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次亜塩素酸水とオゾン水は何が違う?歯科メンテナンスで使われる抗菌水を比較

Last Updated on 3 days ago by prebeau

歯科医院のメンテナンスについて調べると、

「次亜塩素酸水」

「EPIOS(エピオス)」

「オゾン水」

「抗菌水」

など、さまざまな名称を目にすることがあります。

どちらも微生物に対する抗菌作用が研究されていますが、次亜塩素酸水とオゾン水は同じものではありません。

また、

「5ppmの次亜塩素酸水」

「5ppmのオゾン水」

があったとしても、

同じ5ppmだから同じ強さ

あるいは

短時間で作用した方が優れている

と単純に比較することもできません。

化学物質そのものが異なり、

  • 対象となる細菌
  • 浮遊菌かバイオフィルムか
  • 接触時間
  • pH
  • 有機物
  • 温度
  • 生成方法
  • 保存・使用条件

などが研究ごとに違うからです。

東京・赤坂のPreBeau Oral Careでは、現在はGBT(Guided Biofilm Therapy)・エアフローによる物理的なバイオフィルム管理を基本とし、必要に応じて5ppmオゾン水を組み合わせるという考え方で自費メンテナンスを行っています。

東京・赤坂のGBT・エアフロー・5ppmオゾン水による自費メンテナンス

監修:歯科医師 毛利 国安
PreBeau Oral Care 院長


次亜塩素酸水とオゾン水は、どちらも「酸化作用」を利用する

次亜塩素酸(Hypochlorous Acid:HOCl)とオゾン(O₃)は、どちらも微生物に作用する酸化剤として研究されています。

細菌の細胞膜やタンパク質などに酸化的な影響を与えることで、抗菌作用を示します。

ただし、化学的にはまったく異なる物質です。

次亜塩素酸

次亜塩素酸はHOClという化学種です。

塩素系の抗菌成分で、抗菌作用は、

  • 有効塩素濃度
  • pH
  • 有機物
  • 保存状態
  • 接触時間

などの影響を受けます。

オゾン

オゾンはO₃、つまり酸素原子3個からなる分子です。

非常に反応性の高い酸化剤で、水中へ溶解させたものが一般に「オゾン水」と呼ばれます。

一方で、オゾン水は時間とともにオゾン濃度が低下しやすく、2023年の研究でも通常のオゾン水は不安定で半減期が短いことが課題として説明されています。

PubMed|4〜6ppmオゾン・ウルトラファインバブル水の研究

そのため、オゾン水では特に、

「使用時に実際に何ppmあるのか」

が重要になります。


「次亜塩素酸水」と「次亜塩素酸ナトリウム」は同じではない

名前が似ているため混同されやすいのですが、

次亜塩素酸(HOCl)

次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)

は同じ名称ではありません。

歯科ではNaOClは根管治療などでも使用されますが、一般的に濃度は口腔洗浄用の低濃度HOClとは大きく異なります。

したがって、

「次亜塩素酸の研究」

「次亜塩素酸ナトリウムの研究」

「EPIOSなどの機能水」

をすべて同じものとして読むことは適切ではありません。

製品・研究ごとに、

何という化学物質を、何ppm、どのpHで使用したのか

を見る必要があります。


5ppmの次亜塩素酸には口腔バイオフィルムへの研究がある

2022年にBMC Oral Healthに掲載された研究では、**5ppmの安定化次亜塩素酸(HOCl)**が口腔バイオフィルムモデルに対して検討されています。

対象には、

  • Streptococcus mutans
  • Streptococcus gordonii
  • Actinomyces odontolyticus
  • Veillonella parvula
  • Parvimonas micra
  • Porphyromonas gingivalis

などが含まれていました。

5ppmのHOClを酢酸で安定化した条件で5分間作用させたところ、複数菌種からなる口腔バイオフィルムの生菌性が有意に低下しました。

また、この実験条件ではハイドロキシアパタイト表面の侵食は認められませんでした。

PubMed|Effects of stabilized hypochlorous acid on oral biofilm bacteria

これは興味深い結果ですが、重要なのは、

「5ppm HOCl」という数字だけではなく、安定化方法・pH・5分という接触時間まで含めた実験条件

だということです。


4〜6ppmオゾン水では30秒以内に99%を超える生菌数減少

一方、2023年には4〜6ppmのオゾン・ウルトラファインバブル水を使用した研究が報告されています。

対象となった細菌には、

  • Streptococcus mutans
  • Streptococcus sobrinus
  • Fusobacterium nucleatum
  • Prevotella intermedia
  • Porphyromonas gingivalis

などが含まれました。

その結果、浮遊菌の実験条件では30秒以内に生菌数が99%を超えて減少しました。

PubMed|Ozone ultrafine bubble water exhibits bactericidal activity against pathogenic bacteria in the oral cavity

PreBeau Oral Careで使用している5ppmオゾン水は、この研究で検討された4〜6ppmの濃度範囲内です。

しかし、

「5ppmオゾン水なら、実際の患者様の口腔内細菌を30秒で99%以上殺菌する」

という意味ではありません。

この研究の99%以上という数値は、主としてplanktonic culture(浮遊菌)を用いた実験室内の条件によるものです。


約4ppmのオゾン水では10秒でも強い抗菌作用

さらに2004年の研究では、約4mg/L(約4ppm)のオゾン水が口腔微生物に対して検討されています。

10秒間の作用後には、ほとんどの微生物が検出されないレベルまで減少し、Streptococcus mutansについても強い抗菌作用が確認されました。

実験的歯垢に対しても、生菌数の著しい低下が報告されています。

PubMed|Efficacy of ozone on survival and permeability of oral microorganisms

この研究は、比較的短時間でもオゾン水が口腔細菌へ強い作用を示し得ることを示しています。

オゾン水は何秒で作用する?4〜6ppmオゾン水の口腔細菌に対する研究


では「オゾン水の方が次亜塩素酸水より強い」のか?

ここで、

5ppm HOCl:5分

4〜6ppmオゾン水:30秒以内に99%以上減少

約4ppmオゾン水:10秒で強い抗菌作用

という数字だけを見ると、

「オゾン水の方が圧倒的に速いのでは?」

と思うかもしれません。

しかし、この比較は科学的には適切ではありません。

最大の理由は、実験モデルが違うからです。

HOClの2022年研究では、複数の菌が作ったバイオフィルムモデルが中心です。

一方、4〜6ppmオゾン水研究の「99%以上」という結果は、主に浮遊菌に対して示されたものです。

バイオフィルム内の細菌と、液体中を浮遊している細菌では抗菌剤への感受性が同じとは限りません。

したがって、

「同じ菌」「同じバイオフィルム」「同じ接触時間」「同じ測定法」

で直接比較した研究でなければ、優劣を断定することはできません。


「5ppm」という数字も直接比較できない

ppmは濃度を表す単位です。

しかし、

5ppm HOCl

5ppm O₃

は異なる化学物質です。

「5ppm」という数字が同じでも、

  • 分子量
  • 酸化特性
  • 反応速度
  • 分解速度
  • 有機物との反応

などが違います。

したがって、

5ppm vs 5ppmだから同じ濃度=同じ抗菌力

という理解はできません。

これは薬剤でも同じで、異なる成分を濃度の数字だけで比較できないのと同じです。


次亜塩素酸水の特徴|比較的扱いやすい一方、条件管理が重要

次亜塩素酸系の機能水は歯科で長く使用されてきました。

特徴として、

  • 低濃度でも抗菌作用が研究されている
  • 口腔バイオフィルムを対象とした研究がある
  • 洗浄・洗口などに応用しやすい

といった点があります。

一方、

  • pH
  • 有効塩素濃度
  • 温度
  • 保存時間
  • 有機物

などの影響を受けます。

したがって、

「次亜塩素酸水」という名前だけでは抗菌力を判断できない

という点には注意が必要です。


オゾン水の特徴|高い反応性と引き換えに安定性が課題

オゾン水には、

  • 強い酸化作用
  • 口腔細菌への基礎研究
  • 比較的短時間での抗菌作用を示した研究

があります。

一方、オゾンは反応性が高く、時間とともに分解します。

つまり、

高い反応性

保存安定性の低さ

は表裏の関係です。

そのため歯科で使用する場合は、単に

「オゾン水を使っています」

という情報よりも、

どの濃度で生成し、どのように使用しているか

が重要になります。

PreBeau Oral Careでは5ppmで生成したオゾン水を使用しています。

歯科で使うオゾン水とは?5ppmオゾン水の抗菌作用を研究データから解説


最新2026年systematic reviewでは、オゾン水の臨床効果はまだ「低確実性」

ここは非常に重要です。

基礎研究ではオゾン水に強い抗菌作用が示されていますが、

患者様の口腔内で本当にどこまで臨床効果があるか

は別に考える必要があります。

2026年8月にEvidence-Based Dentistryに発表されたsystematic review / meta-analysisでは、健康な被験者を対象に、オゾン水とプラセボまたはクロルヘキシジンを比較したRCTが検討されました。

5研究が定性的評価、4研究がmeta-analysisに含まれています。

その結果、オゾン水は短期的なプラーク減少で良い傾向を示しましたが、**統計学的に明確な差とはならず、エビデンスの確実性は「low」**と評価されました。

研究者らは、現時点では

通常の洗口法などより優れていると確認するには証拠が不十分

としています。

PubMed|2026年 Ozonated water systematic review and meta-analysis

つまり、

試験管内で細菌を99%以上減らすこと

と、

人の口腔内で長期的に歯垢や歯周病を減らすこと

は同じではありません。


次亜塩素酸系洗口液についても臨床エビデンスは限定的

次亜塩素酸系についても同様です。

2022年のsystematic reviewでは、次亜塩素酸ナトリウム系洗口液がプラークや歯周臨床指標に与える効果が検討されました。

一部の臨床指標で良好な結果が報告された一方、研究の数や質には限界があり、全体のエビデンスは非常に弱いと評価されています。

PubMed|Effect of a sodium hypochlorite mouthwash on plaque and clinical parameters of periodontal disease

したがって、

次亜塩素酸水もオゾン水も、「使えば歯周病を防げる万能な水」と考えるべきではありません。


抗菌水だけではバイオフィルム管理は完結しない

歯科メンテナンスではここが最も重要です。

成熟したデンタルバイオフィルムは、

細菌+細胞外マトリックスなどから構成される複雑な構造

です。

そのため、

「抗菌水をかける」

ことと、

「バイオフィルムを物理的に取り除く」

ことは同じではありません。

European Federation of Periodontology(EFP)の歯周炎ガイドラインでも、歯周治療後のSupportive Periodontal Careでは**Professional Mechanical Plaque Removal(専門家による機械的プラーク除去)**を継続することが推奨されています。

EFP|Stage I–III歯周炎に対するS3レベル臨床ガイドライン

したがってPreBeau Oral Careでは、

抗菌水を選ぶことより先に、バイオフィルムを適切に管理すること

を基本にしています。


PreBeau Oral Careでは「エアフロー+5ppmオゾン水」と役割を分けています

PreBeau Oral Careでは、

GBT・エアフロー

5ppmオゾン水

を同じ目的で使用しているわけではありません。

GBT・エアフロー

主な役割は、

バイオフィルムの可視化と物理的な除去・管理

です。

5ppmオゾン水

主な位置づけは、

抗菌作用を期待した補助的なアプローチ

です。

つまり、

バイオフィルムを見つける

物理的に除去する

必要に応じて抗菌的アプローチを加える

という考え方です。

エアフローと5ppmオゾン水を組み合わせた歯科メンテナンスとは

バイオフィルム除去と抗菌は別物?エアフローとオゾン水の役割を解説


旧天野歯科でEPIOS・次亜塩素酸水を使用していた方へ

旧天野歯科では、次亜塩素酸系の機能水を取り入れた診療が行われていました。

そのため、以前通院していた方には、

「以前の殺菌水と今のオゾン水は何が違うの?」

という疑問があるかもしれません。

PreBeau Oral Careでは、旧天野歯科の方法をそのまま再現するのではなく、現在の機器・研究・患者様の口腔内状態を踏まえてメンテナンス方法を選択しています。

旧天野歯科でEPIOS・次亜塩素酸水を使用したメンテナンスを受けていた方へ

重要なのは、

「次亜塩素酸水からオゾン水へ変えたから進化した」

という単純な話ではありません。

現在は、

GBTによるバイオフィルム管理を中心に置いたうえで、5ppmオゾン水を必要に応じて組み合わせる

というメンテナンス設計に変わっています。


次亜塩素酸水とオゾン水の違いをまとめると

次亜塩素酸水

主成分:
次亜塩素酸(HOCl)など

作用:
酸化作用による抗菌作用

口腔研究:
5ppm安定化HOClで複数菌種バイオフィルムへの作用を示した研究あり

注意点:
濃度・pH・安定化方法・保存条件などで作用が変わる


オゾン水

主成分:
水中に溶解したオゾン(O₃)

作用:
強い酸化作用による抗菌作用

口腔研究:
約4ppm、4〜6ppmで口腔細菌への強いin vitro抗菌作用を示した研究あり

注意点:
オゾンが分解しやすいため、生成・濃度・使用時点の管理が重要


共通点

どちらも、

抗菌水だけで歯周病やむし歯を予防・治療できるわけではありません。

物理的なプラーク・バイオフィルム管理が基本です。


どちらを使うかより「どうメンテナンス全体を設計するか」が重要

歯科メンテナンスを選ぶとき、

「次亜塩素酸水を使っている」

「オゾン水を使っている」

という一点だけで医院を評価する必要はありません。

むしろ確認したいのは、

  • 最初に歯周組織を診査しているか
  • バイオフィルムを確認しているか
  • 物理的にバイオフィルムを除去しているか
  • 必要な歯石除去を行っているか
  • インプラント・セラミックを確認しているか
  • セルフケアにつなげているか
  • 抗菌水の効果を過大に説明していないか
  • 患者ごとのリスクに応じてメンテナンスしているか

です。

抗菌水はメンテナンス全体の一要素であって、メンテナンスそのものではありません。


PreBeau Oral Careの考え方

東京・赤坂のPreBeau Oral Careでは、

  • 歯周組織の評価
  • バイオフィルムの染め出し
  • GBT
  • エアフロー
  • PMTC
  • 必要に応じた歯石除去
  • インプラント・セラミックの確認
  • セルフケアの確認
  • 必要に応じた5ppmオゾン水

を組み合わせています。

5ppmオゾン水には口腔細菌に対する興味深い基礎研究があります。

一方で、2026年のsystematic reviewを含め、実際の患者様における臨床効果についてはまだ研究の蓄積が必要です。

そのためPreBeau Oral Careでは、

「5ppmオゾン水で99%以上殺菌できる」

といった形では説明せず、

特定の口腔細菌を用いた実験室研究では、4〜6ppmで99%を超える生菌数減少が報告されている

と研究条件を明示して説明しています。

このように、メリットだけでなくエビデンスの限界まで含めて患者様へ情報提供することを大切にしています。

東京・赤坂のGBT・エアフロー・5ppmオゾン水による自費メンテナンス


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バイオフィルム除去と抗菌は別物?エアフローとオゾン水の役割を解説


参考文献

Aherne O, et al.
Effects of stabilized hypochlorous acid on oral biofilm bacteria
BMC Oral Health. 2022.

Nagayoshi M, et al.
Efficacy of ozone on survival and permeability of oral microorganisms
Oral Microbiology and Immunology. 2004.

Ozone ultrafine bubble water exhibits bactericidal activity against pathogenic bacteria in the oral cavity and upper airway and disinfects contaminated healthcare equipment
2023.

Mohandas R, et al.
Ozonated water as a preventive oral hygiene aid: a systematic review and meta-analysis of its role in reducing dental plaque
Evidence-Based Dentistry. 2026.

Hussain AM, et al.
Effect of a sodium hypochlorite mouthwash on plaque and clinical parameters of periodontal disease—a systematic review
International Journal of Dental Hygiene. 2022.

Sanz M, et al.
Treatment of stage I–III periodontitis—The EFP S3 level clinical practice guideline
Journal of Clinical Periodontology. 2020.


医療情報について

本記事は、査読済み基礎研究、臨床研究、systematic review、meta-analysis、歯周病臨床ガイドラインなどを参考に、歯科医師・毛利国安が監修しています。

次亜塩素酸水およびオゾン水の抗菌作用は、濃度、pH、温度、接触時間、有機物、対象菌、浮遊菌・バイオフィルムなどの条件によって変化します。

異なる研究の「ppm」や「作用時間」だけを比較し、どちらが優れていると判断することはできません。

また、本記事で紹介したオゾン水の「99%以上」という数値は特定条件下のin vitro研究によるものであり、実際の患者様の口腔内細菌が同じ割合で減少することを意味するものではありません。

2026年のsystematic reviewでも、オゾン水による臨床的なプラーク減少について、現時点のエビデンスの確実性は低いと評価されています。

歯科メンテナンスでは、抗菌水のみへ依存せず、口腔内・歯周組織を評価したうえで、物理的なバイオフィルム管理を基本として必要な方法を選択することが重要です。

監修:毛利 国安
歯科医師/PreBeau Oral Care 院長
大阪大学歯学部卒業
ミシガン大学 歯周病学分野 Postdoctoral Fellow
UCLA ACT Surgical Implant Dentistry Resident
元 霞が関デンタルオフィス院長
Icon(アイコン)公認講師・KOL