる歯科クリーニングをお探しの方へ
エアフローは、単なる「歯を白くする機械」ではありません。
適切に使用することで、
バイオフィルムやステインを効率的に除去し、予防メンテナンスを行うための選択肢
になります。
一方、
「エアフローなら歯を絶対に傷つけない」
「エアフローだけで歯周病を治療できる」
「どのパウダーでも同じ」
という理解は正確ではありません。
歯や歯周組織、修復物、インプラントの状態を確認し、適切なパウダー・器具・処置方法を選択することが重要です。
PreBeau Oral Careでは、GBT認定クリニックとしてエアフローを予防メンテナンスの一部として使用し、必要に応じてPMTC、歯石除去、5ppmオゾン水などを組み合わせています。
「汚れてからきれいにする」だけではなく、「できるだけ治療を必要としない状態を維持する」。
それが当院のメンテナンスの考え方です。
→ 東京・赤坂のGBT・エアフロー・5ppmオゾン水による自費メンテナンス
関連記事
インプラントやセラミックが多い方にエアフローが向いている理由
歯周病予防にエアフローは有効?GBTの研究と現在のエビデンス
エアフローと5ppmオゾン水を組み合わせた歯科メンテナンスとは
バイオフィルム除去と抗菌は別物?エアフローとオゾン水の役割を解説
自費クリーニングは何が違う?時間をかけたバイオフィルム管理と予防歯科
参考文献・外部資料
EMS
Guided Biofilm Therapy(GBT)について
Yein N, et al.
Clinical efficacy of Guided Biofilm Therapy in the management of periodontal disease – a systematic review
BMC Oral Health. 2026.
Francis B, et al.
Efficacy and safety of erythritol air-polishing in implant dentistry: A systematic review
Janiszewska-Olszowska J, et al.
Effect of air-polishing on surface roughness of composite dental restorative material – comparison of three different air-polishing powders
BMC Oral Health. 2020.
医療情報について
本記事は、メーカー公式情報だけでなく、査読済み学術論文・システマティックレビューなどを参考に、歯科医師・毛利国安が監修しています。
エアフローの適応、使用するパウダー、処置方法は、天然歯・歯周組織・修復材料・インプラントの状態などによって異なります。
低研磨性パウダーであっても修復材料への影響が完全にゼロであることを保証するものではありません。また、エアポリッシングがすべての歯周病治療において従来法より優れていることを示すものでもありません。
実際の診療では口腔内を確認し、必要に応じて他のクリーニング・歯周治療方法と組み合わせて使用します。
監修:毛利 国安
歯科医師/PreBeau Oral Care 院長
大阪大学歯学部卒業
ミシガン大学 歯周病学分野 Postdoctoral Fellow
UCLA ACT Surgical Implant Dentistry Resident
元 霞が関デンタルオフィス院長
Icon(アイコン)公認講師・KOL