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寝ている間の歯ぎしりはなぜ起こる?歯がすり減る・欠ける原因と対策

Last Updated on 1 week ago by prebeau

「家族から寝ている間に歯ぎしりをしていると言われた」

「最近、歯がすり減ってきた気がする」

「朝起きると顎やこめかみが疲れている」

「セラミックが欠けたり、詰め物が壊れたりすることがある」

このような症状がある場合、**睡眠時ブラキシズム(Sleep Bruxism)**が関係している可能性があります。

一般には「寝ている間の歯ぎしり」と呼ばれますが、実際には歯をギリギリこする動きだけではありません。

睡眠中に強く噛みしめるタイプもあります。

また、近年の国際的な考え方では、ブラキシズムは健康な人においてそれ自体を直ちに「病気」とみなすのではなく、状況によって歯や補綴物、顎などへのリスクになり得る咀嚼筋活動として捉えられています。

大切なのは、

歯ぎしりをしているかどうかだけではなく、それによって実際に何が起きているか

を見ることです。

東京・赤坂のPreBeau Oral Careでは、歯が壊れてから修復するだけではなく、強い力から今ある歯やセラミック、インプラントを守るという予防的な視点を重視しています。

大人のプレオルソ(プレオルソ ユーティリティ)についてはこちらをご覧ください。

大人のプレオルソ|プレオルソ ユーティリティ
https://prebeau-oc.com/treatment/preortho-adult/


睡眠時ブラキシズムとは?

睡眠時ブラキシズムは、睡眠中に起こる咀嚼筋の活動です。

国際コンセンサスでは、睡眠中に生じるリズミカルまたは非リズミカルな咀嚼筋活動として定義されています。

一般的には、

  • 歯をギリギリこする
  • 強く噛みしめる
  • 顎に力が入る

といった形で現れます。

ここで重要なのは、「音がするかどうか」だけで判断しないことです。

歯ぎしりというと、

「ギリギリ、ギシギシ」

という大きな音を想像する方が多いと思います。

しかし、音をほとんど出さずに強く噛みしめている場合もあります。

そのため、

家族から歯ぎしりを指摘されていない=睡眠中に強い咬合力がかかっていない

とは限りません。


「歯ぎしり」と「食いしばり」は同じ?

似ていますが、少し違います。

一般に「歯ぎしり」という言葉は、上下の歯を擦り合わせるグラインディングをイメージします。

一方、「食いしばり」は、歯を大きく動かさずに強く噛みしめるクレンチングを指すことがあります。

ただし、実際のブラキシズムでは両方がみられることもあります。

また、ブラキシズムは睡眠中だけではありません。

起きているときに無意識に歯を接触させたり、顎に力を入れたりするものは、

覚醒時ブラキシズム(Awake Bruxism)

と呼ばれます。

睡眠時ブラキシズムと覚醒時ブラキシズムは、現在では別の行動として評価することが推奨されています。


なぜ寝ている間に歯ぎしりをするの?

「噛み合わせが悪いから歯ぎしりをする」

と思われることがあります。

しかし、現在の研究では、睡眠時ブラキシズムを単純に歯並びや噛み合わせだけで説明することはできません。

睡眠時ブラキシズムは、より複雑な生理学的メカニズムによって調節されていると考えられています。

睡眠中には、脳や自律神経、心拍、呼吸、筋活動などが一定のままではなく変化しています。

睡眠時ブラキシズムの多くのエピソードも、睡眠中の一時的な覚醒反応などと関連して生じることが知られています。

つまり、

「歯の問題だけ」ではなく、睡眠中の身体活動の一部として考える

ことが現在の考え方に近いといえます。


ストレスが原因なの?

ストレスや心理的要因がブラキシズムと関連する可能性はあります。

ただし、

「ストレスがあるから睡眠時ブラキシズムになる」

と一つの原因だけで説明することはできません。

ブラキシズムには、

  • 心理的要因
  • 睡眠
  • 生活習慣
  • 一部の薬剤
  • アルコール
  • カフェイン
  • 喫煙

など複数の因子が関連する可能性があります。

2019年に発表されたsystematic reviewのumbrella reviewでも、アルコール、カフェイン、喫煙、一部の向精神薬などとブラキシズムとの関連が報告されています。

ただし、「これをやめれば必ず歯ぎしりが止まる」という単純な関係ではありません。


睡眠不足が歯ぎしりの原因?

睡眠とブラキシズムの関係についても研究されています。

2025年のsystematic review・meta-analysisでも、睡眠の質や睡眠時間とブラキシズムとの関連が検討されています。

ただし、睡眠の質が悪いから必ずブラキシズムが起こる、という単純な因果関係が確立しているわけではありません。

大切なのは、

「歯だけ」

ではなく、

睡眠も含めて全体を見ること

です。


睡眠時無呼吸症候群があると歯ぎしりする?

睡眠時ブラキシズムと閉塞性睡眠時無呼吸症(OSA)の関係については、以前から多くの研究があります。

しかし、

「OSAがあるから歯ぎしりをする」

あるいは、

「歯ぎしりがあるからOSAである」

と単純には言えません。

2024年に発表されたsystematic review・meta-analysisでは、OSA患者と対照群の間で睡眠時ブラキシズムの存在率に明確な差は認められず、両者の関係は複雑で、さらなる研究が必要とされています。

したがって、

歯ぎしり=睡眠時無呼吸のサイン

と決めつけることは適切ではありません。

一方、

  • 大きないびき
  • 睡眠中の呼吸停止
  • あえぐような呼吸
  • 日中の強い眠気

などが同時にある場合には、ブラキシズムとは別に睡眠時無呼吸について評価する必要があります。


歯ぎしりをすると歯はすり減る?

睡眠時ブラキシズムが歯の摩耗に関与する場合があります。

上下の歯が繰り返し強く接触・擦過すると、

  • 歯の先端が平らになる
  • 犬歯が丸くなる
  • 奥歯の咬合面がすり減る
  • エナメル質が薄くなる
  • 象牙質が露出する

といった変化がみられることがあります。

ただし、ここにも重要な注意点があります。

歯がすり減っている=現在も睡眠時ブラキシズムをしている

とは限りません。

2024年の「Tooth wear and bruxism」のscoping reviewでも、歯科医師は歯の摩耗だけからブラキシズム活動を推定すべきではないと結論づけています。

歯の摩耗は過去の活動が蓄積した「痕跡」である可能性があるからです。


歯がすり減る原因は歯ぎしりだけではない

歯の摩耗には、ブラキシズム以外の要因もあります。

例えば、

  • 酸性飲料
  • 胃酸の逆流
  • 食生活
  • 歯ブラシなどによる機械的摩耗
  • 噛み合わせ
  • 加齢

などです。

実際には複数の要因が重なっていることもあります。

したがって、

「歯がすり減っているからナイトガード」

とすぐ装置を決めるのではなく、なぜ歯がすり減っているのかを評価することが重要です。


歯ぎしりで歯が欠けることはある?

強い力が繰り返しかかることで、歯に負担が生じることがあります。

例えば、

  • エナメル質の小さな欠け
  • 歯の亀裂
  • 修復物の破損
  • セラミックのチッピング
  • 詰め物・被せ物の脱離

などです。

ただし、歯が欠ける原因はブラキシズムだけではありません。

むし歯。

大きな修復物。

歯質の残存量。

外傷。

材料。

噛み合わせ。

なども関係します。

そのため「欠けた=歯ぎしり」と決めつけず、歯そのものを診査する必要があります。


セラミックが何度も欠ける場合は?

セラミック治療を受けている方では、強い咬合力を無視できません。

一方で、科学的には、

睡眠時ブラキシズムがすべてのセラミック修復物の破損を増加させる

とまで一律に断定できる強いエビデンスはありません。

過去のsystematic review・meta-analysisでは、一部のセラミックベニアでリスク上昇が示唆された一方、セラミック修復全体では明確な関連を結論づけられず、エビデンスの質も低いとされています。

したがって、

「ブラキシズムだからセラミックはできない」

ということでもありません。

ただし、強い咬合力が疑われる方では、修復材料だけではなく、治療後にどう守るかまで考える必要があります。


インプラントにも関係する?

インプラントについては、近年さらに研究が蓄積しています。

2023年のsystematic review・meta-analysisでは、probable bruxismの患者群でインプラント失敗のリスクが高いことが報告されました。

さらに2026年のumbrella reviewでも、ブラキシズムはインプラント支持補綴装置の失敗に関係する重要なリスク因子になり得ることが示されています。

ただし、インプラントの失敗には、

  • 清掃状態
  • 歯周病・インプラント周囲炎
  • 喫煙
  • 骨の状態
  • 補綴設計
  • 全身状態

など多くの因子が関係します。

したがって、ブラキシズムだけですべてを説明することはできません。

それでも、

高価なインプラントや補綴物を長期的に守るという観点から、強い咬合力を評価することには意味があります。


朝起きると顎が疲れるのも歯ぎしり?

睡眠中に強い咀嚼筋活動がある場合、

  • 顎が疲れる
  • 頬がだるい
  • こめかみが重い
  • 顎周囲に違和感がある

と感じることがあります。

一方で、顎関節症や筋肉の痛みにはさまざまな原因があります。

ブラキシズムと顎関節症との関連は研究されていますが、

歯ぎしり=顎関節症

という単純な関係ではありません。

朝の顎の疲労が続く場合には、歯・筋肉・顎関節などを総合的に評価します。


歯ぎしりはどうやって診断する?

ここも重要です。

「歯がすり減っている」

「家族から歯ぎしりを指摘された」

だけで、睡眠時ブラキシズムの活動量を完全に把握することはできません。

評価方法には、

本人・家族からの情報

「歯ぎしりの音を指摘された」

「朝、顎が疲れている」

などを確認します。

口腔内診査

歯の摩耗。

破折。

補綴物の状態。

舌や頬の状態。

咀嚼筋。

顎関節。

などを確認します。

筋活動の測定

より客観的に評価する場合には、筋電図(EMG)などを使用する方法があります。

研究や専門的評価では、睡眠検査と筋電図を組み合わせて評価する場合もあります。

つまり、ブラキシズムには評価の「確からしさ」に段階があります。


歯ぎしりは治せる?

「歯ぎしりを完全に止める方法はありますか?」

とよく質問されます。

現在の科学的知見では、

睡眠時ブラキシズムを全員で確実かつ永久に消失させる単一の治療法が確立しているわけではありません。

そのため実際の臨床では、

  • 歯を守る
  • 補綴物を守る
  • 痛みを軽減する
  • 関連する要因を確認する
  • 必要に応じて生活習慣を見直す

といった「管理」が中心になります。


ナイトガードを入れれば歯ぎしりは止まる?

ここは特に誤解されやすいところです。

ナイトガードや咬合スプリントを使用すると、

歯と歯が直接強く接触することによるダメージを管理しやすくなる

というメリットがあります。

一方で、

マウスピースを装着すれば睡眠時ブラキシズムそのものが確実に治る

とは言えません。

2021年のsystematic reviewでは、咬合スプリントがブラキシズムそのものの治療として、無治療や他の治療より優れていると判断するにはエビデンスが不十分とされています。

2022年のsystematic reviewでも、一部の口腔内装置で睡眠時ブラキシズムイベントが減少する傾向は示されましたが、研究間の差もあり、万能な治療とは言えません。

したがって、

「歯ぎしりを止める装置」ではなく「歯や修復物を守るための装置」

という目的を明確にすることが大切です。


大人のプレオルソは歯ぎしりにどう使う?

PreBeau Oral Careで扱う**大人のプレオルソ(プレオルソ ユーティリティ)**も、歯科用咬合スプリントの一つです。

歯ぎしり・食いしばりによる負担から、

  • 天然歯
  • セラミック
  • 補綴物
  • インプラント

などを守ることを考える際の選択肢になります。

また、顎関節への負担や矯正後の保定など、患者さんごとの目的を考慮して使用します。

ただし、

プレオルソを装着すれば睡眠時ブラキシズムが治る

という意味ではありません。

装置を作る前に、

「何を守るために使うのか」

を明確にすることが重要です。

大人のプレオルソ|プレオルソ ユーティリティ
https://prebeau-oc.com/treatment/preortho-adult/


日中の食いしばりにも注意

睡眠中だけでなく、

  • パソコン作業中
  • スマートフォンを見ているとき
  • 集中しているとき
  • 運転中
  • 緊張しているとき

などに無意識に歯を接触させている方もいます。

これは覚醒時ブラキシズムとして評価されることがあります。

通常、リラックスしているときには上下の歯は常に強く接触している必要はありません。

日中の噛みしめに気づいたら、

「今、歯を噛みしめていないか」

と意識することも管理の一つです。

睡眠時ブラキシズムと違い、覚醒時ブラキシズムは本人が気づける場面があるため、行動へのアプローチが重要になる場合があります。


自分でできる対策は?

睡眠時ブラキシズムを完全に止める保証はありませんが、一般的な健康管理として、

  • 十分な睡眠時間を確保する
  • 就寝前の過度な飲酒を避ける
  • カフェイン摂取量を見直す
  • 喫煙習慣を見直す
  • 日中の食いしばりに気づく
  • 強いストレスが続いている場合はその対応を考える

といったことは検討できます。

薬を服用している場合には、自己判断で中止せず、ブラキシズムとの関連が気になる場合は処方した医師へ相談してください。


「噛み合わせを削れば歯ぎしりが治る?」

睡眠時ブラキシズムを治すことだけを目的に、健康な歯を不可逆的に削って噛み合わせを調整することには慎重であるべきです。

現在の知見では、睡眠時ブラキシズムを単純な咬合異常だけで説明することはできません。

一度削った天然歯は元に戻りません。

そのためPreBeau Oral Careでも、できるだけ削らないことを重視しています。


PreBeau Oral Careが「歯ぎしり」を予防の問題として考える理由

歯ぎしりそのものは、音がしなければ本人が困らないこともあります。

しかし、

歯がすり減る。

歯が欠ける。

修復物に負担がかかる。

セラミックが破損する。

インプラントに大きな力がかかる。

という問題が起きてから対応すると、追加の治療が必要になることがあります。

だからこそ、

壊れてから治すだけではなく、壊れる前にリスクを確認する

ことが予防につながります。

PreBeau Oral Careでは、

  • 歯の状態
  • 過去の修復物
  • セラミック
  • インプラント
  • 噛み合わせ
  • 顎関節
  • 咀嚼筋
  • 睡眠中・日中のブラキシズム

などを必要に応じて確認します。

そのうえで、咬合スプリントが必要なのか、経過観察でよいのか、その他の対応が必要なのかを判断します。

院長・歯科医師 毛利国安について
https://prebeau-oc.com/about/


まとめ|歯ぎしりは「止める」だけではなく「歯を守る」という視点が重要

睡眠時ブラキシズムは、睡眠中に起こる咀嚼筋活動です。

現在では、健康な人においてブラキシズムそのものを必ずしも疾患とみなすのではなく、

臨床的な問題を引き起こすリスク因子になり得る行動

として考えられています。

大切なのは、

「歯ぎしりをしていますか?」

だけではありません。

  • 歯がすり減っていないか
  • 歯が欠けていないか
  • セラミックや補綴物が壊れていないか
  • インプラントに大きな力がかかっていないか
  • 顎や筋肉に症状がないか

を確認することです。

そして、歯の摩耗だけで現在のブラキシズムを診断したり、噛み合わせだけを原因と考えたりすることも適切ではありません。

咬合スプリントや大人のプレオルソを使用する場合も、

「歯ぎしりを完全に止める」ためではなく、「何を守るために使用するのか」

を明確にすることが重要です。

歯がすり減ってきた。

セラミックが何度も欠ける。

朝起きると顎が疲れている。

家族から歯ぎしりを指摘された。

こうした変化がある場合は、一度歯科で現在の歯や修復物、顎の状態を確認してみるとよいでしょう。

▶ 大人のプレオルソ|プレオルソ ユーティリティ
https://prebeau-oc.com/treatment/preortho-adult/


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執筆・監修:歯科医師 毛利 国安
PreBeau Oral Care