歯茎が黒いのはなぜ?黒ずみ・色素沈着の原因と治療が必要なケースを歯科医師が解説
Last Updated on 1 week ago by prebeau
執筆・監修:毛利 国安(Kuniyasu Mori)
PreBeau Oral Care 院長・歯科医師
「歯茎が黒く見える」「以前より歯ぐきの色が濃くなった気がする」「歯は白いのに、笑ったときの歯茎の黒ずみが気になる」
このような歯ぐきの色のお悩みで相談される方は少なくありません。
ただし、歯茎が黒いからといって、必ず病気というわけではありません。 また、黒く見える歯茎がすべてガムピーリングの対象になるわけでもありません。
健康な歯ぐきでも、もともとのメラニン色素の量によって茶色や褐色に見えることがあります。一方で、喫煙に関連する色素沈着、歯科治療に使用した金属などによる色調変化、歯肉の炎症、薬剤や全身状態に関連する変化など、別の原因が関係していることもあります。
そのため、「歯茎をピンク色にしたい」と治療を考える前に、まずなぜ歯茎が黒く見えているのかを確認することが大切です。
この記事では、東京・赤坂のPreBeau Oral Care院長・歯科医師の毛利国安が、歯茎の黒ずみや色素沈着の主な原因、ガムピーリングを検討できるケース、治療前に歯科医院で確認したほうがよいケースについて解説します。
健康な歯茎は必ず「薄いピンク色」ではありません
健康な歯茎の色には個人差があります。
歯肉の色はメラニン色素だけで決まるものではなく、歯肉の厚み、血流、血管の見え方など、さまざまな要因の影響を受けます。
皮膚の色に個人差があるのと同じように、健康な歯ぐきでも薄いピンク色の方もいれば、茶色や褐色の色素が目立つ方もいます。
特に、以前から左右に比較的均一な褐色の色素沈着があり、腫れや出血、痛みなどがない場合には、生理的なメラニン色素沈着であることがあります。
生理的なメラニン色素沈着そのものは病気ではなく、健康上の理由から必ず治療しなければならないものではありません。
歯茎が黒く見える主な原因
「歯茎の黒ずみ」と呼ばれているものには、いくつかの異なる原因があります。
主なものとして、
- 生理的なメラニン色素沈着
- 喫煙に関連するメラニン色素沈着
- 歯科治療に使用した金属や材料による色調変化
- 歯周病などによる炎症
- 薬剤や全身状態に関連する色素沈着
- その他の口腔内の色素性病変
などが考えられます。
実際には見た目だけで明確に区別できない場合もあります。そのため、歯茎の色を改善したい場合でも、最初から治療方法を決めるのではなく、まず原因を確認することが重要です。
1.生理的なメラニン色素沈着
歯茎の黒ずみで比較的よくみられる原因が、メラニン色素による生理的な色素沈着です。
メラニンは皮膚だけでなく、口腔粘膜にも存在しています。その量や分布には個人差があるため、健康上の問題がなくても歯茎が茶色や褐色に見えることがあります。
このような生理的な色素沈着は、医学的には必ずしも治療を必要としません。
ただし、笑ったときに歯茎が見えやすい方などで、見た目の面から色調を改善したいという希望がある場合には、診査によってメラニン色素沈着であることを確認したうえで、歯肉の色調を改善する治療を検討できます。
PreBeau Oral Careで行っている治療については、東京・赤坂のリップ&ガム(歯茎)ピーリングをご覧ください。
2.喫煙に関連する歯茎の黒ずみ
喫煙習慣と口腔内のメラニン色素沈着との関連も報告されています。
ここで注意したいのは、喫煙による歯茎の黒ずみを単純に「タバコのヤニが歯茎に付着している」と考えるのは正確ではないということです。
歯の表面に付着するステインとは異なり、喫煙に関連した歯肉の色調変化には、メラニン色素の産生や沈着が関係すると考えられています。
そのため、歯磨きや通常の歯面クリーニングによって、歯肉そのもののメラニン色素が取れるわけではありません。
また、喫煙は歯周組織にも影響するため、黒ずみだけを切り離して考えるのではなく、歯茎全体の状態を確認することも大切です。
参考文献:
Association of lip pigmentation with smoking and gingival melanin pigmentation|PubMed
3.金属や歯科材料によって歯茎が黒く見える場合
歯茎全体ではなく、一部分だけ灰色や青黒く見える場合には、メラニンとは異なる原因も考える必要があります。
代表的なのが、過去の歯科治療に使用された金属や歯科材料に関連する色調変化です。
口腔粘膜に金属粒子などが入り込み、局所的に灰色や青黒く見える状態は、「アマルガムタトゥー」や「メタルタトゥー」などと呼ばれることがあります。
この場合はメラニン色素が原因ではありません。そのため、メラニン色素を対象とするガムピーリングを行っても、同じような改善は期待できません。
特に、被せ物や過去に治療した歯の近くに限局して黒い部分がある場合には、まず原因を確認することが重要です。
メラニン、メタルタトゥー、歯周病などの違いについては、歯茎の黒ずみはガムピーリングで治せる?メラニン・メタルタトゥー・歯周病の違いで詳しく解説しています。
4.歯周病などの炎症で歯茎が暗く見える場合
歯肉に炎症があると、健康な状態より赤みが強くなったり、赤紫色に見えたりすることがあります。
これはメラニン色素による茶色や褐色の色素沈着とは別の問題です。
歯磨きのときに出血する、歯茎が腫れている、口臭が気になる、歯がぐらつくといった症状を伴う場合には、審美目的のピーリングよりも、まず歯周組織の診査や治療を優先します。
「歯茎の色が暗いからピーリングをする」のではなく、その原因に合った対応を選ぶことが大切です。
5.薬剤や全身状態に関連する色素沈着
頻度は高くありませんが、口腔内の色素沈着には、服用している薬剤や全身状態が関係するものもあります。
口腔内の色素性病変に関する医学文献では、生理的な色素沈着のほか、薬剤性、外因性、全身疾患に関連するものなど、さまざまな原因が鑑別対象として挙げられています。
たとえば、
- 最近になって急に色が変わった
- 以前にはなかった黒い部分が現れた
- 一部分だけに濃い色がある
- 大きさや形が変化している
- 色が均一ではない
- 口の中以外にも色素の変化がある
- 服用薬を変更してから色調が変わった
といった場合には、ご自身で「メラニンだろう」と判断せず、一度歯科医師による確認を受けることをおすすめします。
「歯茎が黒い=ガムピーリング」ではありません
インターネットでは、「歯茎ホワイトニング」「歯茎ピーリング」「ガムピーリング」「歯茎のメラニン除去」など、さまざまな名称が使われています。
しかし、大切なのは治療名ではなく、黒く見えている原因が何なのかです。
口腔内の色素性病変には、生理的なメラニン色素沈着のように治療を必要としないものから、金属などによる外因性の色調変化、薬剤や全身状態に関連するものまでさまざまです。
そのため、PreBeau Oral Careでも、歯茎の色が気になるという理由だけですぐにガムピーリングを行うわけではありません。
まず歯肉の状態や色素沈着の範囲、過去の歯科治療、既往歴などを確認し、ガムピーリングの適応があるかを判断します。
どのような歯茎の黒ずみならガムピーリングを検討できますか?
診査の結果、黒ずみの主な原因が生理的なメラニン色素沈着であり、患者さんご自身が審美的な改善を希望されている場合には、歯肉のメラニン色素に対する治療を検討できます。
歯肉のメラニン色素沈着に対しては、レーザー、外科的な方法、電気外科、凍結療法、薬剤を使用する化学的デピグメンテーションなど、複数の方法が報告されています。
一方で、「一度治療すれば永久に色が戻らない」「一つの方法がすべての患者さんに最も優れている」と断定できるものではありません。
治療後に再び色素が目立つ再色素沈着が起こる場合もあり、その程度や時期には個人差があります。
PreBeau Oral Careではフェノール・アルコール法を採用しています
東京・赤坂のPreBeau Oral Careでは、診察によって歯茎の黒ずみが主としてメラニン色素によるものであり、治療の適応があると判断した場合、フェノール・アルコール法によるガム(歯茎)ピーリングを行っています。
フェノール・アルコール法は、フェノールを歯肉表面に作用させ、その後アルコールを用いて処置する化学的な歯肉デピグメンテーション法の一つです。
この方法は近年新しく登場した施術ではなく、歯科領域で以前から用いられてきた方法です。日本歯周病学会誌にも、フェノール・アルコール法とEr:YAGレーザーによる歯肉メラニン除去を比較した臨床研究が報告されています。
ただし、薬剤を使用する治療であるため、すべての患者さん、すべての歯茎の黒ずみに適しているわけではありません。
メラニン性の色素沈着であることを確認し、歯肉の状態、治療範囲、既往歴などを踏まえて適応を判断します。
PreBeau Oral Careで行っているフェノール・アルコール法による治療については、東京・赤坂のガムピーリング・歯茎の黒ずみ治療をご覧ください。
ガムピーリングそのものの方法や治療後の経過について詳しく知りたい方は、ガムピーリングとは?歯茎の黒ずみ・メラニン色素を除去する方法と治療後の経過もあわせてご覧ください。
フェノール・アルコール法に関する文献:
A Clinical Study of Treatment for Gingival Hyperpigmentation by Er:YAG Laser|日本歯周病学会会誌・J-STAGE
ガムピーリングは「歯茎を白くする治療」ではありません
検索では「歯茎ホワイトニング」という言葉が使われることもありますが、歯のホワイトニングと歯肉のガムピーリングは仕組みが異なります。
歯肉のメラニン色素沈着に対するガムピーリングは、歯を漂白するように歯茎を白くする治療ではありません。
メラニンによって濃く見えている歯肉の色調を改善することを目的とする治療です。
治療後の色や変化の程度には個人差があります。また、もともとのメラニン量などによって、時間の経過とともに再び色素が目立ってくることもあります。
ガムピーリング後はどのような経過になりますか?
PreBeau Oral Careで行っているフェノール・アルコール法では、施術後に歯肉表面が一時的に白っぽく見え、その後、表層が変化しながら徐々に回復していきます。
治療後の見え方や回復までの経過には個人差があります。
表面が変化している時期に無理に触ったり、剥がれかけている部分をご自身で取ったりしないことも大切です。
「ガムピーリングは痛いのか」「何日くらいで皮がむけるのか」「治療後の食事や歯磨きはどうすればよいのか」については、ガムピーリングは痛い?何日で皮がむける?ダウンタイムと注意点を歯科医師が解説で詳しく解説しています。
歯茎の黒ずみで一度診察を受けたほうがよいケース
以前から左右対称に存在し、大きな変化がない生理的な色素沈着であれば、健康上の理由から必ず治療しなければならないものではありません。
一方で、次のような場合には、美容目的のピーリングを行う前に歯科医師による確認を受けることが大切です。
- 最近になって黒い部分が現れた
- 短期間で大きさや色が変化している
- 一部分だけが濃く黒い
- 左右差が大きい
- 境界や色調が不均一
- 盛り上がり、潰瘍、出血などを伴う
- 歯茎の腫れや歯磨き時の出血がある
- 過去に治療した歯の周囲だけが灰色や黒色になっている
- 原因がはっきりしない
口腔内の色素性病変の多くは良性ですが、見た目だけでは判断できないものもあります。
診断が明確でない場合には、必要に応じて追加検査や専門医療機関への紹介を検討します。
まとめ|歯茎が黒いときは、治療の前に原因を確認しましょう
歯茎が黒く見える原因として比較的よくみられるのが、メラニン色素による生理的な色素沈着です。
生理的な色素沈着は病気ではなく、治療しなくても問題のないケースが多くあります。
一方で、喫煙に関連する色素沈着、歯科材料や金属に関連する色調変化、炎症、薬剤や全身状態に関連する変化など、メラニンとは異なる原因が考えられる場合もあります。
そのため、「歯茎が黒いから、とりあえずピーリング」ではなく、原因を確認してから適切な治療を選ぶことが重要です。
PreBeau Oral Careでは、歯茎の状態を確認し、主にメラニン性の色素沈着であり、フェノール・アルコール法の適応があると判断した場合にガムピーリングを行っています。
歯茎の黒ずみや色素沈着が気になっている方、自分の黒ずみにガムピーリングが適しているのか知りたい方は、PreBeau Oral Careのリップ&ガム(歯茎)ピーリングをご覧ください。
この記事の執筆・監修
毛利 国安(Kuniyasu Mori)
歯科医師・PreBeau Oral Care 院長
2005年 University of Washington卒業(Physiology)。2012年 大阪大学歯学部卒業。大阪大学歯学部附属病院での研修後、米国University of Michigan歯周病学分野で研究に従事。その後、UCLA School of DentistryのSurgical Implant Dentistry Residencyで臨床研修を行いました。
現在は東京・赤坂のPreBeau Oral Care院長として、予防と審美の両面から、できるだけ歯や口腔組織への負担を抑えた歯科医療を行っています。
PreBeau Oral Care院長・歯科医師 毛利国安のプロフィール
参考文献
- Abati S, Sandri GF, Finotello L, Polizzi E. Differential Diagnosis of Pigmented Lesions in the Oral Mucosa: A Clinical Based Overview and Narrative Review. Cancers. 2024.
PubMedで確認 - Gondak RO, da Silva-Jorge R, Jorge J, Lopes MA, Vargas PA. Oral pigmented lesions: Clinicopathologic features and review of the literature. Med Oral Patol Oral Cir Bucal. 2012.
PubMedで確認 - Tavares TS, et al. Differential diagnoses of solitary and multiple pigmented lesions of the oral mucosa: Evaluation of 905 specimens submitted to histopathological examination. Head Neck. 2021.
PubMedで確認 - Gul M, Hameed MH, Nazeer MR, Ghafoor R, Khan FR. Most effective method for the management of physiologic gingival hyperpigmentation: A systematic review and meta-analysis. J Indian Soc Periodontol. 2019.
PubMedで確認 - Matsuda S, Endou G, Motomura Y, Ohto T, Araki H. A Clinical Study of Treatment for Gingival Hyperpigmentation by Er:YAG Laser. 日本歯周病学会会誌. 2002.
J-STAGEで確認 - Lin YH, Tu YK, Lu CT, et al. Systematic review of treatment modalities for gingival depigmentation: a random-effects poisson regression analysis. J Esthet Restor Dent. 2014.
PubMedで確認
※本記事は、歯茎の黒ずみや口腔内の色素沈着について一般的な歯科医学情報を提供することを目的としています。個々の病変の診断や治療の適否は、実際の診察によって判断されます。