長年通っていた歯科医院が閉院したら?メンテナンス先を選ぶときのポイント
Last Updated on 2 days ago by prebeau
「ずっと通っていた歯医者が閉院してしまった」
「治療は終わっているけれど、今後どこでメンテナンスを受ければいいのかわからない」
「インプラントやセラミックを他院で治療しているけれど、別の歯科医院でも診てもらえる?」
長年通っていた歯科医院が閉院すると、特に定期的なメンテナンスを受けていた方ほど不安を感じると思います。
しかし、
歯科医院が変わったからといって、予防・メンテナンスを中断する必要はありません。
むし歯、歯周病、インプラント周囲疾患などは、症状が出てからではなく、問題が小さいうちに発見・管理することが重要です。
新しい歯科医院では、これまでの治療歴を可能な範囲で確認しながら、
現在のお口の状態をあらためて評価し、新しいメンテナンスの基準を作る
ことができます。
東京・赤坂のPreBeau Oral Careでは、他院で治療を受けた方や、これまで通っていた歯科医院が閉院・移転した方の予防メンテナンスにも対応しています。
監修:歯科医師 毛利 国安
PreBeau Oral Care 院長
歯科医院が閉院しても「メンテナンスの継続」は大切
歯科治療には、
- むし歯を治療する
- 歯周病を治療する
- セラミックを入れる
- インプラントを入れる
といった「治療」の段階があります。
しかし、その後に重要になるのが、
治療した状態を長期的に維持するためのメンテナンス
です。
特に歯周病は慢性的に管理していく必要がある疾患です。
2026年に発表された長期研究のsystematic reviewでは、10年以上にわたってSupportive Periodontal Careを継続した患者では、初期治療方法の違いにかかわらず、長期的な歯周状態が比較的安定していたことが報告されています。
つまり、
「どの治療を受けたか」だけでなく、その後の継続的な管理が重要
と考えられます。
参考:
Long-term clinical benefits of periodontal interventions in strict supportive periodontal care: A systematic review.
Journal of Periodontology. 2026.
PMID: 41251445
閉院したからといって、同じ歯科医院を完全に再現する必要はありません
以前の医院で、
- 3か月ごとのクリーニング
- PMTC
- エアフロー
- 歯周病メンテナンス
- インプラントメンテナンス
などを受けていた場合、
「まったく同じ内容をしてくれる医院を探さなければいけない」
と思うかもしれません。
しかし、必ずしも同じ機械、同じ時間、同じ方法である必要はありません。
重要なのは、
現在のお口の状態に必要な管理が行われているか
です。
新しい歯科医院では、あらためて口腔内を確認し、
- むし歯
- 歯周組織
- 歯周ポケット
- 出血
- バイオフィルム
- 歯石
- インプラント
- セラミック
- 被せ物
- 咬み合わせ
などを評価したうえで、メンテナンス方法を考えることができます。
新しい歯科医院では「現在の状態」を基準にする
以前の歯科医院で長期間メンテナンスを受けていた場合でも、新しい医院には過去の経過がすべて分かるとは限りません。
そのため、初回には、
現在の状態を新しい基準として記録する
ことが重要です。
例えば、
- 現在の歯周ポケット
- プロービング時出血
- 歯肉退縮
- インプラント周囲組織
- 修復物
- X線上の骨レベル
- バイオフィルムの付着
などを確認しておくことで、その後の変化を比較できるようになります。
メンテナンスでは、
「今日問題があるか」だけではなく、「以前と比べて変化しているか」
を見ることが重要だからです。
以前の治療記録があれば持っていく
もし手元に、
- X線写真
- CTデータ
- 治療計画書
- 紹介状
- インプラントカード
- インプラントメーカーの情報
- セラミックや補綴治療の資料
- お薬手帳
- 過去の検査結果
などがある場合は、新しい歯科医院に持参すると参考になることがあります。
特にインプラントでは、
- メーカー
- インプラントシステム
- 埋入部位
- スクリューの種類
などが分かると、将来的に上部構造の対応が必要になった場合に役立つことがあります。
ただし、
資料がないから新しい歯科医院に行けないということではありません。
資料がなくても、現在の状態を診査してメンテナンスを開始することは可能です。
「何年前に何をしたか」を完璧に覚えていなくても大丈夫
長く歯科医院に通っていると、
「この歯は10年前に治療したと思う」
「どのインプラントメーカーだったか分からない」
「セラミックなのかジルコニアなのか覚えていない」
ということも珍しくありません。
患者様がすべての治療内容を正確に把握している必要はありません。
新しい医院では、
現在確認できる情報から評価を始める
ことができます。
分からない部分については、
「分からない」
ということ自体も重要な情報です。
メンテナンスの間隔も、そのまま引き継ぐ必要はありません
以前の医院で、
「3か月ごとに来てください」
と言われていたとしても、新しい医院でも必ず3か月である必要はありません。
適切なメンテナンス間隔は、
- 歯周病の既往
- むし歯リスク
- プラーク量
- 出血
- ポケット
- インプラント
- 喫煙
- 全身状態
- セルフケア
- 補綴物の清掃性
などによって変わります。
そのため、
新しい医院で現在のリスクを再評価し、適切な間隔を決める
ことが重要です。
歯周病治療後はメンテナンスを中断しないことが重要
歯周病の治療歴がある方では、特に継続管理が重要です。
2023年のsystematic review / meta-analysisでは、歯周治療後にSupportive Periodontal Careを受けた15研究、12,884人・323,111本の歯が評価されました。
その結果、多くの患者が完全な「歯周病の安定」という厳しい基準を満たしていなくても、平均10〜13年間のSupportive Periodontal Careの中で、多くの歯が維持されていました。
一方、一部の歯周状態の指標を達成できていない患者では、歯を失うリスクとの関連も報告されています。
参考:
Rattu V, Raindi D, Antonoglou G, Nibali L.
Prevalence of stable and successfully treated periodontitis subjects and incidence of subsequent tooth loss within supportive periodontal care: A systematic review with meta-analyses.
Journal of Clinical Periodontology. 2023.
この研究から、
「一度歯周病を治療したから、その後は何もしなくてよい」
とは考えにくいことが分かります。
インプラントがある場合は特に継続管理を
インプラントはむし歯にはなりません。
しかし、
- インプラント周囲粘膜炎
- インプラント周囲炎
が起こることがあります。
そのため、以前の医院でインプラントメンテナンスを受けていた場合は、閉院をきっかけに長期間中断しないことが大切です。
新しい歯科医院では、
- プロービング時出血
- インプラント周囲ポケット
- 排膿
- 上部構造
- 清掃性
- 必要に応じたX線評価
などを行います。
→ インプラント周囲炎予防に大切なメンテナンス|エアフロー・バイオフィルム管理・オゾン水
他院で入れたインプラントでも診てもらえる?
歯科医院によって対応範囲は異なりますが、
他院で治療したインプラントでもメンテナンスを受けられる医院はあります。
PreBeau Oral Careでも、他院で治療されたインプラントのメンテナンスに対応しています。
ただし、
- 特殊なインプラントシステム
- 専用器具が必要
- メーカーが特定できない
- 進行したインプラント周囲炎
- 外科治療が必要
などの場合には、対応できる範囲が限られることがあります。
その場合には、必要に応じて専門的な治療が可能な医療機関での対応を検討します。
PreBeau Oral Careでは新規インプラント埋入手術は行っていません
PreBeau Oral Careでは現在、新規のインプラント埋入手術は行っていません。
一方、
すでにインプラント治療を受けている患者様の長期維持
を重視しています。
対応可能な範囲で、
- インプラント周囲組織の評価
- バイオフィルム管理
- 上部構造の確認
- セルフケア指導
- インプラント周囲炎が疑われる場合の評価
などを行っています。
セラミック・被せ物が多い方も、材料に合わせたメンテナンスが重要
以前の医院で、
- セラミッククラウン
- ジルコニア
- ラミネートベニア
- コンポジットレジン
- インプラント上部構造
などの治療を受けている場合、
クリーニング時の器具選択も重要です。
すべての修復材料を同じ方法で強く研磨すればよいわけではありません。
修復材料によって、
- 表面硬度
- 粗さ
- 研磨への耐性
などが異なるためです。
→ セラミック・インプラント治療後の自費クリーニング|長く維持するためのメンテナンス
新しい医院を選ぶときに確認したいポイント
閉院後に新しい歯科医院を探す場合、
「家から一番近い」
「料金が安い」
という点だけでなく、メンテナンスの内容も確認してみましょう。
例えば、
1.クリーニング前に診査をしているか
単に歯を磨くだけではなく、
- 歯肉
- 出血
- 歯周ポケット
- むし歯
- インプラント
などを確認しているか。
2.バイオフィルムを意識しているか
メンテナンスの目的が、
「着色を取ってきれいに見せること」
だけになっていないか。
3.必要に応じて歯石除去ができるか
エアフローだけですべての沈着物を取れるわけではありません。
4.インプラント・セラミックに対応しているか
口腔内に補綴物が多い場合は特に重要です。
5.ホームケアまで確認しているか
歯科医院での処置だけでなく、自宅での清掃方法を確認しているか。
6.継続的に比較できるか
毎回ただクリーニングするのではなく、以前の状態と比較して変化を確認しているか。
「エアフローがある医院」を選べばいい?
エアフローはバイオフィルム管理に使用できる有用な方法です。
しかし、
エアフローを持っていることだけでメンテナンスの質が決まるわけではありません。
重要なのは、
- どこにバイオフィルムがあるか確認する
- 適切なパウダーを選択する
- 必要な歯石は別途除去する
- 歯周組織を評価する
- 患者様のセルフケアにつなげる
ことです。
PreBeau Oral CareではGBT(Guided Biofilm Therapy)の考え方を取り入れています。
必要に応じてバイオフィルムを染め出し、
見える状態にしてから物理的に除去する
ことを重視しています。
以前の医院と方法が違っても問題?
必ずしも問題ではありません。
例えば以前の医院では、
- ラバーカップ
- 研磨ペースト
- 超音波スケーラー
を中心にメンテナンスしていた一方、新しい医院では、
- 染め出し
- Airflow
- 低研磨性パウダー
を使用することもあります。
重要なのは、
機械の名前が同じかどうかではなく、必要なバイオフィルム・歯石管理が適切に行われているか
です。
PreBeau Oral Careでは5ppmオゾン水も補助的に使用
PreBeau Oral Careでは、GBT・エアフローによる物理的なバイオフィルム管理を基本にしています。
そのうえで必要に応じて、
5ppmオゾン水
を使用しています。
オゾン水については口腔関連細菌への抗菌作用を示した基礎研究があります。
ただし、
オゾン水が通常のバイオフィルム除去やセルフケアの代わりになるわけではありません。
当院では、
GBT・エアフロー
バイオフィルムを物理的に管理する
5ppmオゾン水
抗菌作用を期待する補助的方法
と、役割を分けて考えています。
→ バイオフィルム除去と抗菌は別物?エアフローとオゾン水の役割を解説
前の医院で「オゾン水」を使っていた場合も相談できます
以前の歯科医院で、
- オゾン水
- GBT
- エアフロー
- バクテリアセラピー
などを取り入れた予防ケアを受けていた方もいると思います。
PreBeau Oral Careでも、現在の口腔内の状態を確認したうえで、
- GBT
- Airflow
- 5ppmオゾン水
- ホームケア
などを組み合わせたメンテナンスを行っています。
ただし、
以前とまったく同じ処置をそのまま再現することを目的にはしていません。
現在必要なケアを評価して内容を決めます。
閉院をきっかけにメンテナンスをやめない
歯が痛くないと、
「しばらく歯医者に行かなくてもいいかな」
と思うことがあります。
しかし、
- 初期のむし歯
- 歯周病
- インプラント周囲粘膜炎
- 補綴物周囲の問題
は、初期には自覚症状が少ないことがあります。
特に、
これまで定期的にメンテナンスを受けていた方が、医院の閉院をきっかけに数年間受診しなくなる
ことは避けたいところです。
新しい医院で「一からやり直し」ではありません
歯科医院が変わると、
「今までの治療が全部無駄になってしまった」
「また一から説明しなければならない」
と感じる方もいます。
しかし、これまで行ってきた、
- 歯みがき
- 歯間清掃
- 定期的なクリーニング
- 歯周病管理
- インプラントメンテナンス
が無駄になるわけではありません。
新しい医院では、
これまで維持してきた口腔内を、今後どのように維持していくか
を考えていきます。
まずは「今の状態」を確認するところから
新しいメンテナンス先を探す場合、
最初から特定のクリーニング方法を指定する必要はありません。
まず、
今のお口がどのような状態なのか
を確認することが重要です。
そのうえで、
- どこにバイオフィルムが残っているか
- 歯周病リスクがあるか
- むし歯リスクがあるか
- インプラントは安定しているか
- セラミック周囲に問題がないか
- どのくらいの間隔でメンテナンスするか
を考えていきます。
まとめ|歯科医院が変わっても、予防は続けられます
長年通っていた歯科医院の閉院は、患者様にとって大きな変化です。
しかし、
歯科医院が変わったことを理由に、メンテナンスまで中断する必要はありません。
新しい医院では、
- 現在の口腔内を評価する
- 過去の治療歴を可能な範囲で確認する
- 新しい基準を記録する
- バイオフィルム・歯石を管理する
- ホームケアを確認する
- リスクに応じて定期的に再評価する
という流れで継続できます。
特に、
- 歯周病治療歴がある
- インプラントがある
- セラミック治療を多く受けている
- 長期間メンテナンスを継続していた
という方は、閉院をきっかけにケアを長期間中断しないことが大切です。
PreBeau Oral Careでは、
他院で治療を受けた患者様の予防・メンテナンスにも対応しています。
以前の治療資料がすべて揃っていなくても、現在の状態を確認するところから始めることができます。
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参考文献
Rattu V, Raindi DS, Antonoglou G, Nibali L.
Prevalence of stable and successfully treated periodontitis subjects and incidence of subsequent tooth loss within supportive periodontal care: A systematic review with meta-analyses.
Journal of Clinical Periodontology. 2023.
PMID: 37402624
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37402624/
Long-term clinical benefits of periodontal interventions in strict supportive periodontal care: A systematic review.
Journal of Periodontology. 2026.
PMID: 41251445
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41251445/
Chen X, Xu C, Wu Y, Zhao L.
The survival of periodontally treated molars in long-term maintenance: A systematic review and meta-analysis.
Journal of Clinical Periodontology. 2024.
PMID: 38317331
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38317331/
医療情報について
本記事は、歯周病のSupportive Periodontal Careおよび長期メンテナンスに関するsystematic review、meta-analysisなどを参考に、歯科医師・毛利国安が監修しています。
定期的な歯科メンテナンスを受けることで、すべてのむし歯・歯周病・インプラント周囲疾患を予防できることを保証するものではありません。
また、適切なメンテナンス頻度や必要な処置内容は、歯周病歴、むし歯リスク、インプラント、補綴物、セルフケア、全身状態などによって異なります。
他院で行われた治療については、過去の資料や使用された材料・インプラントシステムなどを完全に確認できない場合があります。その場合も、現在確認できる臨床情報をもとに診査・評価を行います。
進行した歯周病、インプラント周囲炎、補綴物の破損などが認められた場合には、通常の予防メンテナンスとは別に治療が必要になることがあります。
監修:毛利 国安
歯科医師/PreBeau Oral Care 院長
大阪大学歯学部卒業
ミシガン大学 歯周病学分野 Postdoctoral Fellow
UCLA ACT Surgical Implant Dentistry Resident
ICOI Fellow
元 霞が関デンタルオフィス院長