オゾン水は何秒で作用する?4〜6ppmオゾン水の口腔細菌に対する研究
Last Updated on 3 days ago by prebeau
「オゾン水は何秒くらいで細菌に作用するのでしょうか?」
「5ppmのオゾン水なら、10秒や30秒でも効果がありますか?」
「30秒で99%以上減少するというのは、本当でしょうか?」
歯科でオゾン水について調べると、**「10秒」「30秒」「99%以上」**といった数字を見かけることがあります。
実際、口腔細菌を対象とした基礎研究では、比較的短時間で強い抗菌作用を示した結果があります。
代表的なものとして、
- 約4ppmのオゾン水を10秒作用
- 4〜6ppmのオゾン・ウルトラファインバブル水を30秒以内作用
させた研究があります。
2004年の研究では、4mg/L(約4ppm)のオゾン水を10秒間作用させると、ほとんどの試験微生物が検出されなくなるレベルまで減少しました。
また2023年の研究では、4〜6ppmのオゾン・ウルトラファインバブル水によって、
- Streptococcus mutans
- Streptococcus sobrinus
- Fusobacterium nucleatum
- Prevotella intermedia
- Porphyromonas gingivalis
などの浮遊菌の生菌数が30秒以内に99%を超えて減少しました。
しかし、ここで最も重要なのは、
「5ppmオゾン水を実際の患者様のお口に10秒または30秒使用すれば、口腔内細菌を同じ割合で減らせる」
という意味ではないことです。
研究ごとに、
- オゾン濃度
- オゾン水の生成方法
- 対象菌
- 浮遊菌かバイオフィルムか
- 有機物の量
- 温度
- 接触方法
などが異なります。
東京・赤坂のPreBeau Oral Careでは必要に応じて5ppmオゾン水を使用していますが、研究結果をそのまま患者様へ当てはめるのではなく、GBT・エアフローによる物理的なバイオフィルム管理を基本としたうえで補助的に使用しています。
→ 東京・赤坂のGBT・エアフロー・5ppmオゾン水による自費メンテナンス
監修:歯科医師 毛利 国安
PreBeau Oral Care 院長
オゾン水は「何秒で効く」と一律には決められない
まず、オゾン水には、
「○ppmなら○秒で必ず効く」
という固定された時間があるわけではありません。
抗菌作用は、
- オゾン濃度
- 対象となる菌種
- 細菌数
- 浮遊菌かバイオフィルムか
- 唾液やタンパク質などの有機物
- 温度
- 接触時間
- オゾン水の生成方式
などによって変わります。
したがって「何秒?」という質問に対する正確な答えは、
実験条件によって異なる
となります。
そのうえで、口腔関連菌を対象とした研究では10〜30秒という比較的短い接触時間で強いin vitro抗菌作用が報告されている、というのが現在言えることです。
約4ppmオゾン水|10秒で強い抗菌作用を示した2004年研究
オゾン水の作用時間を考えるうえで重要なのが、2004年に九州歯科大学の研究グループから報告された研究です。
この研究では4mg/L(約4ppm)のオゾン水が複数の口腔微生物に使用されました。
10秒間処理したところ、ほとんどの微生物が検出されないレベルまで減少しました。
Streptococcus mutansについてLIVE/DEAD stainingを行った結果でも、オゾン水による速やかな細胞死が確認されています。
さらに電子顕微鏡による観察では、オゾン水処理後のS. mutansの一部に細胞構造の破壊が確認されています。
つまり、
約4ppmという比較的低濃度でも、実験条件下では10秒という短時間で口腔細菌へ強く作用した
ということです。
10秒という結果は歯垢でも検討されている
2004年研究では、単純な細菌懸濁液だけが調べられたわけではありません。
実験的に形成した歯垢についてもオゾン水を使用し、生存するS. mutansが著しく減少しました。
ヒトから採取した歯垢についても検討されています。
これは、オゾン水の口腔細菌への抗菌作用を考えるうえで重要です。
ただし、歯垢を採取して実験室内で処理した研究と、
実際の患者様の歯面・歯周ポケット内で使用する臨床条件
は同じではありません。
そのため「4ppm・10秒」という結果をそのまま診療上の殺菌率として表示することは適切ではありません。
4〜6ppm|30秒以内に99%を超えて減少した2023年研究
より新しい重要な研究が2023年に報告されています。
この研究では、**4〜6ppmのOzone Ultrafine Bubble Water(OUFBW:オゾン・ウルトラファインバブル水)**を使用しました。
対象となった口腔関連菌には、
- Streptococcus mutans
- Streptococcus sobrinus
- Fusobacterium nucleatum
- Prevotella intermedia
- Porphyromonas gingivalis
などが含まれています。
これらの**planktonic culture(浮遊菌)**を4〜6ppm OUFBWへ曝露したところ、
30秒以内に生菌数が99%を超えて減少
しました。
→ 5ppmオゾン水は口腔細菌にどこまで有効?ミュータンス菌・歯周病菌への研究結果
PreBeau Oral Careで使用する5ppmは、この研究で検討された4〜6ppmの範囲に入ります。
しかし、
濃度範囲が一致する=臨床でも同じ結果
ではありません。
「30秒で99%減少」は何を意味する?
ここは非常に重要です。
99%減少というのは、
菌が完全にゼロになった
という意味ではありません。
例えば100万個の生菌があった場合、
100万
↓
1万
になれば99%減少です。
また、2023年研究で「99%を超える減少」が確認されたのは主に浮遊菌です。
したがって、
「4〜6ppmなら30秒で歯垢を99%除去できる」
という意味でもありません。
浮遊菌なら30秒、バイオフィルムでも30秒でよい?
そうとは言えません。
浮遊菌とバイオフィルムは、抗菌剤に対する条件が大きく異なります。
浮遊菌
液体中に存在している細菌です。
オゾン水が細胞へ直接接触しやすい環境です。
バイオフィルム
細菌が歯面などへ付着し、複数菌種と細胞外マトリックスによって立体的な構造を形成した状態です。
実際の歯垢に近いのはこちらです。
バイオフィルムでは、外側の細菌やマトリックスが抗菌剤の作用に影響する可能性があります。
そのため、
浮遊菌で30秒 → 99%以上減少
という結果を、
口腔内バイオフィルムで30秒 → 99%以上減少
へ置き換えることはできません。
2026年研究|30秒でS. mutansに作用してもバイオフィルム除去は限定的
2026年には、オゾン水を含む複数の消毒剤を、
- Streptococcus mutans
- S. sanguinis
- S. oralis
- S. salivarius
- S. gordonii
- S. mitis
などへ使用したin vitro研究が報告されました。
この研究では30秒間処理しています。
オゾン水はS. mutansに対して強い抗菌作用を示唆する結果を示しました。
一方、crystal violet stainingによる評価では、
30秒間処理しただけではバイオフィルムそのものの除去効果は限定的
でした。
これは歯科メンテナンスを考えるうえで非常に重要です。
細菌を不活化すること
と
バイオフィルムそのものを歯面から除去すること
は別の現象だからです。
→ バイオフィルム除去と抗菌は別物?エアフローとオゾン水の役割を解説
P. gingivalisでは濃度と時間の両方が重要
2025年には、Porphyromonas gingivalisに対するOUFBWの作用を詳しく調べた研究が報告されました。
この研究では、
0.25〜3.8ppm
のOUFBWを使用し、
0〜30秒
の範囲で作用時間を変えています。
その結果、P. gingivalisは濃度と時間に依存して減少しました。
特定条件では、1.25ppmおよび3.8ppmでも生菌数が検出限界未満となりました。
つまり、
作用時間だけを見るのではなく、「濃度 × 時間」として考える必要がある
ことが分かります。
→ ミュータンス菌・Porphyromonas gingivalisに対するオゾン水の抗菌効果とは
30秒でP. gingivalisやA. actinomycetemcomitansが検出限界未満になった研究もある
オゾン・ナノバブル水を歯周病関連菌へ使用した別のin vitro研究もあります。
対象は、
- Porphyromonas gingivalis
- Aggregatibacter actinomycetemcomitans
です。
オゾン・ナノバブル水へ0.5分=30秒間曝露したところ、両菌ともCFUが研究の検出限界未満まで低下しました。
一方、この研究では3次元ヒト口腔組織モデルを用いた細胞毒性評価も実施され、大きな細胞毒性は認められなかったと報告されています。
ただし、ここでも注意が必要です。
この研究で使用されたオゾン・ナノバブル水と、PreBeau Oral Careで使用する5ppmオゾン水が同一の製剤・生成方法であるわけではありません。
したがって、
「PreBeauの5ppmオゾン水ならP. gingivalisを30秒で完全殺菌する」
とは表現できません。
10秒と30秒、どちらが正しい?
どちらか一方が正しいという話ではありません。
2004年研究
約4ppm
↓
10秒
↓
口腔微生物に強い抗菌作用
2023年研究
4〜6ppm OUFBW
↓
30秒以内
↓
複数の口腔・上気道関連菌の浮遊菌で99%を超える生菌数減少
歯周病関連菌のナノバブル研究
オゾン・ナノバブル水
↓
30秒
↓
P. gingivalis、A. actinomycetemcomitansが検出限界未満
2025年P. gingivalis研究
0.25〜3.8ppm OUFBW
+
0〜30秒
↓
濃度・時間に依存した抗菌作用
というように、研究条件がそれぞれ違います。
したがって、
「オゾン水は10秒で効く」
「30秒必要」
という二者択一ではありません。
オゾン水の種類によっても結果は違う
研究論文では、
ozonated water
だけではなく、
ozone ultrafine bubble water(OUFBW)
ozone nano-bubble water
などが使用されています。
これらは完全に同じものではありません。
オゾン水の大きな問題のひとつは、オゾンが時間とともに分解しやすいことです。
ウルトラファインバブル技術などは、水中でオゾンをより長く維持することを目的のひとつとして研究されています。
したがって、
同じ「4ppm」や「5ppm」と記載されていても、生成方式が違えば性質が同一とは限りません。
研究を読むときには濃度だけではなく、どの種類のオゾン水なのかを見る必要があります。
有機物があると作用時間は変わる可能性がある
実際の口腔内には、
- 唾液
- タンパク質
- 血液
- 歯肉溝滲出液
- 食物残渣
- 細胞
- バイオフィルム
などの有機物が存在します。
オゾンは反応性の高い酸化剤です。
そのため細菌だけでなく、周囲に存在するさまざまな物質とも反応します。
これは、
純粋な細菌懸濁液で10〜30秒作用した研究と、実際の口腔内で同じ時間作用させることが同じではない
理由のひとつです。
0.1ppmを30秒洗口した研究ではどうだった?
興味深いことに、かなり低濃度のオゾン水を実際の口腔内で使用した研究もあります。
0.1ppmオゾン水を使用し、30秒間洗口した研究では、24時間形成させた歯肉縁上プラーク中の、
- 総細菌数
- 嫌気性菌
が有意に減少しました。
一方、Streptococcus mutansについては減少傾向はあったものの、統計学的有意差には達しませんでした。
また、細菌が完全に除去されたわけでもありません。
この研究からも、
in vitroの高濃度・浮遊菌研究と、実際の口腔内での短時間洗口では結果が異なる
ことが分かります。
長く作用させれば作用は必ず強くなる?
一般的には接触時間が長くなれば、抗菌作用が増える可能性があります。
2025年のP. gingivalis研究でも、濃度と時間の両方による影響が確認されています。
しかし、
長ければ長いほど臨床的に良い
とは単純には言えません。
歯科で使用する場合には、
- 必要な抗菌作用
- 口腔組織への影響
- 処置時間
- オゾンの分解
- 他の物理的処置との組み合わせ
などを考える必要があります。
抗菌作用だけを最大化することが歯科メンテナンスの目的ではありません。
「殺菌時間」より「何に作用させるか」が重要
歯科で、
「10秒なら十分ですか?」
「30秒なら全部殺菌できますか?」
という時間だけを考えるのは十分ではありません。
例えば、
浮遊しているS. mutans
と、
成熟した歯垢内部に存在するS. mutans
では状態が違います。
同じ細菌であっても、
- 浮遊菌
- 初期バイオフィルム
- 成熟バイオフィルム
では抗菌剤への感受性が異なる可能性があります。
そのため、
「何秒か」より「何に対して、何ppmを、どの条件で作用させた研究なのか」
を見ることが重要です。
エアフローなら「バイオフィルムを物理的に除去」できる
ここで、エアフローとオゾン水の役割が明確になります。
5ppmオゾン水
細菌に対して抗菌的に作用することを期待する方法
エアフロー
歯面などに付着したバイオフィルムを物理的に除去する方法
です。
2026年研究でも、30秒間の抗菌処理だけではバイオフィルム除去は限定的でした。
そのためPreBeau Oral Careでは、
オゾン水でバイオフィルムを「溶かしてなくす」
という考え方ではなく、
まずバイオフィルムを物理的に管理し、必要に応じて抗菌的アプローチを組み合わせる
という考え方を採用しています。
→ エアフローと5ppmオゾン水を組み合わせた歯科メンテナンスとは
PreBeau Oral Careでは「○秒で99%殺菌」とは説明しません
東京・赤坂のPreBeau Oral Careでは、必要に応じて5ppmオゾン水を使用しています。
しかし、
「5ppmオゾン水なら10秒で殺菌できます」
「30秒で口腔内細菌を99%殺菌できます」
という説明は行いません。
現在の研究から適切に説明すると、
「約4ppmのオゾン水を10秒作用させ、口腔微生物が著しく減少したin vitro研究があります」
また、
「4〜6ppmのオゾン・ウルトラファインバブル水では、複数の口腔関連菌の浮遊菌が30秒以内に99%を超えて減少したin vitro研究があります」
となります。
この「実験条件」を省略しないことが重要です。
5ppmオゾン水について、時間別に整理すると
約4ppm・10秒
複数の口腔微生物で非常に強い抗菌作用が報告。
4〜6ppm・30秒以内
S. mutans、S. sobrinus、F. nucleatum、P. intermedia、P. gingivalisなどの浮遊菌が99%を超えて減少。
オゾン・ナノバブル水・30秒
P. gingivalis、A. actinomycetemcomitansが検出限界未満となったin vitro研究あり。
0.25〜3.8ppm・0〜30秒
P. gingivalisに濃度・時間依存的な抗菌作用。
30秒でも
2026年研究では、バイオフィルム構造そのものの除去は限定的。
つまり、
「10〜30秒で強い抗菌作用を示した基礎研究は複数ある。ただし、実際の歯垢を10〜30秒ですべて除去・殺菌できるという意味ではない」
というのが適切なまとめです。
歯科メンテナンスで重要なのは「何秒殺菌するか」だけではない
実際の予防歯科で重要なのは、
- 歯周組織を診査する
- バイオフィルムの場所を確認する
- バイオフィルムを物理的に除去する
- 必要な歯石を除去する
- セルフケアを改善する
- 必要に応じて抗菌的手段を利用する
- 定期的に再評価する
という一連の管理です。
オゾン水の10秒・30秒という研究結果は興味深いものですが、それだけで歯科メンテナンスの質は決まりません。
PreBeau Oral Careでは、
GBT・エアフローによるバイオフィルム管理を基本とし、5ppmオゾン水を必要に応じて組み合わせる
ことで、物理的アプローチと抗菌的アプローチの役割を分けています。
→ 東京・赤坂のGBT・エアフロー・5ppmオゾン水による自費歯科メンテナンス
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参考文献
Nagayoshi M, et al.
Efficacy of ozone on survival and permeability of oral microorganisms.
Oral Microbiology and Immunology. 2004.
PMID: 15209994.
Takizawa F, et al.
Ozone ultrafine bubble water exhibits bactericidal activity against pathogenic bacteria in the oral cavity and upper airway and disinfects contaminated healthcare equipment.
PLoS One. 2023.
PMID: 37043490.
Endo M, et al.
Ozone ultrafine bubble water sterilizes Porphyromonas gingivalis and neutralizes its virulence factors.
PLoS One. 2025.
PMID: 41086175.
Komatsubara M, et al.
Differential susceptibility of cariogenic and commensal oral Streptococcus species to chemically distinct disinfectants including ozone water in vitro.
Infection Prevention in Practice. 2026.
PMID: 42222438.
Hayakumo S, et al.
Effects of ozone nano-bubble water on periodontopathic bacteria and oral cells – in vitro studies.
Science and Technology of Advanced Materials.
PMID: 27877715.
医療情報について
本記事は、査読済みのin vitro研究などを参考に、歯科医師・毛利国安が監修しています。
本記事で紹介した「10秒」「30秒」「99%以上」という数値は、特定の濃度・生成方法・菌種・実験条件で得られた研究結果です。
約4ppmのオゾン水を10秒使用した研究や、4〜6ppmのオゾン・ウルトラファインバブル水を30秒以内作用させた研究がありますが、PreBeau Oral Careで使用する5ppmオゾン水が実際の患者様の口腔内で同一の作用時間・抗菌率を示すことを保証するものではありません。
また、2026年のin vitro研究では30秒間の抗菌処理でもバイオフィルムそのものの除去は限定的でした。
実際の歯科メンテナンスでは、オゾン水の作用時間だけではなく、物理的なバイオフィルム除去、必要な歯石除去、セルフケア、歯周組織の診査、継続的なメンテナンスを組み合わせることが重要です。
監修:毛利 国安
歯科医師/PreBeau Oral Care 院長
大阪大学歯学部卒業
ミシガン大学 歯周病学分野 Postdoctoral Fellow
UCLA ACT Surgical Implant Dentistry Resident
元 霞が関デンタルオフィス院長
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