旧天野歯科でEPIOS・次亜塩素酸水を使用したメンテナンスを受けていた方へ次亜塩素酸水とオゾン水は何が違う?歯科メンテナンスで使われる抗菌水を比較
Last Updated on 3 days ago by prebeau
以前、旧天野歯科で定期的なクリーニングや歯周病メンテナンスを受けていた方の中には、
「クリーニングのときに殺菌作用のある水を使っていた」
「EPIOS(エピオス)や次亜塩素酸水を使ったメンテナンスを受けていた」
「以前のように、バイオフィルム除去だけでなく抗菌的なケアも受けたい」
と記憶されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
旧天野歯科では、次亜塩素酸電解水を歯科診療に取り入れていました。
天野歯科医院が2019年に発表した公式リリースでも、2010年から次亜塩素酸電解水を用いた治療を行っていたことが記録されています。
→ 天野歯科医院|次亜塩素酸電解水を使用した診療についての公式発表
現在、東京・赤坂のPreBeau Oral Careでは、旧天野歯科で行われていた方法をそのまま再現しているわけではありません。
現在は、
GBT(Guided Biofilm Therapy)・エアフローによる物理的なバイオフィルム管理
を基本として、
必要に応じて5ppmオゾン水による抗菌的アプローチ
を組み合わせています。
これは「次亜塩素酸水よりオゾン水の方が優れている」という意味ではありません。
次亜塩素酸水とオゾン水は異なる物質であり、それぞれ作用機序、濃度、安定性、使用方法、研究条件が異なります。
大切なのは、抗菌水だけに頼るのではなく、まずバイオフィルムを物理的に管理することです。
→ 東京・赤坂のGBT・エアフロー・5ppmオゾン水による自費メンテナンス
監修:歯科医師 毛利 国安
PreBeau Oral Care 院長
旧天野歯科では次亜塩素酸電解水が使用されていました
旧天野歯科では、むし歯・歯周病などに対する診療の中で次亜塩素酸電解水を使用していました。
2019年に天野歯科医院が公開した資料には、
「2010年より、歯周病菌と虫歯菌を対象として次亜塩素酸電解水を用いた治療を行っている」
という内容が記載されています。
→ 天野歯科医院|次亜塩素酸電解水「ペリオトリート」について
当時、こうした抗菌作用を持つ機能水とクリーニングを組み合わせたケアを受けていた方にとって、
「現在も同じようなメンテナンスを受けられるのか」
という点は気になるところだと思います。
EPIOSとは?
EPIOS(エピオス)は、歯科医院で使用される次亜塩素酸系機能水の生成・給水システムとして知られています。
現在の株式会社エピオス公式サイトでは、EPIOS ECO SYSTEMについて、低濃度の次亜塩素酸(HOCl)を歯科医院内の配管へ循環させ、診療ユニットなどの水質管理に使用するシステムと説明されています。
現在のシステムでは機種によって、残留塩素濃度を5〜40ppmの範囲で設定する仕様が示されています。
ただし、EPIOSという名称の機器・システムにも世代や仕様の違いがあります。
そのため、過去に旧天野歯科で使用されていた水の濃度と、現在販売されている機器の仕様をそのまま同一視することはできません。
次亜塩素酸(HOCl)とは?
次亜塩素酸(Hypochlorous Acid:HOCl)は、酸化作用を持つ物質です。
細菌などの微生物に対して抗菌作用を示すことが知られており、歯科を含む医療分野でも研究されています。
ここで注意したいのは、
次亜塩素酸(HOCl)
と
次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)
は同じ言葉ではないということです。
どちらも塩素系ですが、化学的状態やpH、濃度、用途が異なります。
歯科医院で使用される低濃度の次亜塩素酸系機能水について考える場合も、製品名だけでなく、有効塩素濃度・pH・生成方法などを確認することが重要です。
次亜塩素酸は口腔バイオフィルムにも作用する?
研究はあります。
2022年にBMC Oral Healthに掲載された研究では、安定化した**5ppmの次亜塩素酸(HOCl)**を、
- Streptococcus mutans
- Streptococcus gordonii
- Actinomyces odontolyticus
- Veillonella parvula
- Parvimonas micra
- Porphyromonas gingivalis
などから構成される口腔バイオフィルムモデルに使用しました。
その結果、5分間の接触で複数菌種からなるバイオフィルムの生菌性が有意に低下しました。
また、この実験条件ではハイドロキシアパタイト表面の侵食も確認されませんでした。
→ PubMed|Effects of stabilized hypochlorous acid on oral biofilm bacteria
これは、低濃度のHOClにも口腔バイオフィルムに対する抗菌作用が期待できることを示す興味深い研究です。
ただし、この研究で使用されたのは酢酸で安定化された特定条件の5ppm HOClです。
したがって、
「5ppmであれば、すべての次亜塩素酸水が同じ効果を示す」
という意味ではありません。
次亜塩素酸水だけで歯周病を予防できる?
ここは慎重に考える必要があります。
次亜塩素酸系の洗口液については臨床研究もあります。
2022年のsystematic reviewでは、次亜塩素酸ナトリウム系洗口液が、
- Plaque Index
- Gingival Index
- Bleeding Index
などに与える影響が検討されました。
しかし、研究間のばらつきが大きく、研究者らは**エビデンスの質を「very weak(非常に弱い)」**と評価しています。
したがって、
「次亜塩素酸水を使えば歯周病にならない」
あるいは
「次亜塩素酸水だけで歯周病を治療できる」
と説明することは適切ではありません。
抗菌水を使っても、バイオフィルム除去は重要です
ここがPreBeau Oral Careの現在のメンテナンスで最も大切にしている考え方です。
バイオフィルムは、単純に細菌が水の中に浮遊している状態とは異なります。
細菌が集団となり、その周囲を細胞外マトリックスなどが取り囲んだ複雑な構造を作っています。
そのため、
「抗菌作用のある水を流すこと」
と
「バイオフィルムそのものを物理的に除去すること」
は同じではありません。
European Federation of Periodontology(EFP)の歯周治療ガイドラインでも、歯周治療後のSupportive Periodontal Careでは、**Professional Mechanical Plaque Removal(専門家による機械的プラーク除去)**を継続することが推奨されています。
→ EFP|Stage I–III歯周炎に対するS3レベル臨床ガイドライン
つまり、現在の歯周病予防・メンテナンスでは、
「何で殺菌するか」だけではなく、「バイオフィルムをどう継続的に管理するか」
が重要です。
PreBeau Oral CareではGBT・エアフローを基本にしています
PreBeau Oral Careでは、バイオフィルム管理の中心としてGBT(Guided Biofilm Therapy)を取り入れています。
GBTでは、
- 口腔内・歯周組織を確認する
- バイオフィルムを染め出す
- 磨き残している場所を確認する
- エアフローなどでバイオフィルムを物理的に除去する
- 必要な場所の歯石を除去する
- 処置後を確認する
- リスクに応じて次回メンテナンスを設定する
という考え方で管理します。
つまり、
抗菌水を使用する前に、まず「どこにバイオフィルムがあるか」を把握し、物理的に管理する
という考え方です。
→ エアフローとは?歯や被せ物への負担を抑えたクリーニングを解説
→ GBTと従来のPMTCは何が違う?自費メンテナンスの選び方
PreBeau Oral Careでは現在5ppmオゾン水を使用しています
PreBeau Oral Careでは、必要に応じて5ppmオゾン水をメンテナンスに使用しています。
オゾン(O₃)は強い酸化作用を持ち、水中に溶解した状態でもさまざまな微生物に対する抗菌作用が研究されています。
口腔細菌についても複数の基礎研究があります。
4〜6ppmオゾン水では30秒以内に99%を超える生菌数減少
2023年に報告された研究では、4〜6ppmのオゾン・ウルトラファインバブル水を、
- Streptococcus mutans
- Streptococcus sobrinus
- Fusobacterium nucleatum
- Prevotella intermedia
- Porphyromonas gingivalis
など複数の口腔・上気道関連細菌に作用させました。
その結果、実験室内の浮遊菌条件では、30秒以内に生菌数が99%を超えて減少しました。
→ PubMed|4〜6ppmオゾン水の口腔細菌に対する抗菌作用
PreBeau Oral Careで使用している5ppmという濃度は、この研究で検討された4〜6ppmの範囲内に入ります。
ただし、これは非常に重要ですが、
「PreBeauで5ppmオゾン水を使用すれば、患者様の口腔内細菌を99%以上殺菌できる」
という意味ではありません。
研究は特定の実験条件下で行われたもので、実際の口腔内には唾液、タンパク質、歯石、複雑なバイオフィルムなどが存在します。
約4ppmのオゾン水では10秒でも強い抗菌作用が報告されています
2004年に九州歯科大学から報告された研究では、約4mg/L(約4ppm)のオゾン水が複数の口腔微生物に対して検討されています。
10秒間の処理で生菌数が著しく減少し、研究では歯垢由来の細菌についても非常に強い抗菌作用が確認されています。
→ PubMed|Efficacy of ozone on survival and permeability of oral microorganisms
この研究も、オゾン水の口腔細菌に対する抗菌作用を示す重要な基礎研究のひとつです。
→ オゾン水は何秒で作用する?4〜6ppmオゾン水の口腔細菌に対する研究
次亜塩素酸水とオゾン水、どちらが優れている?
単純に比較することはできません。
次亜塩素酸水とオゾン水は、どちらも酸化作用を利用した抗菌的アプローチですが、化学的性質は異なります。
また、
- 使用濃度
- pH
- 温度
- 有機物
- 接触時間
- 対象菌
- 浮遊菌かバイオフィルムか
- 生成方法
- 保存状態
などによって効果が大きく変わります。
例えば、
5ppm HOClの5分間研究
と
4〜6ppmオゾン水の30秒研究
がありますが、この結果だけを見て、
「同じ5ppmだからオゾン水の方が速くて強い」
と結論づけることはできません。
研究モデルも物質も異なるからです。
→ 次亜塩素酸水とオゾン水は何が違う?歯科メンテナンスで使われる抗菌水を比較
オゾン水にも弱点があります
オゾン水は、反応性が高いことが特徴です。
一方で、その反応性の高さは安定性が低いという性質にもつながります。
オゾンは時間とともに分解し、最終的には酸素へ変化していきます。
そのため、
- 生成方法
- 濃度
- 使用までの時間
- 水温
- 有機物の存在
などが実際の作用に影響します。
つまり、
「オゾン水」という名前だけで効果を判断するのではなく、使用時の濃度や管理方法が重要
です。
PreBeau Oral Careでは5ppmの濃度で生成したオゾン水を診療に使用しています。
次亜塩素酸水にも濃度・pH・保存条件が重要です
次亜塩素酸水についても同じです。
抗菌作用は、
- 有効塩素濃度
- pH
- 保存期間
- 光
- 温度
- 有機物
などの影響を受けます。
そのため、
「次亜塩素酸水なら何でも同じ」
ではありません。
EPIOSの現在の公式システムでも、残留塩素濃度を管理しながら使用する設計になっています。
旧天野歯科からPreBeau Oral Careへ|変わったのは「水」だけではありません
旧天野歯科で次亜塩素酸電解水を使用したメンテナンスを受けていた方から見ると、
次亜塩素酸水 → 5ppmオゾン水
という変化が最もわかりやすいかもしれません。
しかし、PreBeau Oral Careで大きく変わっているのは、それだけではありません。
現在は、
バイオフィルムの可視化
↓
GBT・エアフローによる物理的除去
↓
必要な歯石の除去
↓
必要に応じて5ppmオゾン水
↓
セルフケア改善
↓
リスクに応じた継続メンテナンス
という流れで考えています。
つまり、
「殺菌水を使用するメンテナンス」から、「バイオフィルム管理を中心として抗菌的アプローチを必要に応じて追加するメンテナンス」へ
という考え方です。
「殺菌」だけを目的にしない理由
口腔内には非常に多くの微生物が存在しています。
健康な口腔内にも常在菌が存在するため、口腔内を完全な無菌状態にすることが予防歯科の目的ではありません。
大切なのは、
病的なバイオフィルムの蓄積をコントロールし、歯・歯肉・インプラント周囲を健康な状態に維持すること
です。
したがってPreBeau Oral Careでは、
「99%殺菌できるから使用する」
という考え方ではなく、
バイオフィルム管理を基本に、科学的根拠がある補助的手段としてオゾン水を利用する
という位置づけにしています。
→ バイオフィルム除去と抗菌は別物?エアフローとオゾン水の役割を解説
以前の天野歯科と同じ処置を再現することが目的ではありません
長く旧天野歯科へ通院されていた方の中には、
「以前と同じクリーニングを受けたい」
「以前使っていた水と同じものを使いたい」
という希望を持つ方もいらっしゃると思います。
しかし、PreBeau Oral Careでは過去の処置をそのまま再現することを目的にはしていません。
歯科医学や機器は変化しますし、患者様自身の、
- 歯周組織
- むし歯リスク
- インプラント
- セラミック
- 年齢
- 全身状態
- セルフケア
も時間とともに変化します。
まず現在の状態を確認し、現在必要なメンテナンスを選択することを重視しています。
→ 旧天野歯科・霞が関デンタルオフィスに通院されていた方へ|赤坂で続ける自費メンテナンス
→ 旧天野歯科でクリーニングを受けていた方へ|自費メンテナンスを選ぶポイント
PreBeau Oral Careの現在のメンテナンス
東京・赤坂のPreBeau Oral Careでは、
- 口腔内・歯周組織の評価
- GBT
- バイオフィルムの染め出し
- エアフロー
- PMTC
- 必要に応じた歯石除去
- インプラント・セラミックの確認
- セルフケアの確認
- 必要に応じた5ppmオゾン水
を組み合わせてメンテナンスを行います。
旧天野歯科で次亜塩素酸電解水を使用した定期的な予防ケアを受けていた方も、現在のお口の状態を確認したうえで、新しいメンテナンス方法についてご相談いただけます。
重要なのは、
「どの抗菌水を使うか」だけではありません。
バイオフィルムをどう取り除き、どう再付着を管理し、天然歯・インプラント・修復物を長く維持するか。
そこまで含めて考えることが、現在の歯科メンテナンスでは重要です。
→ 東京・赤坂のGBT・エアフロー・5ppmオゾン水による自費メンテナンス
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参考文献・外部資料
天野歯科医院
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2019.
株式会社エピオス
EPIOS ECO SYSTEM
Aherne O, et al.
Effects of stabilized hypochlorous acid on oral biofilm bacteria
BMC Oral Health. 2022.
Hussain AM, et al.
Effect of a sodium hypochlorite mouthwash on plaque and clinical parameters of periodontal disease—a systematic review
International Journal of Dental Hygiene. 2022.
Nagayoshi M, et al.
Efficacy of ozone on survival and permeability of oral microorganisms
Oral Microbiology and Immunology. 2004.
Sanz M, et al.
Treatment of stage I–III periodontitis—The EFP S3 level clinical practice guideline
Journal of Clinical Periodontology. 2020.
医療情報について
本記事は、旧天野歯科が公表した資料、メーカー公式情報、査読済み学術論文、systematic review、臨床ガイドラインなどを参考に、歯科医師・毛利国安が監修しています。
次亜塩素酸水およびオゾン水の抗菌作用は、濃度、pH、接触時間、温度、有機物、対象となる細菌、浮遊菌またはバイオフィルムなどの条件によって異なります。
本記事で紹介している「99%以上の生菌数減少」などの数値は特定のin vitro研究における結果であり、実際の患者様の口腔内で同じ割合の細菌減少を保証するものではありません。
また、次亜塩素酸水やオゾン水のみで歯周病・むし歯を予防または治療できることを示すものではありません。
実際の予防・メンテナンスでは、口腔内および歯周組織を評価し、物理的なバイオフィルム管理を基本として必要な方法を個別に選択します。
監修:毛利 国安
歯科医師/PreBeau Oral Care 院長
大阪大学歯学部卒業
ミシガン大学 歯周病学分野 Postdoctoral Fellow
UCLA ACT Surgical Implant Dentistry Resident
元 霞が関デンタルオフィス院長
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