他院で入れたインプラントのメンテナンスは受けられる?転院・違う歯医者で診てもらうときの注意点
Last Updated on 2 weeks ago by prebeau
他院で入れ
「インプラントを入れた歯医者が遠くて通えなくなった」
「引っ越したので、近くの歯科医院でメンテナンスを受けたい」
「治療した医院が閉院してしまった」
「海外や他県でインプラントを入れたけれど、東京で診てもらえる歯科医院を探している」
「インプラントは入っているけれど、被せ物を入れる前に転院することになった」
インプラント治療後には、このような状況が起こることがあります。
結論からいうと、
他院で埋入されたインプラントでも、別の歯科医院で診査やメンテナンスを受けられる場合があります。
ただし、天然歯のクリーニングとは少し事情が異なります。
特に、
- インプラントのメーカー
- インプラントシステム
- 埋入された部位
- 使用されている上部構造
- スクリュー固定かセメント固定か
- 現在のインプラント周囲組織の状態
などによって、可能な対応が変わります。
PreBeau Oral Careでは、新しいインプラントの埋入手術は行っていません。
その代わり、
すでに他院などで埋入されたインプラントを、できるだけ長く維持していくためのメンテナンス、インプラント周囲疾患への非外科的ケア、必要に応じた被せ物(上部構造)の再製作・新規製作
を行っています。
詳しい診療内容は、東京・赤坂の他院インプラントメンテナンス・非外科的インプラント周囲炎ケアでご案内しています。
インプラントは「入れた歯医者でしか診てもらえない」わけではありません
インプラント治療を受けた医院で、その後も継続してメンテナンスを受けられるのであれば、それは一つの理想的な形です。
埋入した歯科医師は、
- どのメーカー・システムを使用したか
- どの位置に埋入したか
- 手術時の骨の状態
- 骨造成を行ったか
- どのような上部構造を設計したか
などの情報を把握しているからです。
しかし現実には、
- 引っ越し
- 転勤
- 海外からの帰国
- 埋入医院の閉院
- 担当医の退職
- 通院距離の問題
- メンテナンス方針を変えたい
などの理由で、同じ医院へ通い続けることが難しくなることがあります。
このような場合、インプラントが入っているというだけでメンテナンスを中断する必要はありません。
むしろ、継続してインプラント周囲組織の状態を確認していくことが重要です。
2025年のAO/AAPコンセンサスでも、インプラント周囲組織を長期的に安定させるために、継続的なsupportive peri-implant maintenance(支持的インプラントメンテナンス)が重要とされています。
なぜインプラントには継続的なメンテナンスが必要?
インプラントそのものは虫歯にはなりません。
しかし、その周囲には歯ぐきや骨があります。
プラークに関連した炎症がインプラント周囲粘膜に起こるとインプラント周囲粘膜炎、さらに支持骨の進行性喪失を伴う状態になるとインプラント周囲炎と診断されます。
2017 World Workshopのコンセンサスでは、インプラント周囲粘膜炎ではプロービング時出血が重要な臨床所見であり、インプラント周囲炎では、
- 炎症
- プロービング時出血や排膿
- プロービングデプスの増加
- エックス線上の骨吸収
などを組み合わせて評価するとされています。
つまり、
「痛くないから問題ない」
「インプラントがグラグラしていないから大丈夫」
だけでは判断できません。
インプラント周囲の炎症は、患者さん自身では気づきにくい段階から始まることがあります。
違う歯医者でメンテナンスするとき、何を持っていけばいい?
可能であれば、以前の歯科医院からインプラントに関する情報を入手しておくとスムーズです。
特に役立つのは次の情報です。
1. インプラントカード
インプラント治療後に、
- メーカー名
- インプラントシステム名
- サイズ
- 製品番号
などが記載されたカードやシールを渡されていることがあります。
持っている場合は大切に保管してください。
2. インプラントのメーカー・システム
インプラントはすべて同じ規格ではありません。
メーカーやシステムによって、
- インプラント体
- アバットメント
- スクリュー
- ドライバー
- 印象・スキャンパーツ
- 補綴関連パーツ
などが異なります。
そのため、メンテナンスだけでなく、ネジの緩みや被せ物の再製作などが必要になった場合には、どのインプラントシステムが使用されているのかが非常に重要になります。
過去の研究でも、患者さんの移動や多数のインプラントシステムの存在によって、記録がないインプラントの種類を特定することが臨床上の課題になることが報告されています。
3. 手術日・治療した部位
「何年前に、どの歯の位置へインプラントを入れたか」が分かると診査の参考になります。
正確な日付が分からなくても、
「2019年頃」
「右下の奥歯」
など、分かる範囲で構いません。
4. 過去のレントゲン・CT
治療直後や過去のエックス線画像があると、現在との比較に役立つことがあります。
特に骨の状態を評価するときには、
以前と比較して変化しているのか
が重要になる場合があります。
国際的なコンセンサスでも、上部構造装着後の基準となるエックス線画像やプロービングデータを記録しておくことが推奨されています。
5. これまでのメンテナンス記録
以前、
- 何ヶ月ごとに通院していたか
- インプラント周囲炎を指摘されたことがあるか
- 出血や排膿があったか
- 被せ物を外して清掃したことがあるか
- スクリューを締め直したことがあるか
なども参考になります。
インプラント情報が分からなくても診てもらえる?
まず診査やインプラント周囲組織の状態確認を行うこと自体は可能な場合があります。
ただし、
「インプラントの周囲を診ること」
と、
「インプラントの部品を外したり、被せ物を作り直したりすること」
は分けて考える必要があります。
単純な周囲組織の診査や清掃であれば、メーカー情報がなくても対応できる場合があります。
一方で、
- スクリューを外す
- アバットメントを交換する
- 上部構造を作製する
- 専用パーツを使用する
といった処置では、インプラントシステムの特定が必要になることがあります。
可能であれば、以前の医院に連絡し、
「使用したインプラントのメーカー・製品名・サイズ・接続規格が分かる資料をいただけますか」
と確認してみてください。
海外で入れたインプラントでも相談できる?
海外でインプラント治療を受けた方も基本的な考え方は同じです。
ただし、海外では日本国内で一般的ではないインプラントシステムが使用されている場合があります。
その場合、
- 日本国内でパーツを入手できるか
- 対応するドライバーがあるか
- 接続規格を確認できるか
などによって可能な処置が変わります。
そのため、海外で治療した方は特に、
implant card
implant manufacturer
implant system
implant diameter / length
prosthetic information
などが記載された資料があれば持参してください。
PreBeau Oral Careでは英語での診療にも対応しているため、海外の治療資料が英語の場合も内容を確認しながら相談できます。
他院でインプラントを入れたけれど、被せ物がまだ入っていない場合は?
これも相談できるケースがあります。
たとえば、
「インプラント体を埋入したところで転勤になった」
「海外でインプラントを入れたが、最終的な被せ物を入れる前に日本へ帰国した」
「埋入した歯科医院へ通えなくなった」
というケースです。
この場合は通常のメンテナンスとは違い、インプラント体に適合する上部構造を新しく作製できるかを確認する必要があります。
そのため、
- メーカー
- インプラントシステム
- インプラント径
- プラットフォーム
- 接続規格
などの情報が特に重要になります。
PreBeau Oral Careでは、必要なインプラント情報が確認でき、補綴的に対応可能と判断した場合には、他院で埋入されたインプラントに対して被せ物(上部構造)のみを作製する相談にも対応しています。
当院では、メンテナンス時のアクセスや残留セメントなどの問題も考慮し、症例に応じてスクリュー固定(screw-retained)の上部構造を基本的な選択肢として検討しています。
他院で埋入済みで被せ物がまだ入っていない方や、現在の被せ物を見直したい方は、インプラントの被せ物の設計・固定方法についての解説も参考にしてください。
スクリュー固定にはどんなメリットがある?
インプラントの被せ物には、大きく分けて、
- スクリューで固定する方法
- セメントで固定する方法
があります。
どちらにも適応がありますが、スクリュー固定では、必要に応じて歯科医院で上部構造へアクセスしやすいことがメリットの一つです。
また、セメント固定では、残留セメントがインプラント周囲組織の炎症に関連する可能性が以前から指摘されています。
そのためPreBeau Oral Careでは、
「見た目だけでなく、その後に外せるか・清掃できるか・修理できるか」
という長期的なメンテナンス性も考えて上部構造を検討します。
ただし、すべての症例でスクリュー固定が必ず優れているという意味ではありません。
インプラントの埋入位置、角度、使用されているシステム、審美性、咬合などによって適切な設計は変わります。
他院のインプラントの被せ物が取れた・割れた場合は?
これも「他院で治療したから何もできない」とは限りません。
まず、
- 被せ物だけの問題なのか
- スクリューが緩んでいるのか
- アバットメントに問題があるのか
- インプラント体そのものに問題があるのか
- 周囲組織に炎症があるのか
を区別する必要があります。
特に、
インプラント体そのものが動いている場合
は、単なる被せ物のトラブルとは異なります。
自己判断で市販の接着剤などを使用せず、歯科医院で状態を確認してください。
転院するとメーカー保証はどうなる?
ここは事前に確認しておきたいポイントです。
インプラント治療には、医院独自の保証制度が設定されている場合があります。
保証内容によっては、
- 指定された定期メンテナンスを受けること
- 他院で処置を受けないこと
- 一定期間ごとに受診すること
などが条件になっていることがあります。
そのため、まだ元の医院の保証期間中であれば、転院する前に保証規定を確認してください。
他院で診てもらう医学的な可否と、元の医院の保証が継続するかどうかは別の問題です。
インプラント周囲に出血・腫れ・臭いがある場合は?
単なる「クリーニング不足」と自己判断しないことが大切です。
インプラント周囲粘膜炎やインプラント周囲炎では、
- プロービング時出血
- 腫れ
- 発赤
- 排膿
- プロービングデプスの変化
- エックス線上の骨吸収
などが診断の手がかりになります。
インプラント周囲粘膜炎については、非外科的な機械的デブライドメントや口腔衛生の改善が重要です。
また、2019年の国際コンセンサスでは、インプラント周囲疾患に対して非外科的治療を初期治療として行うことが示されています。
一方、進行したインプラント周囲炎では、非外科的処置だけで完全な改善が得られないことがあります。
その場合には外科的治療を含めた評価が必要になることがあります。
PreBeau Oral Careでは、新規のインプラント埋入手術やインプラント周囲炎に対する外科手術は行わず、既存インプラントの診査・メンテナンス・非外科的ケアを中心に対応し、外科的処置が必要と判断される場合には適切な医療機関への紹介を行います。
この診療範囲については、PreBeau Oral Careのインプラントメンテナンス・非外科的インプラント周囲炎ケアで詳しくご確認いただけます。
メンテナンスの間隔は全員同じ?
一律ではありません。
インプラントのメンテナンス間隔は、
- 歯周病の既往
- インプラント周囲炎の既往
- プラークコントロール
- 喫煙
- 全身状態
- 被せ物の形態
- 清掃のしやすさ
- 出血の有無
- 残っている天然歯の状態
などを考慮して決めるのが望ましいとされています。
2019年のコンセンサスでは、一般には6か月またはそれより短い間隔が望ましいとしながらも、患者さんのリスクやセルフケア、補綴物の設計に応じて決めることが示されています。
さらに2026年のシステマティックレビューでも、患者ごとのリスクに応じたsupportive peri-implant therapyが臨床的な状態の維持に有用であることが示されています。
つまり、
「インプラントだから全員3か月」
ではなく、
その人、そのインプラントに合わせたメンテナンス計画
が重要です。
インプラントメンテナンスの内容や頻度については、インプラントを長く維持するためのメンテナンスについてでも詳しく解説しています。
「違う歯医者だから」とメンテナンスを止めないことが大切
インプラント治療を行った医院へ通えなくなったとき、
「ほかの歯医者では診てもらえないと思っていた」
と、そのまま何年もメンテナンスを受けなくなってしまうことがあります。
しかし、重要なのは誰が埋入したかだけではなく、現在インプラント周囲組織がどのような状態なのかを継続して確認することです。
2024年・2026年のシステマティックレビューでも、専門的な支持療法・継続的なメンテナンスの重要性が改めて示されています。
転居や転院などで埋入医院へ通えなくなった場合は、
- インプラントカードや治療資料を探す
- 可能なら以前の医院から資料を取り寄せる
- 現在のインプラント周囲組織を診査する
- 必要に応じてエックス線等で状態を確認する
- 自分のリスクに合わせたメンテナンス計画を立てる
という流れで考えるとよいでしょう。
PreBeau Oral Careで対応しているインプラントケア
PreBeau Oral Careは、インプラントを新しく埋入するための医院ではありません。
東京・赤坂で、
- 他院で埋入したインプラントのメンテナンス
- 転院後のインプラント管理
- 海外で埋入したインプラントの相談
- インプラント周囲組織の診査
- インプラント周囲粘膜炎・周囲炎への非外科的ケア
- インプラント上部構造の状態確認
- 清掃しにくい被せ物の相談
- 被せ物の再製作
- 他院で埋入済みのインプラントに対する上部構造のみの製作
などについて、現在の状態と使用されているインプラントシステムを確認しながら対応しています。
インプラント情報が分かる場合は、メーカー名・インプラントカード・治療記録などをお持ちください。
分からない場合も、まず現在確認できる情報から診査します。ただし、使用システムを特定できない場合や、国内で必要な部品を入手できない場合など、対応できない処置もあります。
東京・赤坂|他院で入れたインプラントのメンテナンス・周囲炎ケア・被せ物の相談
参考文献
- Berglundh T, et al. Peri-implant diseases and conditions: Consensus report of workgroup 4 of the 2017 World Workshop. Journal of Clinical Periodontology. 2018.
- Renvert S, et al. Diagnosis and non-surgical treatment of peri-implant diseases and maintenance care of patients with dental implants. International Dental Journal. 2019.
- Araújo TG, et al. Long-term Implant Maintenance: A Systematic Review of Home and Professional Care Strategies in Supportive Implant Therapy. Brazilian Dental Journal. 2024.
- Mojaver S, et al. Efficacy of supportive peri-implant therapy in the management of peri-implant mucositis and peri-implantitis: A systematic review. Journal of the American Dental Association. 2026.
- Avila-Ortiz G, et al. AO/AAP consensus on prevention and management of peri-implant diseases and conditions: Summary report. 2025.
- Michelinakis G, et al. Radiographic identification of threaded endosseous dental implants. Journal of Prosthetic Dentistry. 2002.
執筆・監修:毛利 国安(歯科医師/PreBeau Oral Care 院長)
UCLA ACT Surgical Implant Dentistry Residentとしてインプラント臨床研修を修了。ICOI Fellow。インプラント関連書籍の翻訳・執筆に携わり、『インプラント周囲炎を紐解く―診断・予防・管理のすべて』日本語版では翻訳統括を担当。
※本記事は一般的な歯科医療情報の提供を目的としています。他院で埋入されたインプラントへの対応可否は、使用されているインプラントシステム、周囲組織、骨の状態、上部構造、必要な部品の入手可否などによって異なります。個別の診断・治療については歯科医師による診査が必要です。