エアフローと5ppmオゾン水を組み合わせた歯科メンテナンスとは
Last Updated on 3 days ago by prebeau
「エアフローとオゾン水を一緒に使う意味はありますか?」
「エアフローで汚れを取ったあとに、5ppmオゾン水で殺菌するのでしょうか?」
「2つを組み合わせると、歯周病予防の効果が高くなりますか?」
東京・赤坂のPreBeau Oral Careでは、歯科メンテナンスにおいて、
GBT・エアフローによる物理的なバイオフィルム管理
を基本とし、必要に応じて
5ppmオゾン水による抗菌的アプローチ
を組み合わせています。
しかし、最初に非常に重要なことがあります。
「エアフロー+5ppmオゾン水を組み合わせれば、相乗効果によって歯周病予防効果が高くなることが証明されている」
という意味ではありません。
現在、エアポリッシングにはバイオフィルム除去についての臨床研究があり、オゾン水には口腔細菌に対する基礎研究があります。
一方で、エアフローと5ppmオゾン水を組み合わせること自体の臨床的な相乗効果を確立した十分なエビデンスはありません。
PreBeau Oral Careで両者を組み合わせる理由は、
役割が異なるから
です。
エアフロー
→ 歯面などに付着したバイオフィルムを物理的に除去する
5ppmオゾン水
→ 特定の口腔細菌に対する抗菌作用を期待する補助的方法
として分けて考えています。
→ 東京・赤坂のGBT・エアフロー・5ppmオゾン水による自費メンテナンス
監修:歯科医師 毛利 国安
PreBeau Oral Care 院長
まず「バイオフィルム」と「細菌」を分けて考える
歯科メンテナンスを考えるうえで重要なのが、
細菌
と
バイオフィルム
を同じものとして考えないことです。
口腔内の細菌は、歯面に1個ずつ浮遊しているだけではありません。
多くの場合、歯の表面などへ付着し、複数の微生物が細胞外マトリックスなどに包まれたバイオフィルムを形成します。
一般に「歯垢」「プラーク」と呼ばれているものも、このバイオフィルムとして理解できます。
そのため、
細菌に抗菌的に作用すること
と、
歯面からバイオフィルムそのものを取り除くこと
は同じではありません。
エアフローの役割は「バイオフィルムを物理的に除去すること」
エアフロー(Air Polishing)は、
- 水
- 圧縮空気
- 微細な専用パウダー
を噴射し、歯面などへ付着したバイオフィルムや着色を除去する方法です。
現在はエリスリトールなどの低研磨性パウダーを使用する方法があり、歯科メンテナンスやSupportive Periodontal Therapyでも研究されています。
PreBeau Oral Careでは、GBT(Guided Biofilm Therapy)の考え方に基づき、
- 口腔内・歯周組織を確認する
- バイオフィルムを染め出す
- 付着している場所を確認する
- エアフローなどでバイオフィルムを除去する
- 必要な部位の歯石を除去する
- 処置後を確認する
という流れを基本にしています。
→ エアフローとは?歯や被せ物への負担を抑えたクリーニングを解説
GBT・エアフローにはどこまでエビデンスがある?
2026年に発表されたGBTのsystematic reviewでは、5研究・231名が評価されました。
GBTでは従来の非外科的歯周治療と比較して、
- 患者満足度
- 痛み・不快感
- 処置時間
など、患者中心のアウトカムで利点が示されています。
一方、
- BOP
- CAL
- PPD
などの主要な歯周臨床指標については研究間で結果が一貫せず、GBTが従来法より臨床的に優れていることは確立されていません。
したがってPreBeau Oral Careでも、
「GBTだから歯周病がよく治る」
とは説明していません。
GBTの利点は、バイオフィルムを可視化しながら、必要な部位を中心に管理できることにあります。
→ 歯周病予防にエアフローは有効?GBTの研究と現在のエビデンス
では5ppmオゾン水の役割は?
オゾン水とは、オゾン(O₃)を水中へ溶解させたものです。
オゾンには強い酸化作用があり、口腔関連細菌に対する抗菌作用が研究されています。
PreBeau Oral Careでは、必要に応じて5ppmオゾン水を使用しています。
5ppmという濃度に近い範囲では、複数の基礎研究があります。
4〜6ppmオゾン水|30秒以内に99%を超える生菌数減少
2023年の研究では、4〜6ppmのオゾン・ウルトラファインバブル水が、
- Streptococcus mutans
- Streptococcus sobrinus
- Fusobacterium nucleatum
- Prevotella intermedia
- Porphyromonas gingivalis
などへ使用されました。
その結果、これらの浮遊菌について、30秒以内に生菌数が99%を超えて減少しました。
これは、5ppm付近のオゾン水に強いin vitro抗菌作用があることを示す研究です。
ただし、
「PreBeauで5ppmオゾン水を使えば患者様の口腔内細菌を30秒で99%減らせる」
という意味ではありません。
実験室内の浮遊菌と、実際の口腔内の成熟したバイオフィルムでは条件が異なります。
→ 5ppmオゾン水は口腔細菌にどこまで有効?ミュータンス菌・歯周病菌への研究結果
2026年研究が示した重要なポイント|抗菌とバイオフィルム除去は別
2026年には、
- S. mutans
- S. sanguinis
- S. oralis
- S. salivarius
- S. gordonii
- S. mitis
などに対して、オゾン水を含む複数の消毒剤を30秒作用させた研究が報告されています。
オゾン水はS. mutansに対して強い抗菌作用を示す結果となりました。
しかし非常に重要なのは、
30秒処理ではバイオフィルムそのものの除去は限定的だった
ことです。
つまり、
細菌の生存性を低下させること
と
歯面へ付着したバイオフィルム構造を取り除くこと
は別です。
ここに、エアフローとオゾン水を役割分担させる考え方があります。
→ バイオフィルム除去と抗菌は別物?エアフローとオゾン水の役割を解説
「エアフローのあとにオゾン水」なら効果が高くなる?
理論的には、
物理的にバイオフィルムを減らしてから抗菌的アプローチを加える
という考え方には合理性があります。
しかし、
「先にエアフローを行い、その後5ppmオゾン水を使用すると、オゾン水単独またはエアフロー単独より臨床効果が高くなる」
ことが確立されているわけではありません。
少なくとも現在確認できる主要な研究では、
GBT・エアフロー+5ppmオゾン水
というPreBeau Oral Careと同一条件の組み合わせについて、歯周病予防効果や臨床的相乗効果を直接証明した高品質な比較試験は十分ではありません。
したがって、
「相乗効果が証明されています」
とは説明しません。
それでも組み合わせる理由は「役割が重ならない」から
PreBeau Oral Careでは、
GBT・エアフロー
物理的なバイオフィルム管理
5ppmオゾン水
抗菌的な補助アプローチ
として考えています。
つまり、
同じ処置を2回行う
のではありません。
それぞれ異なる役割を持たせています。
イメージすると「掃除」と「抗菌」の違い
分かりやすく例えると、
歯面に付着したバイオフィルムを物理的に取り除くことは、
汚れそのものを掃除して取り除く
ことに近い考え方です。
一方、オゾン水は、
残存する微生物へ抗菌的に作用することを期待する
方法です。
もちろん実際の口腔バイオフィルムはもっと複雑ですが、
「抗菌水を流せばバイオフィルムが自動的に消えるわけではない」
という点を理解するには、この区別が重要です。
オゾン水だけでは歯石も除去できない
オゾン水は、硬く石灰化した歯石を物理的に除去するものではありません。
また、エアフローも硬い歯石の除去を主目的とする方法ではありません。
そのため必要な場合には、
- 超音波器具
- その他の適切な歯石除去器具
などを使用します。
つまり歯科メンテナンスは、
エアフロー
や
オゾン水
という1つの機器・材料だけで完結するものではありません。
5ppmオゾン水だけで歯周病菌をなくせる?
そのようには考えていません。
歯周病には、
- 複数菌種からなるバイオフィルム
- 歯石
- 歯周ポケット
- 宿主の免疫反応
- 喫煙
- 糖尿病などの全身状態
- セルフケア
など多くの要因が関係します。
P. gingivalisなど特定の菌に抗菌作用が認められたとしても、
その菌を一時的に減らせば歯周病が治る
という疾患ではありません。
→ 歯周病菌を減らすには?プロフェッショナルクリーニングと抗菌水の考え方
2026年の臨床systematic reviewではオゾン水のエビデンス確実性はlow
オゾン水には強い基礎研究があります。
一方、患者様を対象とした臨床研究については慎重に評価する必要があります。
2026年8月に発表されたsystematic review / meta-analysisでは、オゾン水によるプラーク減少について、プラセボまたはクロルヘキシジンより良好な傾向はあったものの、統計学的に明確な優越性は認められませんでした。
また、エビデンスの確実性はlowと評価されています。
したがって、
「オゾン水を使えば通常の歯科メンテナンスより優れた結果になる」
と現段階で断定することはできません。
基礎研究と臨床研究を分けて考える
5ppmオゾン水については、
基礎研究
4〜6ppm付近で複数の口腔細菌に対する強い抗菌作用が報告されている。
臨床研究
実際の患者様における長期的なプラーク・歯周病予防効果については、まだエビデンスが限定的。
という状態です。
PreBeau Oral Careでは、この両方を患者様へ説明することが重要だと考えています。
なぜエアフローを先に考えるの?
実際の歯科メンテナンスで問題になるのは、浮遊菌だけではなく、歯面に付着したバイオフィルムです。
そのため、
「何%殺菌するか」
を考える前に、
「バイオフィルムがどこにあり、物理的に除去できているか」
を確認する必要があります。
GBTではバイオフィルムを染め出して可視化できます。
そのうえで必要な場所へエアフローを使用するため、
抗菌水を使用する前のバイオフィルム管理
を体系的に行うことができます。
PreBeau Oral Careでの基本的な考え方
東京・赤坂のPreBeau Oral Careでは、患者様の状態によって内容は異なりますが、基本的には、
1.口腔内・歯周組織の評価
歯肉、歯周ポケット、出血、天然歯、インプラント、修復物などを確認します。
2.バイオフィルムの可視化
必要に応じて染め出しを行い、バイオフィルムが残っている場所を確認します。
3.GBT・エアフロー
バイオフィルムや着色を物理的に管理します。
4.必要な歯石除去
硬く付着した歯石がある場合は、必要な器具を使用します。
5.必要に応じて5ppmオゾン水
抗菌的な補助アプローチとして使用します。
6.セルフケアの確認
歯ブラシ、歯間ブラシ、フロスなど、次回来院までの管理方法を確認します。
7.定期的な再評価
患者様のリスクに応じて継続的に状態を確認します。
インプラントやセラミックが多い方でも基本は同じ
インプラントやセラミックが多い方でも、
まずバイオフィルムを管理する
という基本は同じです。
ただし、
- インプラント
- ジルコニア
- セラミック
- コンポジットレジン
- 天然歯
では表面特性が異なります。
そのため、エアフローのパウダーや器具の選択には配慮が必要です。
→ インプラントやセラミックが多い方にエアフローが向いている理由
「エアフロー+オゾン水=最強のクリーニング」ではない
患者様向けの広告では、
「エアフロー+殺菌水」
という組み合わせが強調されることがあります。
しかし、歯科医療として重要なのは、
機械や水の名前を増やすことではありません。
重要なのは、
- 診査しているか
- バイオフィルムを把握しているか
- 必要な場所を物理的に清掃しているか
- 必要な歯石を除去しているか
- インプラント・修復物を考慮しているか
- セルフケアへつなげているか
- エビデンス以上の効果を説明していないか
です。
PreBeau Oral Careでも、
「エアフロー+5ppmオゾン水だから他の方法より優れている」
とは考えていません。
現在の研究から整理すると
エアフローについて言えること
- バイオフィルムを物理的に除去する方法として利用できる
- GBTの一部として利用される
- 患者快適性や処置時間について利点を示す研究がある
- 歯周臨床指標で従来法より一貫して優れているとは確立されていない
5ppm付近のオゾン水について言えること
- 約4〜6ppmで複数の口腔関連菌への強いin vitro抗菌作用が報告されている
- S. mutansやP. gingivalisなどが研究対象になっている
- 浮遊菌では短時間で大きな生菌数減少が報告されている
- 実際の患者様で同じ殺菌率が得られることは証明されていない
- 臨床的なプラークコントロールについてのエビデンス確実性はまだ低い
組み合わせについて
物理的除去+抗菌という異なる役割を組み合わせる考え方
はできます。
しかし、
エアフロー+5ppmオゾン水に特別な相乗効果があることが臨床的に確立されているわけではありません。
PreBeau Oral Careが大切にしているのは「何を使うか」より「なぜ使うか」
PreBeau Oral Careでは、
エアフローがあるからエアフローを使う
オゾン水があるからオゾン水を使う
という考え方ではありません。
患者様の口腔内を確認し、
物理的なバイオフィルム管理が必要だからエアフローを使う
抗菌的な補助アプローチを加える意味があると判断した場合に5ppmオゾン水を使う
という考え方です。
目的は「口腔内を完全に殺菌すること」ではありません。
天然歯・歯周組織・インプラント・修復物をできるだけ長く良好な状態で維持すること
が目的です。
→ 東京・赤坂のGBT・エアフロー・5ppmオゾン水による自費歯科メンテナンス
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参考文献
Yein N, et al.
Clinical efficacy of Guided Biofilm Therapy in the management of periodontal disease – a systematic review.
BMC Oral Health. 2026.
PMID: 42032569.
Takizawa F, et al.
Ozone ultrafine bubble water exhibits bactericidal activity against pathogenic bacteria in the oral cavity and upper airway and disinfects contaminated healthcare equipment.
PLoS One. 2023.
PMID: 37043490.
Komatsubara M, et al.
Differential susceptibility of cariogenic and commensal oral Streptococcus species to chemically distinct disinfectants including ozone water in vitro.
Infection Prevention in Practice. 2026.
PMID: 42222438.
Mohandas R, et al.
Ozonated water as a preventive oral hygiene aid: a systematic review and meta-analysis of its role in reducing dental plaque.
Evidence-Based Dentistry. 2026.
PMID: 42542467.
医療情報について
本記事は、査読済み基礎研究、臨床研究、systematic reviewなどを参考に、歯科医師・毛利国安が監修しています。
エアフローには物理的なバイオフィルム除去に関する研究があり、約4〜6ppmのオゾン水には特定の口腔細菌に対する強いin vitro抗菌作用を示した研究があります。
一方、エアフローと5ppmオゾン水を組み合わせることによる臨床的な相乗効果が確立されているわけではありません。
また、4〜6ppmオゾン水で報告された「99%を超える生菌数減少」は、特定の浮遊菌を用いた実験室内研究の結果であり、実際の患者様の口腔内で同じ割合の細菌減少が得られることを保証するものではありません。
2026年の研究でも、オゾン水による抗菌作用が示された一方、30秒間の処理だけではバイオフィルムそのものの除去は限定的でした。
実際の歯科メンテナンスでは、口腔内・歯周組織を評価し、物理的なバイオフィルム管理、必要な歯石除去、セルフケア、継続的な診査などを基本として、必要な補助的方法を個別に選択することが重要です。
監修:毛利 国安
歯科医師/PreBeau Oral Care 院長
大阪大学歯学部卒業
ミシガン大学 歯周病学分野 Postdoctoral Fellow
UCLA ACT Surgical Implant Dentistry Resident
元 霞が関デンタルオフィス院長
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