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口元のたるみはなぜ起こる?口輪筋・舌・口呼吸との関係を歯科医師が解説

Last Updated on 1 week ago by prebeau

「最近、口角が下がってきた気がする」

「口元がたるんで老けて見える」

「口呼吸をしていると顔がたるむ?」

「舌を正しい位置に置けばフェイスラインが上がる?」

「口輪筋を鍛えれば、ほうれい線は薄くなる?」

口元の見た目が気になり始めると、

口輪筋

低位舌

口呼吸

舌トレ

MFT(口腔筋機能療法)

などの言葉を目にすることがあります。

SNSでは、

「舌が下がると顔がたるむ」

「口呼吸で老け顔になる」

「舌を上顎につければフェイスラインが上がる」

といった説明も見かけます。

しかし、ここは少し慎重に考える必要があります。

顔や口元のたるみは、舌や口輪筋だけで起こるものではありません。

加齢に伴う顔貌の変化には、

  • 皮膚
  • 皮下組織
  • 脂肪
  • 筋肉
  • 骨格
  • 結合組織
  • 紫外線などの環境因子

といった複数の要素が関係します。

口輪筋や舌などの口腔周囲筋は、口元の機能にとって非常に重要ですが、

「口輪筋を鍛えれば顔のたるみが治る」
「低位舌を治せばリフトアップする」

とまで言える十分な科学的根拠は、現時点ではありません。

この記事では、

  • 口元のたるみが起こる理由
  • 口輪筋の役割
  • 舌の位置との関係
  • 口呼吸との関係
  • ほうれい線・口角との関係
  • 舌トレ・顔トレのエビデンス
  • MFTでできること
  • 歯科で確認できる口元の機能

について、「美容」と「口腔機能」を混同しないように歯科医師が解説します。

大人のプレオルソ|プレオルソ ユーティリティ


そもそも「口元のたるみ」とは?

「口元のたるみ」は医学的に一つの診断名ではありません。

患者さんが「たるみ」と感じているものには、

  • 口角が下がって見える
  • ほうれい線が目立つ
  • マリオネットラインが目立つ
  • 唇周囲にしわが増えた
  • 頬が下がったように見える
  • フェイスラインがぼやける
  • 下顔面が長く見える

など、さまざまな変化が含まれます。

そして、それぞれで関係する組織が異なります。


顔のたるみは「筋肉だけ」の問題ではない

顔は一枚の皮膚だけでできているわけではありません。

大きく考えると、

  • 深部脂肪
  • 筋肉・筋膜
  • 表層脂肪
  • 皮膚

など複数の層から構成されています。

加齢に伴って、それぞれの層に変化が生じます。

例えば、

皮膚

弾力性や質感が変化します。

脂肪

部位によって量や分布が変化します。

骨格

成人後も顔面骨には加齢に伴う形態変化が起こります。

筋肉

筋肉の厚みや活動、安静時の緊張状態などが変化する可能性があります。

つまり、

口元のたるみ=口輪筋が弱ったから

と一つの原因だけで説明するのは難しいのです。


口輪筋とは?

口輪筋(Orbicularis Oris)は、唇の周囲に存在する筋肉です。

口を閉じたり、

唇をすぼめたり、

発音したり、

食べ物や飲み物を口からこぼさないようにしたりする際に関わります。

つまり、

口輪筋は「唇を機能させるための重要な筋肉」

です。


口輪筋が弱いと口が開きやすくなる?

口唇閉鎖には、口輪筋を含む口周囲の筋肉が関係しています。

そのため、口唇閉鎖機能が十分でない患者さんでは、

  • 安静時に口が開く
  • 唇を閉じると顎先に力が入る
  • 食事中に唇からこぼれやすい
  • 口呼吸がみられる

といったことがあります。

ただし、

口が開いている=口輪筋が弱い

とも限りません。

例えば、

鼻が詰まっている。

前歯が前方へ突出している。

上下顎の位置関係から唇を閉じにくい。

など、筋力以外の要因でも口は開きやすくなります。


「唇を閉じにくい」と「顔がたるむ」は同じ?

同じではありません。

口唇閉鎖不全は機能的な問題です。

一方、

顔のたるみは主に美容的・形態的な表現です。

両者に関係する組織が一部重なる可能性はありますが、

唇を閉じにくい人は必ず顔がたるむ

という因果関係は確立されていません。

ここを分けて考えることが重要です。


口輪筋を鍛えれば口元はリフトアップする?

顔の筋肉を動かす運動については研究があります。

2025年に発表されたsystematic reviewでは、

  • facial exercise
  • myofunctional therapy
  • manual massage

などの非侵襲的な方法を調べた12研究、計321人が評価されました。

一部の研究では、

  • 顎のライン
  • 目の周囲
  • 筋肉の厚み
  • 皮膚弾力

などで局所的な改善が報告されています。

しかし、

  • 対象者数が少ない
  • 研究方法が統一されていない
  • 評価方法がばらばら
  • 対象が321人すべて女性
  • 長期的な結果が十分ではない

といった問題があります。

そのため、このsystematic reviewでも、

顔の運動による美容効果を確実に証明するには、現在のエビデンスはまだ不十分

と結論づけられています。


つまり「顔トレ」は意味がない?

そこまで言うこともできません。

研究によっては、

  • 筋肉の厚み
  • 筋緊張
  • 一部の皮膚弾力
  • 主観的な顔貌評価

などに変化がみられています。

ただし、

どんな運動を、どのくらい、何か月行えば、どの程度変わるのか

という標準的な方法はまだ確立されていません。

したがって、

「毎日○分で10歳若返る」

「ほうれい線が必ず消える」

「フェイスラインが必ず上がる」

といった表現には根拠がありません。


ほうれい線は口輪筋を鍛えれば消える?

ほうれい線も一つの筋肉だけで形成されているわけではありません。

顔の加齢変化には、

  • 皮膚
  • 脂肪
  • 骨格
  • 周囲組織
  • 筋肉の動き

などが複合的に関係します。

したがって、

口輪筋トレーニングだけで、ほうれい線が消失する

とは言えません。

口腔機能を改善するための運動と、美容的なシワ治療は分けて考えたほうがよいでしょう。


口角が下がるのも口輪筋のせい?

口角周囲には、口輪筋だけではなく複数の表情筋があります。

さらに見た目には、

  • 皮膚
  • 脂肪
  • 下顔面の骨格
  • 歯の位置
  • 唇の形態
  • 加齢

なども影響します。

つまり、

「口角が下がる=口輪筋が弱い」

という単純な診断はできません。


歯がなくなると口元の見た目は変わる?

これは歯科で非常に重要なポイントです。

歯は噛むためだけにあるわけではありません。

特に前歯や臼歯は、

  • 口元の輪郭
  • 下顔面の高さ

などにも関係します。

多数の歯を失ったり、噛み合わせの高さが大きく変化したりすると、口元の見え方が変化することがあります。

そのため、口元の見た目を考える場合には、

皮膚や筋肉だけではなく歯や噛み合わせも確認する

ことが歯科的には重要です。


前歯の位置も口元に関係する?

はい。

前歯の位置は唇の支持や口元の突出感などに関係します。

例えば、

  • 前歯が前方に出ている
  • 歯列が内側に入っている
  • 歯を失っている
  • 補綴物の位置が適切でない

場合などでは、口元の見え方が変わることがあります。

しかし、

美容目的だけで健康な歯を大きく削る

ような処置には慎重であるべきです。

口元の美容を考える場合でも、できるだけ天然歯を守るという視点が大切です。


舌の位置と口元のたるみは関係する?

前の記事で解説したように、

低位舌(Low Tongue Posture)

という言葉があります。

舌の安静時位置が比較的低い状態を指して使われます。

舌は、

  • 嚥下
  • 発音
  • 咀嚼
  • 口腔内での食塊形成

などに重要な役割を持っています。

また口唇や顎、呼吸との機能的な関連もあります。

しかし、

低位舌そのものが顔のたるみを起こす

ということを、成人で強く証明した研究はありません。


舌を上顎につければフェイスラインが上がる?

SNSなどでは、

「舌を上顎につけると小顔になる」

「フェイスラインが上がる」

「二重顎がなくなる」

といった情報を見かけます。

成人では、舌の位置を変えるだけで、

  • 顎骨が大きく変化する
  • 顔の脂肪が減少する
  • 皮膚がリフトアップする

といった効果を確立した質の高いエビデンスはありません。

舌の安静時位置を整えることと、

美容的なリフトアップ

は別の話です。


「Mewing(ミューイング)」は効果がある?

Mewingは、舌を口蓋へ押し当てることなどによって顔貌や顎の形を変化させようとする方法としてSNSで広まりました。

しかし、成人において、

Mewingで顎骨やフェイスラインを大きく変化させられる

ことを支持する質の高い臨床研究は不足しています。

2025年の顔面運動・非侵襲的若返り法に関するsystematic reviewでも、Mewingを含むこうした方法について、オンライン上の人気に対して科学的根拠は十分ではないと指摘されています。


舌は「ずっと強く上に押す」ものではない

安静時舌位と、

舌を力いっぱい口蓋へ押し続けること

は同じではありません。

正常な安静時には、舌に強い力を入れ続ける必要はありません。

過剰に力を入れる習慣をつけるのではなく、

  • 舌の安静時位置
  • 嚥下
  • 鼻呼吸

など、機能全体を見ることが重要です。


口呼吸をすると顔がたるむ?

ここも検索されることが多いテーマです。

成人の口呼吸と、

  • 姿勢
  • TMD
  • 咀嚼筋活動
  • 咀嚼機能

との関係を調べた2026年のsystematic reviewがあります。

口呼吸者では、

  • 頭部前方位
  • TMDの割合
  • 咀嚼筋活動
  • 咀嚼効率

などに違いがみられる研究がありました。

しかし、

エビデンスの確実性は「very low」

と評価されています。

さらにこのreviewでは、

成人の口呼吸と「顔のたるみ」そのものを直接評価したわけではありません。

そのため、

口呼吸をすると顔がたるむ

と断定することはできません。


では、口呼吸は美容面では何も関係ない?

「何も関係しない」と断言することもできません。

口呼吸がある人では、

  • 安静時に口が開いている
  • 唇を閉じにくい
  • 舌位が異なる
  • 頭部姿勢が異なる

などがみられることがあります。

そのため、口を閉じたときの見え方や表情に違いを感じる可能性はあります。

しかし、

「皮膚や脂肪がたるむ」

という加齢変化と、

「安静時に口が開いている」

という機能的な問題は区別する必要があります。


口呼吸を治せば口角が上がる?

これも保証できません。

例えば鼻閉が改善し、自然に唇を閉じられるようになれば、

安静時の口元の表情

が変わる可能性はあります。

一方、

  • 皮膚のたるみ
  • 脂肪の分布
  • 骨格変化
  • 深いしわ

まで鼻呼吸によって元に戻るとは言えません。


「口がポカンと開く」のは美容より先に機能を確認する

成人でも、

  • 日中いつも口が開いている
  • 眠っていると口が開く
  • 唇を閉じると顎先に力が入る
  • 鼻呼吸が苦しい

場合には、

見た目だけではなく機能面を確認する価値があります。

特に鼻呼吸ができない場合には、

  • アレルギー性鼻炎
  • 鼻閉
  • 鼻腔の構造

なども考えます。


口輪筋を鍛える前に鼻が通るか確認する

これは重要です。

鼻が慢性的に詰まっている患者さんに、

「口を閉じてください」

「口輪筋を鍛えてください」

と指導しても、鼻から十分に空気が入らなければ苦しくなります。

したがって、

鼻呼吸できる環境があるか

を確認する必要があります。

必要に応じて耳鼻咽喉科での評価を検討します。


MFTは口元のたるみに使える?

MFT(口腔筋機能療法)は本来、

美容的なフェイスリフトを目的とした治療ではありません。

MFTでは、

  • 舌の安静時位置
  • 口唇閉鎖
  • 舌の運動
  • 嚥下
  • 呼吸
  • その他の口腔周囲機能

を評価し、必要に応じてトレーニングします。

したがって、

口唇閉鎖不全などがある人では、口元の使い方に変化がみられる可能性はあります。

しかし、

MFT=顔のたるみ治療

とは考えないほうが適切です。


MFTにはどのくらいエビデンスがある?

2025年に発表されたscoping reviewでは、11,518件の文献から58研究が採用されました。

対象となったのは、

  • 口唇閉鎖不全
  • 口呼吸
  • 低位舌
  • 異常嚥下
  • 舌小帯
  • 口腔習癖

などです。

多くの研究で良好な変化が報告されていましたが、

質の高いランダム化比較試験は少なく、

MFT全体の有効性を確定するには高水準のエビデンスが不足している

と結論づけられています。

そのため、

「MFTをやれば必ず口元が若返る」

とは言えません。


MFTと顔トレは同じ?

目的が違います。

MFT

口腔周囲機能の改善を目的とします。

美容目的のフェイシャルエクササイズ

顔貌・美容的変化を目的とします。

一部の運動内容が似ていることはありますが、

目的も評価項目も同じではありません。


歯科では口元の何を見られる?

口元が気になる患者さんに対して、歯科では例えば、

前歯の位置、歯の欠損、摩耗など。

噛み合わせ

咬合高径や歯列。

自然に閉じられるか。

安静時位置や動き。

呼吸

鼻呼吸が可能か。

嚥下

舌で前歯を押していないか。

歯ぎしり・食いしばり

口腔周囲への負担がないか。

補綴物

被せ物や義歯が口元を適切に支えているか。

などを確認できます。


「口元が老けて見える」が歯の問題の場合もある

例えば、

  • 前歯が摩耗して短くなった
  • 多数歯を失っている
  • 義歯が合っていない
  • 噛み合わせの高さが大きく変化した
  • 前歯の補綴物の位置が不自然

などでは、口元の見え方が変わることがあります。

この場合には、

表情筋トレーニングだけでは解決しない可能性があります。


逆に、歯科だけでは治せない「たるみ」もある

これは明確にしておく必要があります。

皮膚の弾力低下。

脂肪組織の変化。

顔面骨格の加齢変化。

などが主体の場合、

歯科的な口腔機能管理だけで美容的なたるみを治療することはできません。

歯科が担当できる領域と、美容医療・皮膚科・形成外科などの領域を分けて考えること

が大切です。


大人のプレオルソで口元のたるみは改善する?

ここも明確に分けます。

PreBeau Oral Careで扱う**大人のプレオルソ(プレオルソ ユーティリティ)**は歯科用咬合スプリントです。

主に、

  • 歯ぎしり・食いしばりによる歯や補綴物への負担
  • インプラントへの負担
  • 顎関節への負担
  • 矯正後の歯列安定

などを考える際に使用します。

大人のプレオルソ|プレオルソ ユーティリティ

顔のたるみをリフトアップするための美容器具ではありません。

ここは誤解しないようにしてください。


では口元の見た目と大人のプレオルソは無関係?

美容効果を目的に使用するわけではありません。

ただし患者さんによっては、

  • 歯ぎしり
  • 食いしばり
  • 顎の疲労
  • 口呼吸
  • 舌・口唇機能
  • 矯正後の後戻り

など複数の問題が同時に存在します。

そのような場合には、

口元を「見た目」だけでなく「機能」から評価する

ことに意味があります。

必要であれば、

  • 咬合スプリント
  • MFT
  • 歯科的な治療
  • 耳鼻咽喉科
  • 睡眠医療

などを組み合わせて考えます。


口元を若々しく見せるために歯科で大切なのは「機能を壊さないこと」

美容を気にするあまり、

「もっと口元を引っ込めたい」

「ほうれい線が気になるから歯を削りたい」

という方向へ進むことがあります。

しかし、

健康な歯を削れば元には戻りません。

歯科で口元を考えるときには、

  • 天然歯
  • 歯列
  • 噛む機能

を守りながら考えることが重要です。


PreBeau Oral Careでは「口元」を美容と機能の両方から考えます

PreBeau Oral Careでは、

口元の見た目が気になる場合にも、

単に、

「筋肉が弱いから鍛えましょう」

とは考えません。

まず、

どこが気になっているのか

を整理します。

皮膚なのか。

唇なのか。

歯なのか。

歯並びなのか。

歯の欠損なのか。

口唇閉鎖なのか。

舌なのか。

口呼吸なのか。

そして、

歯科で改善できるものと、歯科だけでは改善できないものを分ける

ことが大切です。

口輪筋や舌のトレーニングが必要な場合には機能面を目的として行い、

美容効果を過剰に期待させることはしません。

PreBeau Oral Careが大切にしているのは、

できるだけ健康な歯を削らず、口元の機能と健康を長く保つこと

です。

院長・歯科医師 毛利国安について


まとめ|口元のたるみを「口輪筋・舌・口呼吸」だけで説明しない

口元のたるみは、

一つの筋肉だけで起こるものではありません。

顔の加齢変化には、

  • 皮膚
  • 脂肪
  • 筋肉
  • 骨格
  • その他の支持組織

などが複雑に関係します。

口輪筋は唇を閉じる、食べる、話すといった機能に重要です。

舌も、嚥下・発音・咀嚼・口腔周囲機能に非常に重要です。

しかし、

口輪筋を鍛えれば顔のたるみが治る

舌を上げればフェイスラインが上がる

口呼吸を治せばほうれい線が消える

というところまで、現在の研究から断定することはできません。

2025年のsystematic reviewでは、顔面運動やMFTなどで局所的な美容変化が報告された研究があります。

一方で、研究規模は小さく、方法にもばらつきが大きいため、確実な美容効果を証明するエビデンスとしてはまだ不十分です。

成人の口呼吸についても、2026年のsystematic reviewでは筋活動や姿勢などとの関連が示唆されましたが、エビデンスの確実性は非常に低く、顔のたるみを直接証明したものではありません。

だからこそ、

「顔がたるんだ

低位舌

舌トレ」

と短絡的に考えず、

歯・唇・舌・鼻呼吸・噛み合わせ・皮膚や顔面組織を分けて考えること

が重要です。

歯科が得意なのは、

口元の“機能”を評価すること。

そして必要な場合には、

MFT。

咬合管理。

補綴。

他科との連携。

などを組み合わせます。

大人のプレオルソについても、

美容的なリフトアップ装置ではありません。

使用する場合には、歯ぎしり・食いしばり、補綴物、インプラント、顎関節、矯正後の保定など、歯科的な目的を明確にすることが重要です。

大人のプレオルソ|プレオルソ ユーティリティ


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執筆・監修:歯科医師 毛利 国安
PreBeau Oral Care