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歯周病予防にエアフローは有効?GBTの研究と現在のエビデンス

Last Updated on 3 days ago by prebeau

「エアフローを受ければ歯周病を予防できますか?」

「GBTは普通の歯石取りより歯周病に効果がありますか?」

「エアフローで歯周病菌を除去すれば、歯周病にならなくなるのでしょうか?」

エアフロー(Air Polishing)やGBT(Guided Biofilm Therapy)は、近年の歯科メンテナンスでよく使用されるようになっています。

特にエアフローは、水・空気・微細なパウダーを使用して歯面や歯肉周囲のバイオフィルムを物理的に除去する方法であり、歯周病予防・歯周治療後のメンテナンスにおけるバイオフィルム管理の選択肢として研究されています。

しかし、結論を先に言うと、

「エアフローを受ければ歯周病を予防できる」
「GBTなら従来の歯周治療より必ず優れている」

と断定できる科学的根拠はありません。

現在のエビデンスでは、

  • バイオフィルム除去に利用できる
  • 患者の痛み・不快感を抑えやすい可能性がある
  • 処置時間を短縮できる可能性がある
  • 歯周治療後のメンテナンスで使用できる

といった利点が示される一方、歯周ポケットの深さやアタッチメントレベルなどの主要な歯周臨床指標について、従来法より一貫して優れているとは示されていません。

東京・赤坂のPreBeau Oral Careでは、このエビデンスを踏まえ、GBT・エアフローを「万能な歯周病治療」としてではなく、バイオフィルムを管理するための自費メンテナンスの一部として使用しています。

東京・赤坂のGBT・エアフローによる予防歯科・自費メンテナンス

監修:歯科医師 毛利 国安
PreBeau Oral Care 院長


まず、歯周病とバイオフィルムの関係を理解する

歯周病は、歯肉や歯を支える組織に炎症が起こる疾患です。

その発症・進行には、歯面や歯肉周囲に形成される細菌性バイオフィルムが重要な役割を持っています。

バイオフィルムは、単に細菌が歯の表面に付着しているだけではありません。

細菌が集まり、細胞外マトリックスなどに包まれた複雑な構造を形成しています。

そのため歯周病の予防・管理では、

「口腔内を殺菌する」だけではなく、バイオフィルムそのものを継続的に除去・管理すること

が重要です。

毎日の歯磨きや歯間清掃がその基本ですが、

  • 歯と歯の間
  • 奥歯
  • 歯肉に近い部分
  • 深い歯周ポケット
  • 歯列が重なった部分
  • インプラント周囲

などは、セルフケアだけでは管理が難しい場合があります。

そこで歯科医院で行うProfessional Mechanical Plaque Removal(PMPR:専門家による機械的プラーク除去)が重要になります。


歯周病予防の基本は「定期的なプロフェッショナルケア+セルフケア」

European Federation of Periodontology(EFP)のStage I–III歯周炎に対するS3レベル臨床ガイドラインでは、歯周治療後の患者に**Supportive Periodontal Care(SPC)**を継続することが推奨されています。

SPCには、

  • 歯周組織の状態確認
  • 全身・リスク因子の確認
  • セルフケアの指導・強化
  • Professional Mechanical Plaque Removal
  • 必要な部位への歯肉縁下処置

などが含まれます。

さらに、メンテナンス間隔は一律ではなく、患者のリスクや歯周状態に応じて3〜12か月の範囲で設定することが推奨されています。

EFP|Stage I–III歯周炎に対するS3レベル臨床ガイドライン

つまり、

エアフローを使うかどうかより、継続的な歯周管理そのものが重要

ということです。


エアフローは歯周病予防で何をしている?

エアフローは、水・空気・専用パウダーを噴射して、歯面などに付着したバイオフィルムや着色を除去します。

現在は、

  • エリスリトール
  • グリシン

などの低研磨性パウダーが使用されることが多く、歯肉縁上だけでなく、症例によっては歯肉縁下のバイオフィルム管理にも利用されています。

歯周病予防という観点では、エアフローそのものが歯周病を「治す」のではなく、

歯周病の原因に関与するバイオフィルムを物理的に管理する

という役割があります。

エアフローとは?歯や被せ物への負担を抑えたクリーニングを解説


GBTとは?エアフローとの違い

GBTは、Guided Biofilm Therapyの略です。

GBTでは、

  1. 口腔内・歯周組織を確認
  2. バイオフィルムを染め出して可視化
  3. 磨き残しを患者様と確認
  4. エアフローなどでバイオフィルムを除去
  5. 必要に応じて歯肉縁下を管理
  6. 残った歯石を除去
  7. 最終確認
  8. リスクに応じた次回来院を設定

という一連の流れを行います。

したがって、

エアフロー=処置方法

に対して、

GBT=バイオフィルムの評価からメンテナンスまでを含むプロトコル

です。

GBTと従来のPMTCは何が違う?自費メンテナンスの選び方


2026年の最新systematic reviewではGBTはどう評価された?

2026年4月、BMC Oral HealthにGBTと従来の非外科的歯周治療を比較したsystematic reviewが発表されました。

5研究、合計231名が対象となっています。

研究ではGBTと、従来のScaling and Root Debridement(SRD:スケーリング・ルートデブライドメント)などが比較されました。

その結果、GBTでは、

  • 患者満足度が高い傾向
  • 痛み・不快感が少ない傾向
  • 処置時間が短い傾向
  • 術者側の快適性

など、patient-centered outcomes(患者中心の評価)で利点が示されました。

PubMed|Clinical efficacy of Guided Biofilm Therapy in the management of periodontal disease – a systematic review

一方、

  • BOP:プロービング時出血
  • CAL:クリニカルアタッチメントレベル
  • PPD:歯周ポケットの深さ

などの主要な歯周臨床指標については、結果が研究によって異なりました。

したがって研究者らは、

GBTは患者中心のアウトカムでは有望だが、主要な歯周臨床指標について従来法を一貫して上回るとは言えない

と結論づけています。


「快適だから効果が弱い」という意味でもありません

ここも誤解しやすいポイントです。

GBTで痛みや不快感が少ないという結果を見ると、

「優しいクリーニングだから、歯周病への効果は弱いのでは?」

と思うかもしれません。

しかし、

患者にとって快適であること

臨床的なプラーク・バイオフィルム管理ができること

は両立します。

むしろ定期的なメンテナンスでは、

「痛くて毎回受けたくない」

という処置よりも、患者様が継続しやすい方法であることには臨床的な意味があります。

一方で、患者快適性が高いことを理由に、

「歯周病治療として従来法より優れている」

と結論づけることはできません。


エリスリトール・エアポリッシングの研究では?

エリスリトールパウダーを使用したAir Polishingについてもsystematic reviewがあります。

2022年のsystematic reviewでは、非外科的歯周治療におけるエリスリトール・エアポリッシングを評価した7つの臨床試験が検討されました。

その結果、活動期歯周治療の6か月後、またSupportive Periodontal Therapyの3か月後において、

  • PPD
  • CAL
  • BOP

について、従来の非外科的歯周治療に対する統計学的に有意な優越性は認められませんでした。

PubMed|Effectiveness and Clinical Performance of Erythritol Air-Polishing in Non-Surgical Periodontal Therapy

つまり、

エリスリトールを使えば歯周病がより改善する

とまでは現在のエビデンスでは言えません。


グリシンパウダーではBOPや痛みに違いが出た研究もある

グリシンパウダーを用いたAir Polishingについては、2021年のsystematic review / meta-analysisがあります。

17研究を解析した結果、Supportive Periodontal Therapyにおいて、グリシンパウダー・エアポリッシングはハンドインスツルメントと比較して、BOPが平均約8ポイント低い結果となりました。

また、超音波スケーリングと比較して、患者の痛み・不快感も少ない傾向が示されています。

PubMed|Efficacy of glycine powder air-polishing in supportive periodontal therapy

一方で、

  • PPD
  • CAL
  • 歯肉退縮
  • Plaque Index

などについては、従来法に対する明確な優越性は確認されませんでした。

この研究も、

エアポリッシングは有用な選択肢だが、すべての歯周臨床指標で従来法を上回るわけではない

という現在の考え方と一致しています。


エリスリトール、グリシン、どちらが優れている?

「どのパウダーが一番歯周病に効きますか?」

という質問もあります。

2025年に発表されたsystematic review / network meta-analysisでは、

  • エリスリトール
  • グリシン
  • トレハロース

を使用した歯肉縁下Air Polishingが比較されています。

9つのRCT、合計462名が対象となりました。

PPDについて、3種類のパウダー間に統計学的に明確な差は認められていません。

PubMed|Clinical effects of erythritol, glycine and trehalose as subgingival air-polishing powders

したがって、

「エリスリトールだから絶対に優れている」
「グリシンだから歯周病によく効く」

といった単純な比較は適切ではありません。

パウダーだけでなく、

  • 歯周病の状態
  • ポケットの深さ
  • 使用する器具
  • パウダーの粒径
  • 使用時間
  • メンテナンス頻度
  • 患者のセルフケア

なども重要です。


エアフローだけで歯周病治療は完結しません

歯周病が進行している場合、

  • 歯肉縁下歯石
  • 深い歯周ポケット
  • 根面への沈着物
  • 骨吸収
  • 歯の動揺

などが存在することがあります。

このような場合、エアフローだけですべての問題に対応することはできません。

必要に応じて、

  • スケーリング
  • 超音波デブライドメント
  • 歯肉縁下処置
  • 歯周基本治療
  • 再評価
  • 症例によっては外科的治療

などが必要になります。

したがってPreBeau Oral Careでは、

「エアフローを使うこと」ではなく、「現在の歯周状態を確認して必要な処置を行うこと」

を優先しています。


エアフローと歯石除去は役割が違う

歯周病予防を考えるとき、

バイオフィルム

歯石

を分けて考えることも重要です。

エアフローは主にバイオフィルムや着色の除去を得意とします。

一方、石灰化して硬く歯面に付着した歯石については、超音波スケーラーなどの器具が必要になる場合があります。

したがって、

エアフロー vs 歯石取り

ではありません。

状況によって両方を使い分けることが重要です。


歯周病予防では「患者自身のセルフケア」が欠かせません

どれだけ高度なクリーニングを受けても、歯科医院にいる時間は1年間のごく一部です。

バイオフィルムは再び形成されます。

そのため、

  • 歯ブラシ
  • フロス
  • 歯間ブラシ
  • 必要に応じたその他のセルフケア

を継続することが歯周病予防の基本です。

GBTでバイオフィルムを染め出すメリットのひとつは、

自分がどこを磨き残しているのかを視覚的に確認できること

です。

「歯科医院で汚れを取ってもらう」だけでなく、

次回まで自分で管理できる状態をつくる

こともメンテナンスの目的です。


歯周病予防では定期メンテナンスの間隔も重要

EFPのガイドラインでは、歯周治療後のSPCを3〜12か月の範囲で患者ごとのリスクに応じて設定することを推奨しています。

つまり、

「3か月ごとなら全員正解」

でも、

「半年に1回で十分」

でもありません。

例えば、

  • 歯周病歴
  • 残存ポケット
  • 出血
  • プラークコントロール
  • 喫煙
  • 糖尿病などの全身的リスク
  • インプラント
  • セルフケア

などを考慮して設定します。

EFP|Supportive Periodontal Careの推奨


歯周病菌を「殺菌すれば解決」ではありません

歯周病について、

「歯周病菌を99%殺菌すれば予防できるのでは?」

という考え方もあります。

しかし、口腔内は無菌にする場所ではありません。

また、バイオフィルムは単純な浮遊菌より複雑な構造を持っています。

そのためPreBeau Oral Careでは、

バイオフィルムを物理的に除去すること

抗菌的なアプローチ

を分けて考えています。

当院では必要に応じて5ppmオゾン水も使用していますが、オゾン水だけで歯周病を予防・治療できるとは考えていません。

GBT・エアフローなどによる物理的なバイオフィルム管理を基本に、必要に応じて補助的に使用します。

バイオフィルム除去と抗菌は別物?エアフローとオゾン水の役割を解説

歯周病菌を減らすには?プロフェッショナルクリーニングと抗菌水の考え方


インプラントがある方ではさらにバイオフィルム管理が重要

歯周病歴があり、さらにインプラントも入っている方では、天然歯だけではなくインプラント周囲組織も管理する必要があります。

インプラント周囲にもバイオフィルムは形成されます。

そのためPreBeau Oral Careでは、

  • 天然歯
  • 歯周組織
  • インプラント
  • セラミック
  • その他の補綴物

をまとめて確認しながらメンテナンスを行います。

インプラントやセラミックが多い方にエアフローが向いている理由

インプラント周囲炎予防に大切なメンテナンス|エアフロー・バイオフィルム管理・オゾン水


結局、歯周病予防にエアフローは有効?

現在のエビデンスを整理すると、

期待できること

  • バイオフィルム除去に利用できる
  • 歯周メンテナンスに組み込める
  • 患者の痛み・不快感を抑えられる可能性がある
  • 処置時間を短縮できる可能性がある
  • GBTではバイオフィルムを可視化しながら管理できる

現時点で断定できないこと

  • エアフローだけで歯周病を予防できる
  • GBTが従来の歯周治療より必ず優れている
  • エアフローだけで進行した歯周病を治療できる
  • 特定のパウダーを使えば歯周病が治る

という整理になります。

2026年のsystematic reviewも、GBTの患者中心のメリットを支持する一方、PPD・CAL・BOPなどの主要臨床指標についてはエビデンスが限定的・不均一としています。

だからこそ、

「エアフローを使っている医院か」だけではなく、「きちんと診査し、必要な歯周管理を組み合わせているか」

が重要です。


PreBeau Oral CareではGBTを歯周病予防・メンテナンスの一部として使用します

東京・赤坂のPreBeau Oral CareはGBT認定クリニックです。

当院では、

  • 歯周組織の評価
  • バイオフィルムの可視化
  • セルフケアの確認
  • エアフロー
  • 必要に応じた歯石除去
  • PMTC
  • インプラント・セラミックの確認
  • 必要に応じた5ppmオゾン水
  • リスクに応じた継続メンテナンス

などを組み合わせます。

目的は、

「エアフローを受けること」ではなく、「歯周病やむし歯などのリスクを管理し、現在ある歯や修復物をできるだけ長く維持すること」

です。

東京・赤坂のGBT・エアフロー・5ppmオゾン水による予防歯科・自費メンテナンス


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参考文献

Yein N, et al.
Clinical efficacy of Guided Biofilm Therapy in the management of periodontal disease – a systematic review
BMC Oral Health. 2026.

Sanz M, et al.
Treatment of stage I–III periodontitis—The EFP S3 level clinical practice guideline
Journal of Clinical Periodontology. 2020.

Onisor F, et al.
Effectiveness and Clinical Performance of Erythritol Air-Polishing in Non-Surgical Periodontal Therapy: A Systematic Review of Randomized Clinical Trials
Medicina. 2022.

Zhu M, et al.
Efficacy of glycine powder air-polishing in supportive periodontal therapy: a systematic review and meta-analysis
Journal of Periodontal & Implant Science. 2021.

Clinical effects of erythritol, glycine and trehalose as subgingival air-polishing powders on non-surgical periodontal treatment: a systematic review with meta-analysis of randomized controlled trials
2025.


医療情報について

本記事は、EFP臨床ガイドライン、査読済みランダム化臨床試験、systematic review、meta-analysisなどを参考に、歯科医師・毛利国安が監修しています。

GBTやエアフローは、バイオフィルム管理や歯周治療後のメンテナンスに利用される方法ですが、すべての患者様において従来の歯周治療より優れた臨床効果を示すことが確立されているわけではありません。

また、進行した歯周炎ではエアフローのみでは不十分であり、歯周組織の診査、歯石除去、歯肉縁下処置などが必要になることがあります。

適切な処置内容・メンテナンス間隔は、歯周状態、むし歯リスク、インプラントの有無、セルフケア、全身状態などを確認したうえで個別に判断します。

監修:毛利 国安
歯科医師/PreBeau Oral Care 院長
大阪大学歯学部卒業
ミシガン大学 歯周病学分野 Postdoctoral Fellow
UCLA ACT Surgical Implant Dentistry Resident
元 霞が関デンタルオフィス院長
Icon(アイコン)公認講師・KOL