ボクシング・キックボクシング・空手・柔道のマウスピース|格闘技用マウスガードの選び方
Last Updated on 3 days ago by prebeau
ボクシングやキックボクシング、空手、MMA(総合格闘技)を始めて、
「マウスピースを用意してくださいと言われた」
「格闘技用なら厚いマウスピースの方がいい?」
「市販のマウスガードでも試合に出られる?」
「歯医者で作るマウスガードは何が違う?」
と調べている方も多いと思います。
格闘技では、顔面や顎に直接衝撃が加わる可能性があります。
そのためマウスガードは、歯の破折や脱臼、口唇・頬粘膜などの口腔外傷リスクを減らすための重要な防具のひとつです。
ただし、格闘技であればどのマウスガードでも同じというわけではありません。
競技によってルールが異なるだけでなく、
- フィット
- 保持力
- 厚み
- 呼吸のしやすさ
- 発音のしやすさ
- 歯並びや噛み合わせ
- 矯正装置の有無
なども考えて選ぶ必要があります。
この記事では、東京・赤坂のPreBeau Oral Care院長・歯科医師の毛利国安が、ボクシング・キックボクシング・空手・MMAなどで使用するスポーツマウスガードについて解説します。
格闘技ではなぜマウスガードが重要?
ボクシングやキックボクシング、空手、MMAなどでは、パンチやキックなどにより顔面や顎へ衝撃が加わることがあります。
その際に起こり得る口腔外傷には、
- 前歯が欠ける
- 歯が大きく割れる
- 歯が動く
- 歯が抜ける
- 唇や頬を歯で傷つける
- 歯を支える骨や周囲組織を損傷する
などがあります。
American Dental Association(ADA)も、コンタクトスポーツを含む歯・口腔外傷のリスクが高い活動では、適切にフィットしたマウスガードを装着することを推奨しています。マウスガードの使用がスポーツ関連の歯の外傷リスク低減につながることは、研究でも支持されています。(ADA)
参考:
American Dental Association|Athletic Mouth Protectors
ボクシングのマウスピース|「しっかり歯に合っている」ことが規則にも明記
ボクシングは、特にマウスガードの重要性が高い競技のひとつです。
日本ボクシング連盟の2026年4月1日改訂競技規則では、第20条「マウスピース」において、競技者は歯にしっかりと合ったマウスピースを使用しなければならないことが定められています。
ここで重要なのは、
「口に入ればよい」のではなく、歯にしっかり適合していること
です。
ボクシングでは「噛んでいないと落ちる」状態は避けたい
フィットが十分でないマウスガードでは、
「強く噛んでいないと落ちてくる」
ということがあります。
しかし、競技中は呼吸をしながら動き続ける必要があります。
マウスガードを保持するために常に強く噛み続けなければならない状態では、装着感が悪くなりやすく、競技中の負担につながる可能性があります。
理想的には、
口を少し開けても簡単には外れず、歯列に安定して保持されること
が重要です。
キックボクシングのマウスガード|団体・大会規則を確認
キックボクシングでも、顔面へのパンチやキックによる衝撃を受ける可能性があります。
そのためマウスガードは重要なプロテクターです。
ただし、キックボクシングには複数の競技団体、プロモーション、大会ルールがあります。
したがって、
「キックボクシング用なら、この色・この形で必ず出場できる」
とは一律には言えません。
大会に出場する場合には、
- 使用できる色
- 形状
- ストラップの有無
- 材質
- その他の指定
について、所属ジムや出場する大会の最新規則を確認してください。
空手のマウスガード|流派・団体・競技形式によって確認が必要
「空手」といっても競技形式はひとつではありません。
組手のルール、防具、接触の程度などは、団体や競技形式によって異なります。
公益財団法人全日本空手道連盟(JKF)でも競技規定は随時更新されており、2026年にも規定変更が行われています。(公益財団法人 全日本空手道連盟 | 日本体育協会・JOC加盟 空手競技団体)
そのため、過去のインターネット記事だけを見て、
「空手だからこのマウスガードで大丈夫」
と判断するのはおすすめできません。
大会に出る場合には、所属団体・大会の最新競技規定を確認してから製作することが重要です。
MMA・総合格闘技のマウスガードはどう選ぶ?
MMAでは、
- パンチ
- キック
- 膝
- 組み
- テイクダウン
- グラウンド
など、さまざまな動きがあります。
立ち技だけでなく組み技の最中にもマウスガードを装着し続けるため、
保護性能だけでなく、保持力と呼吸のしやすさも重要
になります。
MMAについても、プロモーション・大会・アマチュアルールなどによって装備規定が異なる場合があります。
試合用に製作する場合には、必ず出場する大会の最新ルールを確認してください。
格闘技用マウスガードは「厚ければ厚いほどいい」?
格闘技用というと、
「できるだけ分厚いマウスガードの方が安全なのでは?」
と思うかもしれません。
確かに、衝撃を受ける部分について必要な厚みを確保することは重要です。
しかし、マウスガードを単純に大きく・厚くすればよいわけではありません。
厚みを増やしすぎると、
- 違和感が大きくなる
- 発音しにくい
- 呼吸しにくい
- 吐き気を感じる
- 口が閉じにくい
などが生じる可能性があります。
格闘技用マウスガードでは、
「必要な場所には十分な材料を残しながら、競技中に使用できる形に整える」
というバランスが大切です。
市販のマウスピースと歯医者のオーダーメイド、何が違う?
格闘技用品店やインターネットでは、市販のマウスピースも購入できます。
代表的なのが、お湯で軟らかくして自分で歯型をつけるボイル・アンド・バイト型です。
市販品には、
- 比較的安価
- すぐに購入できる
- 自宅で成形できる
というメリットがあります。
一方、歯科医院のオーダーメイドマウスガードでは、実際の歯列に合わせて製作するため、
- 歯列への適合
- 保持力
- 厚みの調整
- 辺縁の調整
- 噛み合わせ
- 歯科治療部分への配慮
などを個別に確認できます。
2025年のシステマティックレビュー・メタ解析でも、カスタムメイドと自己適合型マウスガードについて、フィット、会話への影響、呼吸などの使用感が比較されています。(PubMed)
市販品とオーダーメイドの違いについては、こちらの記事で詳しく説明しています。
→ スポーツマウスガードは市販と歯科のオーダーメイドで何が違う?マウスピースの選び方を歯科医師が解説
格闘技用マウスガードで特に確認したい6つのポイント
1.口を開けても落ちにくいか
最も重要なポイントのひとつです。
マウスガードが歯列に適合していれば、常に強く噛んでいなくても一定の保持が期待できます。
逆に、
- 話すと落ちる
- 口を開けると外れる
- 舌で常に押さえている
という場合は、適合を確認した方がよいでしょう。
2.呼吸を妨げにくいか
格闘技では運動強度が高く、呼吸のしやすさは非常に重要です。
必要以上に大きいマウスガードでは違和感が増える場合があります。
特にスパーリングや試合で使用する場合は、実際に動いた状態で装着感を確認することも大切です。
3.前歯だけではなく奥歯側まで適切に設計されているか
非常に小さく切ってしまったマウスガードは装着感が軽くなる反面、保持や保護範囲に影響する可能性があります。
競技規則を確認したうえで、保護する範囲と使用感のバランスを考えます。
4.歯ぐきや粘膜に強く当たっていないか
スパーリング中にマウスガードが動くと、縁が歯ぐきや頬に当たることがあります。
痛みや傷が続く場合には、
「慣れれば大丈夫」
と我慢せず、調整できないか確認してください。
5.被せ物・インプラント・欠損歯などがないか
口の中の状態は選手によって異なります。
例えば、
- セラミッククラウン
- 大きな詰め物
- ブリッジ
- インプラント
- 欠損歯
- 動揺している歯
などがある場合には、その状態を確認したうえで製作することが重要です。
スポーツマウスガードは単に「歯型を取れば完成」というものではなく、現在の口腔内の状態を確認することも歯科医院で作る意味のひとつです。
6.試合で使用できる仕様か
非常に重要です。
歯科医院で作ったオーダーメイドであっても、
大会規則を満たしていなければ試合で使用できない可能性があります。
試合用の場合は、
- 競技名
- 所属団体
- 出場大会
- カテゴリー
- 色の指定
- その他の装備規則
を製作前に確認してください。
歯列矯正中でもボクシング用マウスピースは作れる?
ここは特に注意が必要です。
日本ボクシング連盟の現行2026年競技規則では、取り外せない歯列矯正装置を装着している選手について、矯正装置に適合するマウスピースの使用などが規定されています。
さらに健診時の歯科医師の診断書や、装着状況の確認などについても定められています。
したがって、
「普通のマウスピースを少し大きく作れば大丈夫」
とは限りません。
また矯正中は歯が移動します。
作った時点では合っていても、数か月後には適合が変わる可能性があります。
競技を続けながら矯正治療を行っている場合には、
矯正担当医とマウスガードを製作する歯科医師の両方に相談すること
をおすすめします。
マウスガードは脳震盪も防げる?
この点は、格闘技では特に誤解されやすい部分です。
マウスガードについては、歯や口腔・顎顔面外傷のリスク低減を目的として使用する根拠があります。
一方、
「マウスガードを装着すれば脳震盪を防げる」
と断定することはできません。
ADAも、脳震盪についての研究結果は、歯や口腔外傷予防のエビデンスほど一貫していないとしています。(ADA)
したがって、マウスガードをヘッドギアなど他の安全対策の代わりと考えるべきではありません。
マウスピースをつけるとパンチ力や運動能力が上がる?
「噛み合わせを整えるとパワーが上がる」
という説明を見かけることがあります。
マウスガードと筋力、瞬発力、持久力などの関係を調べた研究は存在します。
しかし、現時点では、
すべての選手についてマウスガードを装着すれば運動能力が向上すると断定できるわけではありません。
2023年のシステマティックレビューでは、一部の運動パフォーマンスで改善の可能性が示された一方、研究方法や評価項目のばらつきから慎重な解釈が必要とされています。2025年のアンブレラレビューでも、パフォーマンスへの影響についてはエビデンスにばらつきがあると整理されています。(PubMed)
PreBeau Oral Careでは、スポーツマウスガードについて、
まず歯や口腔を守るための装具
として考えています。
マウスガードはどのくらいで交換する?
「1年に1回」と一律に決められるわけではありません。
交換を検討する目安として、
- 穴が開いた
- 裂けている
- 強い噛み跡がある
- 一部分だけ極端に薄くなった
- 変形した
- 以前より外れやすい
- 新しく歯科治療をした
- 歯並びが変化した
- 矯正治療で歯が移動した
などがあります。
特に格闘技では繰り返し強く噛み込むため、定期的に状態を確認してください。
マウスガードはどう洗う?
使用後は汚れたままケースに入れず、
- 水またはぬるい水で洗う
- 必要に応じて柔らかいブラシなどで清掃する
- 十分に乾燥させる
- 通気性のあるケースで保管する
といった管理が基本です。
高温のお湯は素材を変形させる可能性があるため、避けた方が安全です。
臭いや汚れが取れない、変形しているなどの場合には交換も検討します。
初めてスパーリングをする前に作るのがおすすめ
「試合に出るようになったら良いマウスガードを作ればいい」
と思う方もいるかもしれません。
しかし、歯や口を打つ可能性があるのは試合だけではありません。
スパーリングを始めれば、練習中にも顔や顎に衝撃が加わる可能性があります。
そのため、
本格的なコンタクト練習を始める段階から適切なマウスガードを使用する
ことをおすすめします。
また、試合前日に初めて新しいマウスガードを装着するより、事前に練習で使用し、呼吸・保持・違和感などを確認しておく方が安心です。
東京・赤坂で格闘技用オーダーメイドマウスガードを検討している方へ
PreBeau Oral Careでは、ボクシング、キックボクシング、空手、MMAをはじめ、各種スポーツに使用する歯科医院製作のオーダーメイド・スポーツマウスガードに対応しています。
製作時には、
- 歯並び
- 噛み合わせ
- 歯や歯ぐきの状態
- 被せ物などの歯科治療
- 競技種目
- 使用目的
- フィット
- 呼吸や会話のしやすさ
などを確認します。
詳しくはこちらをご覧ください。
→ 東京・赤坂のオーダーメイド・スポーツマウスガード|PreBeau Oral Care
・単一層(単色)16,500円
・単一層マーブル・デザイン性 22,000円
・競技用オーダーメイド 38,500円(税込・自由診療)
試合で使用する場合には、所属団体・出場大会の最新マウスガード規定を事前に確認し、その内容を来院時にお知らせください。
よくある質問
Q. ボクシングではマウスピースは必要ですか?
日本ボクシング連盟の2026年4月1日改訂競技規則では、競技者は歯にしっかり合ったマウスピースを使用しなければならないと規定されています。大会に出場する場合は、必ず最新の競技規則も確認してください。
Q. キックボクシングでは市販のマウスピースでも大丈夫ですか?
使用できるかどうかは所属団体や大会の規則によります。市販品でも規則を満たす場合はありますが、フィットが悪い、口を開けると落ちるなどの場合には、オーダーメイドマウスガードも選択肢になります。
Q. 格闘技用マウスガードは厚い方がいいですか?
必要な部分に十分な厚みを確保することは重要ですが、単純に厚ければ厚いほどよいわけではありません。保護性能だけでなく、保持力、呼吸、発音、装着感とのバランスを考える必要があります。
Q. 矯正中でもボクシングはできますか?
矯正装置の種類や競技規則によって対応が異なります。日本ボクシング連盟では固定式矯正装置を使用する競技者について、適合するマウスピースや歯科医師の診断書などに関する規定があります。必ず矯正担当医、歯科医師、所属団体へ確認してください。
Q. マウスガードをつければ脳震盪を防げますか?
歯や口腔外傷のリスク低減については根拠がありますが、脳震盪予防については研究結果が一貫していません。マウスガードだけで脳震盪を防げるとは考えないことが重要です。
Q. MMA用とボクシング用でマウスガードは違いますか?
基本となる目的は共通していますが、競技中の動きや大会規則は異なります。実際に出場する競技・大会に合わせて仕様を確認することが重要です。
まとめ|格闘技用マウスガードは「保護性能+フィット+競技規則」で選ぶ
ボクシング、キックボクシング、空手、MMAなどでは、顔や顎へ直接衝撃を受ける可能性があります。
マウスガードを選ぶ際には、
- 競技規則を満たしている
- 歯列にしっかり適合している
- 口を開けても簡単に落ちない
- 必要な厚みが確保されている
- 呼吸を妨げにくい
- 歯や歯ぐきに問題がない
- 矯正中の場合は個別に確認する
ことが重要です。
単に「一番厚いもの」「一番高いもの」を選ぶのではなく、自分の口と競技に適したマウスガードを使用することが大切です。
市販品と歯科医院のオーダーメイドの違いを詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
→ スポーツマウスガードは市販と歯科のオーダーメイドで何が違う?
大学ラグビー・アメフト・ラクロスについてはこちらです。
→ ラグビー・アメフト・ラクロスのマウスガード|大学スポーツで使うマウスピースの選び方
スポーツマウスガードの製作についてはこちらをご覧ください。
→ PreBeau Oral Care|オーダーメイド・スポーツマウスガード
執筆・監修:歯科医師 毛利 国安
PreBeau Oral Care 院長
院長プロフィール・経歴
参考資料・文献
- 日本ボクシング連盟|各種規定・規則
- 全日本空手道連盟|競技ルール
- American Dental Association|Athletic Mouth Protectors (Mouthguards)
- Knapik JJ, et al. Effectiveness of Mouthguards for the Prevention of Orofacial Injuries and Concussions in Sports: Systematic Review and Meta-Analysis. Sports Med. 2019;49:1217-1232. PubMed
- Ingle A, et al. A comprehensive systematic review and meta-analysis comparing the comfort level of customized mouthguards to self-adapted mouthguards in athletes. Quintessence Int. 2025;56:382-392. PubMed
- Agarwal A, et al. Impact of mouthguards on the prevention of dentofacial injuries and sports performance among athletes: An umbrella review. J Indian Soc Pedod Prev Dent. 2025;43:163-172. PubMed