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ミュータンス菌・Porphyromonas gingivalisに対するオゾン水の抗菌効果とは

Last Updated on 3 days ago by prebeau

ミュータンス菌・Porphyromonas gingivalisに対するオゾン水の抗菌効果と

「オゾン水はミュータンス菌に効きますか?」

「歯周病菌のPorphyromonas gingivalisにも作用しますか?」

「5ppmオゾン水を使えば、むし歯菌や歯周病菌を殺菌できるのでしょうか?」

歯科で使用されるオゾン水については、さまざまな口腔細菌を対象とした基礎研究があります。

その中でも特に研究されているのが、

Streptococcus mutans(S. mutans:ミュータンス菌)

Porphyromonas gingivalis(P. gingivalis)

です。

S. mutansは、むし歯の発症に関係する代表的な細菌のひとつです。

一方、P. gingivalisは歯周炎との関連が強く研究されているグラム陰性嫌気性菌で、gingipain(ジンジパイン)など複数の病原因子を持っています。

オゾン水については、

  • 約4ppm
  • 4〜6ppm
  • 0.25〜3.8ppm

などの濃度で、これらの細菌に対する抗菌作用が報告されています。

東京・赤坂のPreBeau Oral Careでは、必要に応じて5ppmオゾン水を歯科メンテナンスに使用しています。

ただし、

「5ppmオゾン水を使えば、患者様のミュータンス菌や歯周病菌を99%以上殺菌できる」

と説明することは適切ではありません。

研究の多くはin vitro(実験室内)研究であり、浮遊菌と実際の口腔内バイオフィルムでは条件が大きく異なるためです。

PreBeau Oral Careでは、GBT・エアフローによる物理的なバイオフィルム管理を基本とし、5ppmオゾン水は必要に応じて組み合わせる補助的な方法として位置づけています。

東京・赤坂のGBT・エアフロー・5ppmオゾン水による自費メンテナンス

監修:歯科医師 毛利 国安
PreBeau Oral Care 院長


Streptococcus mutans(ミュータンス菌)とは?

Streptococcus mutansは、う蝕との関連で長く研究されてきたグラム陽性細菌です。

糖質を利用して酸を産生し、酸性環境に適応しながら歯面のバイオフィルム形成に関与します。

ただし現在では、

「S. mutansだけがむし歯を起こす」

という単純な考え方ではなく、食生活、唾液、フッ化物、口腔清掃、バイオフィルム全体の生態学的変化などが複雑に関係する疾患として、むし歯を考えることが重要です。

したがって、仮にS. mutansを一時的に減らすことができても、それだけでむし歯予防が完結するわけではありません。


約4ppmオゾン水はS. mutansに強い作用を示した

2004年に報告された研究では、4mg/L(約4ppm)のオゾン水を複数の口腔微生物に作用させています。

その結果、10秒間の処理後には、ほとんどの試験微生物が検出されなくなるレベルまで減少しました。

S. mutansについてLIVE/DEAD stainingを行ったところ、オゾン水曝露後に細菌の生存性が急速に失われました。

さらに電子顕微鏡では、一部のS. mutansに細胞構造の破壊が観察されています。

PubMed|Efficacy of ozone on survival and permeability of oral microorganisms

つまり、

約4ppmのオゾン水には、S. mutansに対する強いin vitro抗菌作用を示した研究がある

と言うことができます。


4〜6ppmオゾン水でもS. mutansの99%超の生菌数減少

2023年には、**4〜6ppmのオゾン・ウルトラファインバブル水(OUFBW)**を使用した研究が報告されています。

この研究では、

  • Streptococcus mutans
  • Streptococcus sobrinus
  • Fusobacterium nucleatum
  • Prevotella intermedia
  • Porphyromonas gingivalis

など複数の口腔関連菌が評価されています。

これらの浮遊菌をOUFBWへ曝露すると、30秒以内に生菌数が99%を超えて減少しました。

PubMed|Ozone ultrafine bubble water exhibits bactericidal activity against pathogenic bacteria in the oral cavity

PreBeau Oral Careの5ppmオゾン水は、この研究の4〜6ppmという濃度範囲には入ります。

しかし、

「濃度が同じ範囲だから、臨床でも30秒で99%以上減る」

とは言えません。


2026年研究ではS. mutansは他のStreptococcus属より抗菌剤への抵抗性が高かった

2026年には、S. mutansと口腔内の非mutans Streptococcusを比較した研究が報告されました。

対象には、

  • S. mutans
  • S. sanguinis
  • S. oralis
  • S. salivarius
  • S. gordonii
  • S. mitis

などが含まれています。

研究ではオゾン水を含む3種類の消毒剤について、30秒曝露後の細菌生存性とバイオフィルムが評価されました。

その結果、S. mutansは他の非う蝕原性Streptococcus属と比較して、抗菌処理に対する抵抗性が高い傾向を示しました。

その中でオゾン水は、S. mutansに対するATP値が最も低く、強い抗菌作用を示唆する結果となりました。

PubMed|Differential susceptibility of cariogenic and commensal oral Streptococcus species to disinfectants including ozone water


興味深いのは「すべての口腔Streptococcusを一律に殺したわけではない」こと

2026年研究では、オゾン水がS. mutansに強く作用した一方、

非mutans Streptococcusでは明確な殺菌作用が認められませんでした。

これは非常に興味深い結果です。

口腔内には多数のStreptococcus属が存在し、そのすべてが病原菌というわけではありません。

中には口腔環境の恒常性に関与する菌も存在します。

したがって、

「口腔内細菌を全部殺菌すれば健康になる」

という考え方は適切ではありません。

予防歯科の目的は、口腔内を無菌化することではなく、病的なバイオフィルムの形成をコントロールすることです。


しかし30秒ではS. mutansのバイオフィルムそのものは十分除去できなかった

2026年研究のもうひとつ重要なポイントです。

細菌の生存性だけではなく、crystal violet stainingによってバイオフィルム量も評価されています。

その結果、

30秒の抗菌処理だけではバイオフィルムそのものを十分に取り除くことはできませんでした。

つまり、

S. mutansの生存能力を低下させること

歯面に形成されたバイオフィルム構造を取り除くこと

は別です。

ここが、オゾン水とエアフローを分けて考える大きな理由です。

バイオフィルム除去と抗菌は別物?エアフローとオゾン水の役割を解説


Porphyromonas gingivalisとは?

Porphyromonas gingivalisは、歯周炎との関連で非常に多く研究されているグラム陰性嫌気性菌です。

P. gingivalisは単に存在するだけでなく、さまざまな病原因子を産生します。

代表的なものが、

gingipain(ジンジパイン)

です。

gingipainは強力なprotease(タンパク質分解酵素)であり、

  • 組織への影響
  • 免疫反応の変化
  • 宿主タンパク質の分解

など、P. gingivalisの病原性に深く関与しています。

そのほか、

  • lipoprotein
  • lipopolysaccharide(LPS)
  • membrane vesicle

などもP. gingivalisの病原性と関連します。


4〜6ppmオゾン水はP. gingivalisにも強く作用

2023年のOUFBW研究では、P. gingivalisも対象となっています。

4〜6ppmのOUFBWへ曝露すると、P. gingivalisの浮遊菌の生菌数は30秒以内に99%を超えて減少しました。

つまり、

5ppm付近のオゾン水は、むし歯関連菌S. mutansだけでなく、歯周炎関連菌P. gingivalisにも強いin vitro抗菌作用を示した研究がある

ということになります。


2025年にはP. gingivalisだけを詳しく調べた研究が発表

2025年には、新潟大学などの研究グループから、P. gingivalisに対するOUFBWの作用をさらに詳しく検討した研究が報告されました。

この研究では、

0.25〜3.8ppm

のOUFBWを使用しています。

P. gingivalisを0〜30秒間曝露すると、濃度および時間に応じて生菌数が減少しました。

特に1.25ppmおよび3.8ppmの一部条件では、P. gingivalisが研究の検出限界未満となりました。

PubMed|Ozone ultrafine bubble water sterilizes Porphyromonas gingivalis and neutralizes its virulence factors

重要なのは、

5ppmより低い濃度でも、特定の実験条件ではP. gingivalisに非常に強い作用が確認されている

という点です。


オゾン水はP. gingivalisの細胞膜にも影響した

2025年研究では、電子顕微鏡を使用してP. gingivalisの形態変化も観察されています。

OUFBWへ曝露したP. gingivalisでは、

  • 細胞壁と細胞質の間の変化
  • 細胞内容物の漏出を示唆する所見
  • membrane vesicleの減少

などが確認されました。

これは、オゾン水の酸化作用によって菌体の膜構造が障害される可能性を示しています。


P. gingivalisでは「菌を減らす」だけでなくgingipainへの作用も研究された

2025年研究が特に興味深いのは、細菌数だけでなく病原因子まで評価している点です。

P. gingivalisが産生するgingipainには、

  • RgpA
  • RgpB
  • Kgp

などがあります。

研究では、OUFBW処理によりgingipain活性が低下しました。

また、

  • E-cadherin
  • IL-6

などのタンパク質に対するgingipain由来の分解作用も抑制されました。

さらに一部のgingipainタンパク質自体が分解されていることも確認されています。

つまり、

OUFBWがP. gingivalisそのものだけではなく、一部の病原因子にも作用する可能性

が示されています。


Lipoproteinには作用したが、LPSには同じ結果ではなかった

ここも重要です。

研究ではP. gingivalis由来の、

lipoprotein

lipopolysaccharide(LPS)

への作用も調べています。

OUFBW処理によって、lipoproteinによるTLR2活性化は抑制されました。

一方、

LPSによるTLR4シグナルについては明確な抑制作用が確認されませんでした。

したがって、

「オゾン水がP. gingivalisの毒素を全部無毒化する」

という説明は正しくありません。

より正確には、

P. gingivalisの一部の病原因子について作用が示されたが、すべての病原因子に同じ作用が確認されたわけではない

ということになります。


S. mutansとP. gingivalisでは「オゾン水が効く意味」が違う

ここまでを整理すると、同じ「抗菌作用」でも研究されている意味が異なります。

S. mutans

研究の中心:

  • 菌の生存性
  • 細胞構造
  • バイオフィルム
  • 他のStreptococcus属との感受性の違い

P. gingivalis

研究の中心:

  • 菌の生存性
  • 細胞膜
  • membrane vesicle
  • gingipain
  • lipoprotein
  • LPS

です。

つまり、

S. mutansでは「むし歯関連菌としての生存性」

P. gingivalisでは「歯周炎関連菌としての菌体+病原因子」

まで研究が進んでいます。


どちらの菌にも作用するなら、5ppmオゾン水でむし歯と歯周病を予防できる?

そこまでは言えません。

これは非常に重要です。

むし歯

S. mutansだけで決まる疾患ではありません。

  • 糖質摂取
  • 食事回数
  • 唾液
  • フッ化物
  • 歯質
  • バイオフィルム
  • セルフケア

などが関係します。

歯周病

P. gingivalisだけで決まる疾患ではありません。

  • 多菌種バイオフィルム
  • 宿主免疫反応
  • 歯石
  • 歯周ポケット
  • 喫煙
  • 糖尿病
  • セルフケア

など多くの要因が関係します。

したがって、

「S. mutansとP. gingivalisを減らせば、むし歯・歯周病にならない」

という考え方は適切ではありません。


口腔内を「無菌」にすることも目的ではない

口腔内には数百種類に及ぶ微生物が存在しています。

健康な人にも多くの細菌が存在しています。

一部の細菌だけを見て、

「菌がいる=病気」

と考えることも適切ではありません。

重要なのは、口腔内細菌叢と宿主とのバランス、そして病的なバイオフィルムが蓄積しない環境を維持することです。

したがってPreBeau Oral Careでは、

「口腔内細菌を殺菌する」

こと自体をメンテナンスの目的にはしていません。


オゾン水は「抗菌」、エアフローは「物理的除去」

S. mutansの2026年研究でも、30秒間の抗菌処理ではバイオフィルムそのものの除去は限定的でした。

このことからも、

抗菌

バイオフィルム除去

を分ける必要があります。

5ppmオゾン水

主として、

微生物への抗菌的アプローチ

GBT・エアフロー

主として、

歯面などに付着したバイオフィルムの可視化と物理的除去

です。

PreBeau Oral Careでは、この2つを同じものとは考えていません。

エアフローと5ppmオゾン水を組み合わせた歯科メンテナンスとは


5ppmオゾン水について患者様へ説明するなら

研究結果から、

「オゾン水で歯周病菌を99%殺菌します」

と説明するのは適切ではありません。

より科学的に正確なのは、

「4〜6ppmのオゾン・ウルトラファインバブル水について、S. mutansやP. gingivalisなど複数の口腔関連菌の浮遊菌を30秒以内に99%を超えて減少させたin vitro研究があります」

という表現です。

またP. gingivalisについては、

「2025年の基礎研究では、菌体だけでなくgingipainなど一部の病原因子への作用も確認されています」

と説明できます。

一方、

実際の患者様の口腔内で同じ割合の減少が起こることは証明されていません。


PreBeau Oral Careでは5ppmオゾン水だけに頼らない

東京・赤坂のPreBeau Oral Careでは、必要に応じて5ppmオゾン水を使用します。

しかし、予防メンテナンスの中心は、

「抗菌水を使用すること」

ではありません。

基本となるのは、

口腔内・歯周組織の評価

バイオフィルムの染め出し

GBT・エアフローによる物理的除去

必要な歯石の除去

必要に応じて5ppmオゾン水

セルフケアの確認

患者様のリスクに応じた継続管理

です。

S. mutansやP. gingivalisへの抗菌作用は興味深い研究結果ですが、予防歯科では菌だけを見るのではなく、患者様の口腔環境全体を管理することが重要です。

東京・赤坂のGBT・エアフロー・5ppmオゾン水による自費歯科メンテナンス


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参考文献

Nagayoshi M, et al.
Efficacy of ozone on survival and permeability of oral microorganisms.
Oral Microbiology and Immunology. 2004.
PubMed PMID: 15209994

Takizawa F, et al.
Ozone ultrafine bubble water exhibits bactericidal activity against pathogenic bacteria in the oral cavity and upper airway and disinfects contaminated healthcare equipment.
PLoS One. 2023.
PubMed PMID: 37043490

Endo M, et al.
Ozone ultrafine bubble water sterilizes Porphyromonas gingivalis and neutralizes its virulence factors.
PLoS One. 2025.
PubMed PMID: 41086175

Komatsubara M, et al.
Differential susceptibility of cariogenic and commensal oral Streptococcus species to chemically distinct disinfectants including ozone water in vitro.
Infection Prevention in Practice. 2026.
PubMed PMID: 42222438


医療情報について

本記事は、査読済みのin vitro研究を中心とした学術情報を参考に、歯科医師・毛利国安が監修しています。

本記事で紹介するオゾン水の抗菌作用は、濃度、生成方法、接触時間、菌種、菌量、有機物、浮遊菌またはバイオフィルムなどの条件によって異なります。

4〜6ppmのオゾン・ウルトラファインバブル水でS. mutansやP. gingivalisなどの浮遊菌が30秒以内に99%を超えて減少した研究がありますが、実際の患者様の口腔内で同じ割合の細菌減少が起こることを保証するものではありません。

また、2026年のS. mutansを含む研究では30秒間の抗菌処理によるバイオフィルム除去は限定的であり、2025年のP. gingivalis研究でも、すべての病原因子が同じように抑制されたわけではありません。

5ppmオゾン水のみでむし歯・歯周病を予防または治療できることを示すものではなく、実際のメンテナンスでは物理的なバイオフィルム除去、必要な歯石除去、セルフケア、定期的な診査を組み合わせることが重要です。

監修:毛利 国安
歯科医師/PreBeau Oral Care 院長
大阪大学歯学部卒業
ミシガン大学 歯周病学分野 Postdoctoral Fellow
UCLA ACT Surgical Implant Dentistry Resident
元 霞が関デンタルオフィス院長
Icon(アイコン)公認講師・KOL