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大人の口腔筋機能療法(MFT)とは?舌・唇・呼吸を整えるトレーニング

Last Updated on 1 week ago by prebeau

「大人でもMFTはできますか?」

「舌の位置が低いと言われたけれど、トレーニングで治る?」

「口呼吸を改善するには舌を鍛えればいい?」

「いびきにもMFTは効果がある?」

MFTという言葉を聞くと、

「舌の筋トレ」

をイメージする方が多いかもしれません。

しかし、本来のMFT(口腔筋機能療法)は、舌だけを強くするためのトレーニングではありません。

舌。

唇。

頬。

呼吸。

嚥下。

咀嚼。

安静時の口腔姿勢。

などを評価し、必要に応じて口腔周囲の機能や習慣を整えていくアプローチです。

英語では、

Orofacial Myofunctional Therapy(OMT)

または

Oral Myofunctional Therapy

などと呼ばれます。

小児矯正と一緒に行われるイメージが強いMFTですが、成人を対象とした研究も増えています。

一方で、

「MFTをすれば口呼吸・いびき・睡眠時無呼吸・顔のたるみ・歯並びがすべて治る」

というものではありません。

2025年のscoping reviewではMFT/OMTに関する58研究がまとめられていますが、対象疾患やトレーニング内容に大きなばらつきがあり、質の高い研究はまだ十分ではないとされています。

この記事では、

  • 大人のMFTとは何か
  • どんなことをするのか
  • 低位舌との関係
  • 口呼吸との関係
  • いびき・睡眠時無呼吸との関係
  • 口唇閉鎖との関係
  • どんな人に向いているのか
  • 大人のプレオルソとの違い

について、現在のエビデンスを踏まえて歯科医師が解説します。

大人のプレオルソ|プレオルソ ユーティリティ


MFT(口腔筋機能療法)とは?

MFTは、

舌・唇・頬・顎などの口腔周囲組織の機能や習慣を評価し、必要に応じてトレーニングする方法

です。

例えば、

  • 舌の安静時位置
  • 舌の動き
  • 口唇閉鎖
  • 鼻呼吸
  • 嚥下
  • 咀嚼
  • 発音に関係する動き

などを確認します。

そのため、

「舌を鍛えるだけ」

ではありません。


大人でもMFTはできる?

できます。

MFTは小児だけのものではありません。

成人でも、

  • 安静時に口が開いている
  • 舌が低い位置にある
  • 舌で前歯を押す癖がある
  • 飲み込むときに舌が前へ出る
  • 唇を閉じにくい
  • 口呼吸がある
  • 矯正後の口腔機能を確認したい

といった場合に、口腔機能を評価することがあります。

ただし成人では、

成長期の子どもと同じ効果を期待するものではありません。


MFTでは何をする?

患者さんの状態によって異なりますが、例えば次のような内容があります。


1.舌の安静時位置を確認する

何も食べたり話したりしていないとき、

舌が普段どこにあるか

を確認します。

舌尖だけではなく、

  • 舌の前方
  • 中央部
  • 舌の動き
  • 口蓋との関係

などを見ます。


2.舌を動かす練習

舌を、

  • 上へ動かす
  • 左右へ動かす
  • 前後へ動かす
  • 特定の位置へ保持する

などの運動を行うことがあります。

ただし、

全員が舌の筋力トレーニングを必要とするわけではありません。


3.口唇閉鎖を確認する

力を入れなくても唇を閉じていられるかを確認します。

唇を閉じるだけで、

「顎先に梅干しのようなしわができる」

という場合には、オトガイ筋などを強く使って口を閉じている可能性があります。

その場合、

単純に「もっと口輪筋を鍛えればいい」とは限りません。


4.嚥下を確認する

飲み込むときの舌の使い方もMFTでは重要です。

例えば、

  • 舌が前歯を押している
  • 舌が歯と歯の間に出る
  • 唇に強く力が入る

などがみられることがあります。

これらを確認し、必要に応じて嚥下パターンの練習をします。


5.呼吸を確認する

MFTでは呼吸も重要です。

ただし、

「口呼吸だから鼻呼吸の練習をしましょう」

とすぐ始めるわけではありません。

まず、

鼻から十分に呼吸できるのか

を確認する必要があります。


鼻が詰まっていたらMFTより先に原因を確認

例えば、

  • アレルギー性鼻炎
  • 慢性鼻炎
  • 鼻中隔の問題
  • 副鼻腔炎
  • その他の鼻閉

がある場合、

舌や唇をトレーニングしても、鼻呼吸そのものが苦しい可能性があります。

その場合には、耳鼻咽喉科での評価が必要になることがあります。

つまり、

口を閉じる練習より先に、鼻から呼吸できる環境があるか

を確認することが重要です。


MFTと低位舌の関係

前の記事で解説したように、

低位舌(Low Tongue Posture)

という言葉があります。

一般的には、安静時の舌が比較的低い位置にある状態を指します。

MFTでは舌の安静時位置を評価し、必要に応じて舌位を意識するトレーニングを行うことがあります。

しかし、

低位舌=全員MFT

というわけではありません。


なぜ舌が低いのかを先に考える

例えば、

鼻が詰まっているため口を開けている。

顎や歯列との関係で舌のスペースが異なる。

舌の運動に制限がある。

口腔習癖がある。

など、舌位にはさまざまな要因が関係します。

したがって、

「舌が低いから上へ持ち上げればいい」

だけでは不十分な場合があります。


MFTで低位舌は改善する?

研究はありますが、エビデンスはまだ十分ではありません。

2025年に発表されたMFT/OMTのscoping reviewでは、

11,518件の文献から58研究が採用されました。

対象となった問題には、

  • 口唇閉鎖不全:13研究
  • 口呼吸:10研究
  • 異常嚥下:9研究
  • 舌小帯:8研究
  • 低位舌:2研究

などが含まれていました。

つまり、

低位舌を直接評価した研究は58研究のうち2研究

でした。

多くの研究では何らかの改善が報告されていましたが、著者らは質の高い研究が不足していることも指摘しています。


大人のMFTについて新しい研究も出ている

2026年には、口腔筋機能障害を有する若年成人を対象に、2種類のMFTプログラムを比較した研究が発表されています。

一方は、

呼吸+口腔周囲の姿勢

もう一方は、

呼吸+姿勢+筋力+嚥下

を含むプログラムでした。

ただし対象者は14人と非常に少ない研究です。

6か月後に一部の口腔機能評価で改善がみられましたが、

  • 筋力
  • 持久力
  • 口腔関連QOL

など、明確な変化がみられなかった項目もあります。

興味深い研究ではありますが、

これだけで成人MFTの標準治療法が確立したとは言えません。


MFTは「筋トレ」だけではない

この2026年研究でも興味深いのは、

筋力トレーニングを追加した群だけが特別に優れていたわけではない

という点です。

MFTというと、

「舌を強くする」

「口輪筋を鍛える」

というイメージになりやすいですが、

実際には、

  • 姿勢
  • 習慣
  • 安静時の位置
  • 嚥下
  • 呼吸

などを含む機能の再学習という側面があります。


MFTと口呼吸の関係

口呼吸を対象としたMFT研究もあります。

しかし、口呼吸には、

  • 鼻閉
  • 鼻炎
  • 鼻腔構造
  • 睡眠
  • 習慣
  • 口唇閉鎖
  • 舌位

など、さまざまな要因があります。

そのため、

口呼吸=MFTで治療

とは単純に考えません。


口呼吸ならまず「鼻→唇→舌」の順に考える

成人の口呼吸では、

1.鼻から呼吸できるか

鼻閉があるなら耳鼻咽喉科領域も考えます。

2.唇を自然に閉じられるか

無理に力を入れないと閉じられないかを確認します。

3.舌の安静時位置はどうか

舌がどこに位置しているか確認します。

4.嚥下はどうか

舌突出などがないかを評価します。

このように順番に見ていきます。


MFTはいびきに効果がある?

いびきや閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)に対するMFTも研究されています。

ここは研究結果を慎重に解釈する必要があります。

2024年のsystematic review・meta-analysisでは、成人OSA患者でMFTによるAHIや眠気などの改善が報告されました。

一方、2025年のnetwork meta-analysisでは成人で、

  • 日中の眠気
  • 睡眠の質
  • いびきの強さ

などの改善がみられましたが、

全体としてAHIの低下は統計学的に有意ではありませんでした。

つまり、reviewによって結果にばらつきがあります。


2026年の最新レビューでは?

2026年に発表されたoverview of systematic reviewsでは、

9件のsystematic review、

21件の重複しない一次研究、

計716人

が再解析されました。

成人ではMFTにより、

  • OSA重症度
  • 日中の眠気
  • 睡眠の質
  • 最低酸素飽和度

などで改善が示されました。

一方で、

9レビュー中5件の方法論的質が「critically low」

であり、一次研究にもhigh risk of biasが多く、

著者ら自身も結果は慎重に解釈する必要があるとしています。


つまりMFTで睡眠時無呼吸は治せる?

このようには考えません。

MFTをCPAPなどの確立された治療の代わりとして自己判断で使用することは適切ではありません。

OSAが疑われる場合には、

まず睡眠医療で診断を受けることが重要です。

そのうえで、

  • CPAP
  • 睡眠時無呼吸用口腔内装置(MAD/MAS)
  • その他の治療

を検討します。

MFTは患者さんによって、

補助的なアプローチ

として検討される場合があります。


CPAPをMFTに変更していい?

自己判断で変更しないでください。

CPAPを使用している患者さんが、

「舌トレを始めたのでCPAPをやめます」

という判断をするのは適切ではありません。

睡眠検査や医師による評価なしに、OSAが改善したかを判断することはできません。

いびきが小さくなったとしても、

AHIが正常化しているとは限りません。


いびきが減った=睡眠時無呼吸が治った、ではない

これも重要です。

MFT研究ではいびきの改善が報告されることがあります。

しかし、

いびきの音とOSAの重症度は同じものではありません。

「家族から静かになったと言われた」

だけで、睡眠時無呼吸が治療できたとは判断しません。


MFTと睡眠時無呼吸用マウスピースは別?

別です。

OSAに対して歯科で使用される代表的な装置には、

下顎前方移動型口腔内装置(MAD/MAS)

があります。

これは睡眠中に下顎を前方へ誘導し、上気道を保ちやすくするための専用装置です。

一方MFTは、

舌・口唇・咽頭周囲などの機能をトレーニングするアプローチ

です。

目的も方法も異なります。


大人のプレオルソとMFTは同じ?

これも別です。

PreBeau Oral Careで扱う**大人のプレオルソ(プレオルソ ユーティリティ)**は、歯科用咬合スプリントです。

主に、

  • 歯ぎしり
  • 食いしばり
  • 補綴物の保護
  • インプラントへの負担
  • 顎関節への負担
  • 矯正後の歯列安定

などを考える際に使用します。

大人のプレオルソ|プレオルソ ユーティリティ

一方MFTは、

口腔周囲の機能や習慣へアプローチするもの

です。


プレオルソを装着すればMFTは必要ない?

目的が違うため、一概には言えません。

例えば、

歯ぎしりからセラミックを保護するために咬合スプリントを使っている。

同時に、

日中はいつも口が開いていて、舌突出嚥下もみられる。

という患者さんであれば、

装置による保護と口腔機能へのアプローチを別々に考える

必要があります。


逆にMFTをすればマウスピースはいらない?

これも目的によります。

MFTを行っても、

  • 睡眠時ブラキシズム
  • セラミックへの負担
  • インプラントへの負担
  • 補綴物保護

が必要な患者さんでは、咬合スプリントを検討することがあります。

MFTと咬合スプリントは、

どちらが上かを競う治療ではありません。


大人のMFTはどんな人に向いている?

例えば、

  • 安静時に口が開いている
  • 鼻呼吸できるのに口が開く癖がある
  • 舌の安静時位置が気になる
  • 舌突出嚥下がみられる
  • 唇を閉じにくい
  • 矯正後の口腔習癖が気になる

といった場合には、口腔機能を評価する意味があります。

ただし、

MFTが必要かどうかは診査して判断します。


MFTが向かない・先に別の診療が必要なこともある

例えば、

鼻が強く詰まっている

耳鼻咽喉科での評価が優先される場合があります。

睡眠中に呼吸が止まる

睡眠時無呼吸の評価を優先します。

強い顎関節痛がある

TMDなどの診査が必要です。

舌の運動制限が疑われる

構造的・機能的な評価を行います。

このように、

トレーニングを始める前の診断・評価

が非常に重要です。


MFTはどのくらい続ける?

研究で使用されているプロトコルは統一されていません。

運動内容。

頻度。

1回の時間。

治療期間。

すべて研究によって異なります。

そのため、

「1日○分を○週間すれば必ず改善する」

という標準的な成人MFTプログラムが確立しているわけではありません。

患者さんの状態に応じて考えます。


毎日続けないと意味がない?

MFTは、歯科医院で数分トレーニングするだけではなく、

日常の習慣を変えていくこと

が重要になる場合があります。

例えば、

  • 安静時の舌位
  • 口唇閉鎖
  • 嚥下
  • 呼吸

は日常生活の中で何度も行われる機能だからです。

そのため継続性やアドヒアランスは重要です。


やりすぎれば早く改善する?

そうとは限りません。

舌や唇を必要以上に強く使うことが目的ではありません。

例えば、

舌を一日中力いっぱい口蓋へ押しつける

必要はありません。

筋力。

安静時姿勢。

協調運動。

習慣。

はそれぞれ違います。

目的に合った練習が重要です。


MFTは顔のたるみ・小顔にも効果がある?

MFTは、

美容的なフェイスリフトを目的とした治療ではありません。

一部の顔面運動研究では美容的な変化が報告されていますが、研究規模が小さく、確実な若返り効果を証明するにはエビデンスが不足しています。

したがって、

「MFTをすれば小顔になる」

「ほうれい線が消える」

「フェイスラインが上がる」

とは説明できません。

MFTでは口腔機能を目的に考えます。


MFTで歯並びは治る?

成人の場合、

MFTだけで歯を大きく移動させて歯並びを治療することはできません。

歯列を動かす必要があれば、矯正治療が必要です。

一方、

  • 舌で前歯を押す
  • 異常嚥下
  • 口唇閉鎖
  • その他の習癖

がある場合には、矯正治療と口腔機能を別々に評価する意味があります。


矯正後の後戻り予防にもMFTは必要?

矯正後の歯列安定には、

リテーナーによる保定が非常に重要です。

口腔周囲機能についても評価する意味がありますが、

MFTをすればリテーナーが不要になるわけではありません。

このテーマは次の記事、

「矯正後に歯並びが戻るのはなぜ?後戻りの原因とリテーナー・口腔周囲筋の関係」

で詳しく解説します。


PreBeau Oral Careでは「とりあえず舌トレ」にはしません

舌が低い。

口が開いている。

いびきをかく。

だからMFT。

という順番ではありません。

まず、

なぜその状態になっているのか

を確認します。

鼻から呼吸できるのか。

唇を閉じられるのか。

舌は十分動くのか。

嚥下はどうか。

歯並びはどうか。

睡眠中に無呼吸がないか。

歯ぎしり・食いしばりもあるのか。

そのうえで、

  • MFT
  • 咬合スプリント
  • 耳鼻咽喉科
  • 睡眠医療
  • 矯正
  • 経過観察

などを必要に応じて選びます。

一つの症状に一つの治療を当てはめるのではなく、原因を整理してから必要なものを選ぶ。

PreBeau Oral Careではこの考え方を大切にしています。

院長・歯科医師 毛利国安について


外部メディアでもPreBeau Oral Careが紹介されています

いびきと無呼吸の総合情報サイト**「ziiiiigu(ジィーグ)」**でも、PreBeau Oral Careの医院情報、院長経歴、プレオルソ・ユーティリティを用いた診療について紹介されています。

ziiiiigu|PreBeau Oral Care 紹介ページ

※外部メディアでの医院紹介は、MFTや各治療法の医学的有効性を示す研究論文とは別の情報です。


まとめ|大人のMFTは「舌を鍛えれば全部治る」トレーニングではない

MFT(口腔筋機能療法)は、

舌だけの筋力トレーニングではありません。

  • 舌の安静時位置
  • 舌の運動
  • 口唇閉鎖
  • 嚥下
  • 呼吸
  • その他の口腔周囲機能

を評価し、必要に応じて機能や習慣を整えていく方法です。

成人でも行われていますが、

何にどの程度有効なのかについては、まだ研究途上の領域も多くあります。

2025年のscoping reviewでは58研究が確認されましたが、対象・方法は多様で、高水準のエビデンスは不足しています。

OSAについても、MFTによる改善を示す研究はあります。

2026年のsystematic reviewのoverviewでも成人の、

  • OSA重症度
  • 日中の眠気
  • 睡眠の質
  • 最低酸素飽和度

などに改善が報告されました。

一方で研究の方法論的質には大きな問題があり、

CPAPなど確立された治療の代わりとして自己判断で行うものではありません。

また、

MFTと、

大人のプレオルソ(プレオルソ ユーティリティ)

も同じものではありません。

MFTは口腔周囲の機能・習慣へのアプローチ。

大人のプレオルソは歯ぎしり・食いしばり、補綴物、インプラント、顎関節、矯正後の歯列安定などを考える歯科用咬合スプリントです。

患者さんによっては両方を考えることもあります。

大切なのは、

「MFTをやること」ではなく、「何のためにMFTをするのか」を明確にすること。

鼻。

舌。

唇。

嚥下。

歯。

顎。

睡眠。

それぞれを評価し、必要なものだけを選択することが重要です。

大人のプレオルソ|プレオルソ ユーティリティ


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執筆・監修:歯科医師 毛利 国安
PreBeau Oral Care