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ブログ 欠損補綴

歯を1本失ったまま放置するとどうなる?隣の歯・噛み合わせへの影響と治療を考えるタイミング

Last Updated on 2 weeks ago by prebeau

「奥歯を1本抜いたけれど、痛くないからそのままでも大丈夫?」

「見えない場所だから、急いで歯を入れなくてもいいのでは?」

歯を1本失ったあと、このように考える方は少なくありません。

実際、歯を1本失ったからといって、すべてのケースですぐに人工の歯を入れなければならないわけではありません。

ただし、歯がなくなった場所を長期間そのままにすると、隣の歯や噛み合う歯の位置が少しずつ変化したり、抜歯した部分の骨の形が変わったりすることがあります。

大切なのは「抜けたらすぐ治療」と一律に考えることではなく、どの歯を失ったのか、現在の噛み合わせはどうなっているのか、残っている歯にどの程度負担がかかっているのかを確認することです。

この記事では、歯を1本失ったあとに起こり得る変化と、治療を考えるタイミングについて解説します。

結論:1本の欠損でも「何もしなくてよい」とは限りません

歯は1本ずつ独立して存在しているように見えますが、実際には隣の歯や上下の歯と接触しながら、歯列と噛み合わせのバランスを保っています。

そのため、1本の歯がなくなると、そのスペースを取り囲んでいた歯の環境も変わります。

起こり得る代表的な変化は、

  • 隣の歯が欠損部分へ傾く
  • 噛み合っていた反対側の歯が伸びてくる
  • 歯と歯の間に隙間ができる
  • 噛み合わせが変化する
  • 抜歯した部分の顎の骨が時間とともに変化する

などです。

ただし、どの程度変化するかには個人差があります。

「1本抜けたら必ずすぐに噛み合わせが崩れる」という意味ではありません。

だからこそ、痛みの有無だけで判断せず、一度現在の状態を確認しておくことが大切です。

1. 隣の歯が欠損部分へ傾くことがあります

歯を失うと、それまで隣の歯と接触していた部分に空間ができます。

特に奥歯では、時間の経過とともに隣接する歯が欠損スペース側へ傾いたり、位置が変わったりすることがあります。

こうした変化が大きくなると、あとから歯を補おうとしたときに、必要なスペースが十分に残っていないことがあります。

その結果、単純に欠損部分だけを補うのではなく、先に歯の位置や噛み合わせを調整する必要が出てくる場合もあります。

「今は困っていない」という状態と、「将来も同じ状態が維持される」ということは同じではありません。

2. 噛み合っていた歯が伸びてくることがあります

上下の歯は、通常は反対側の歯と噛み合うことで位置関係を保っています。

ところが1本の歯がなくなると、その歯と噛み合っていた歯には接触する相手がいなくなります。

このような歯を「対合歯のない歯」といいます。

成人を対象にした研究では、対合歯を失った奥歯に**挺出(ていしゅつ:歯が噛み合わせの方向へ移動すること)**が認められるケースが報告されています。

Craddockらの研究では、対合歯のない奥歯の多くで挺出が確認されました。

ただし、移動量や臨床的な影響には個人差があります。

大切なのは「必ず大きく伸びる」と考えることではなく、対合歯を失った状態では位置変化が起こる可能性があると知っておくことです。

3. 噛み合わせが少しずつ変化することがあります

隣の歯が傾いたり、対合歯が挺出したりすると、上下の歯が接触する位置も変わる可能性があります。

歯を失ったあとの位置変化と咬合接触について調べた研究でも、対合歯を失った奥歯では、正常な対合関係を持つ歯と比べて咬合干渉がみられることが報告されています。

ただし、歯を1本失ったことだけを原因として、

「顎関節症になる」

「全身のバランスが崩れる」

などと断定することはできません。

噛み合わせは歯の位置だけではなく、残っている歯、歯周組織、顎関節、筋肉など多くの要素によって成り立っています。

そのため、欠損部分だけを見るのではなく、口腔内全体の状態を確認して判断することが重要です。

4. 抜歯した場所では顎の骨の形も変化します

歯を抜いたあとの顎の骨は、そのまま同じ形を維持するわけではありません。

抜歯後には治癒が進む一方で、歯を支えていた歯槽骨の幅や高さにも変化が起こります。

抜歯後の歯槽堤の変化を調べた複数のシステマティックレビューでも、特に抜歯後の早い時期に水平方向を中心とした骨の幅の減少が起こることが報告されています。

これは、

「抜歯したら必ず骨造成が必要になる」

という意味ではありません。

ただ、将来的にインプラントなどを検討する場合には、骨の量や形態が治療計画に影響することがあります。

「今すぐ治療するつもりはない」という場合でも、将来どのような選択肢を残したいのかまで考えておくとよいでしょう。

奥歯を1本失った場合

奥歯は見た目には目立ちにくいため、そのままにされやすい場所です。

しかし、奥歯は食べ物を噛む役割を担っているため、欠損した場所や残っている歯の状態によっては、ほかの歯に負担が偏ることがあります。

特に、

  • 第一大臼歯など噛む力を受けやすい歯を失った
  • 反対側だけで噛む習慣がついている
  • すでにほかにも失っている歯がある
  • 歯周病によって残っている歯の支持が弱い
  • 隣の歯が傾き始めている

といった場合は、一度噛み合わせを確認しておくことをおすすめします。

前歯を1本失った場合

前歯の場合は、噛み合わせだけではなく見た目や発音への影響も考える必要があります。

特に前歯部では、歯の大きさ、歯ぐきのライン、隣の歯との色調なども治療後の見た目に大きく関係します。

そのため「空いたところに歯を1本入れる」という考えだけではなく、周囲の歯をどこまで治療するのかも含めて検討します。

健康な隣の歯が残っている場合には、その歯をどの程度削る必要がある治療なのかも重要な判断材料になります。

詳しくは、関連記事のブリッジで健康な歯を削るのはなぜ?支台歯への負担と歯をできるだけ残す選択肢で解説しています。

歯を1本失った場合の主な治療選択肢

欠損した歯を補う代表的な方法には、

インプラント

顎の骨に人工歯根を埋入し、その上に人工歯を装着する方法です。

隣の歯を支台歯として大きく削る必要がないことが大きな特徴ですが、外科処置が必要で、骨の量や全身状態なども考慮して適応を判断します。

ブリッジ

欠損部分の両隣などの歯を支えとして、連結した人工歯を固定する方法です。

固定式のため取り外す必要がありませんが、一般的なブリッジでは支台となる歯を形成する必要があります。

部分入れ歯

取り外し式の装置で欠損部分を補う方法です。

外科手術を必要としませんが、装置の設計によっては金属のバネが見えたり、装着感が気になったりすることがあります。

健康な歯をできるだけ削らずに補う方法

症例によっては、隣の健康な歯を大きく削らず、外科手術も行わずに欠損部分を補う方法を検討できることがあります。

PreBeau Oral Careでは、1〜2本程度の欠損に対して、白い樹脂を用いるウエルデンツや、金属のバネを使用しないバルプラストなども選択肢として扱っています。

ただし、噛み合わせ、残存歯、歯周組織の状態などによって適応できないケースもあります。

治療方法や特徴については、歯をできるだけ削らないブリッジ・金属バネを使わない入れ歯についてをご覧ください。

「インプラントはしたくない」という場合も選択肢はあります

歯を失った方のなかには、

「インプラント手術が怖い」

「できれば外科手術を受けたくない」

という方もいます。

その場合も、インプラントを受けるか、何もしないかの二択ではありません。

欠損部位や残っている歯の状態によって、ブリッジ、部分入れ歯、その他の補綴方法を検討できます。

それぞれにメリットだけでなく制限がありますので、治療法を決める前に比較することが重要です。

インプラント以外の選択肢については、インプラントをしたくない・手術が怖い方へ|歯を失ったときに考えられる治療の選択肢で詳しく解説しています。

では、いつ歯科医院に相談すればいい?

「抜歯したら○か月以内に必ず治療しなければならない」という一律の基準があるわけではありません。

治療時期は、

  • 失った歯の位置
  • 抜歯した理由
  • 隣の歯の状態
  • 対合歯の状態
  • 歯周病の有無
  • 噛み合わせ
  • 顎の骨の状態
  • 将来希望している治療方法

によって変わります。

そのため、人工歯を入れるかどうかを決める前に、一度状態を確認するという考え方がおすすめです。

診査した結果、「現時点では経過観察でよい」と判断されることもあります。

反対に、歯の移動などが始まっている場合には、早めに治療計画を考えた方が選択肢を残しやすいケースもあります。

大切なのは「歯を入れること」だけではありません

歯を1本失うと、

「何を入れるか」

に目が向きがちです。

しかし、本当に考えたいのは、残っている歯をこれからどう守るかです。

隣の健康な歯をどの程度治療するのか。

外科処置を受けるのか。

取り外し式の装置を選ぶのか。

噛み合わせや清掃性をどう維持するのか。

正解は一つではありません。

PreBeau Oral Careでは、できるだけ健全な歯質を保存することを重視しながら、現在のお口の状態と希望を確認したうえで治療方法を検討しています。

東京・赤坂で、歯を1本失ったあとの治療について迷っている方は、まずは現在の状態を確認するところからご相談ください。

東京・赤坂の削らない欠損補綴|ウエルデンツ・金属バネを使わないバルプラスト

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参考文献


執筆・監修:毛利 国安(歯科医師/PreBeau Oral Care 院長)

毛利国安 院長プロフィール・経歴

※本記事は一般的な歯科医療情報を提供するもので、個別の診断や治療法を決定するものではありません。欠損部位、残存歯、歯周組織、噛み合わせ、全身状態などによって適切な対応は異なります。