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睡眠時無呼吸症候群は歯科で治療できる?CPAP・口腔内装置と歯科の役割

Last Updated on 1 week ago by prebeau

「睡眠時無呼吸症候群は歯医者でも治療できる?」

「CPAPではなくマウスピースで治療できない?」

「いびきがひどいので、歯科でマウスピースを作ればいい?」

このような疑問を持つ方は少なくありません。

結論からいうと、閉塞性睡眠時無呼吸症(OSA)の診断は、歯科だけで完結するものではありません。

一方で、医療機関でOSAと診断された患者さんの中には、治療選択肢の一つとして**歯科で作製・調整する口腔内装置(Oral Appliance)**が適応になる場合があります。

つまり、

医科で診断する役割と、歯科が口腔内装置を管理する役割を分けて考える

ことが大切です。

東京・赤坂のPreBeau Oral Careでも、睡眠中のいびき、歯ぎしり、食いしばり、舌や顎、噛み合わせなどについて歯科的な評価を行うことはできますが、睡眠時無呼吸症が疑われる場合には、必要に応じて睡眠医療を扱う医療機関での評価をおすすめします。

大人のプレオルソについてはこちらをご覧ください。

大人のプレオルソ|プレオルソ ユーティリティ


睡眠時無呼吸症候群を歯科だけで診断することはできる?

基本的にはできません。

閉塞性睡眠時無呼吸症の診断には、

  • 症状
  • 病歴
  • 身体所見
  • 睡眠中の呼吸状態
  • 酸素飽和度
  • 無呼吸・低呼吸の回数

などを総合的に評価する必要があります。

代表的な検査には、

PSG(終夜睡眠ポリグラフ検査)

や、症例によって使用される

HSAT(在宅睡眠時無呼吸検査)

があります。

したがって、歯科医院で、

「いびきをかいていますね」

「顎が小さいですね」

「舌が大きいですね」

という所見があっただけでOSAと診断することはできません。

一方で、歯科診療中にOSAの可能性に気づき、適切な医療機関への受診につなげることは歯科の重要な役割の一つです。


歯科では睡眠時無呼吸の何を確認する?

歯科は、睡眠呼吸障害と関連する口腔・顎顔面領域を日常的に診察しています。

例えば、

  • 下顎の位置や大きさ
  • 歯列
  • 噛み合わせ
  • 舌の大きさや位置
  • 口腔内のスペース
  • 口呼吸
  • 顎関節
  • 歯ぎしり・食いしばり
  • 歯や歯周組織の状態
  • セラミックやインプラントなどの補綴物

です。

特にOSAに対する口腔内装置を使用する場合には、歯や歯周組織、顎関節、噛み合わせの状態を確認することが重要になります。


睡眠時無呼吸症候群の代表的な治療「CPAP」とは?

OSAの代表的な治療法の一つが、

CPAP(Continuous Positive Airway Pressure:持続陽圧呼吸療法)

です。

睡眠中に鼻や口にマスクを装着し、機械から一定の圧力で空気を送り込むことで、上気道が閉塞するのを防ぎます。

CPAPは、特に中等症から重症のOSAを含め、睡眠時無呼吸症の治療で広く使用されています。

多くの研究では、無呼吸低呼吸指数(AHI)を低下させる能力について、CPAPは口腔内装置より強い効果を示す傾向があります。

しかし、実際の治療では、

「効果があるか」

だけではなく、

毎晩継続して使用できるか

も重要です。


CPAPが合わない人もいる?

います。

CPAPは有効な治療ですが、

  • マスクが気になる
  • 圧迫感がある
  • 鼻や口が乾燥する
  • 出張・旅行時に持ち運びにくい
  • 寝返りが気になる
  • 毎晩装着することが難しい

などの理由で、継続が難しい方もいます。

ただし、自己判断でCPAPを中止することはおすすめできません。

CPAPが使いにくい場合には、まず担当医へ相談し、

  • マスクの種類
  • 圧設定
  • 加湿
  • 鼻症状への対応
  • 他の治療選択肢

などについて検討することが重要です。


睡眠時無呼吸に使う歯科のマウスピースとは?

OSAに使用される代表的な歯科的装置が、

口腔内装置(Oral Appliance:OA)

です。

その中でもよく使用されるのが、下顎を通常より前方に保持する

Mandibular Advancement Device(MAD)

または

Mandibular Advancement Splint(MAS)

と呼ばれる装置です。

下顎を前方へ保持することで、舌や周囲組織が後方へ落ち込みにくくなり、睡眠中の上気道を確保しやすくすることを目的とします。


CPAPと口腔内装置はどちらがいい?

「どちらが上」という単純な比較ではありません。

治療効果だけを見ると、一般的にCPAPのほうがAHIをより大きく低下させる傾向があります。

一方、口腔内装置は、

  • 小型である
  • 電源が不要
  • 持ち運びやすい
  • マスクを使用しない

という特徴があります。

AASMとAADSMの診療ガイドラインでは、OSA患者で、

CPAPを継続できない場合、または別の治療を希望する場合

に、口腔内装置を治療選択肢として検討することが推奨されています。

患者さんによって適切な治療は異なります。


CPAPと口腔内装置の違い

CPAP口腔内装置
主な仕組み空気圧で上気道を開存させる下顎を前方へ保持して上気道を確保しやすくする
装着マスク口腔内
電源必要通常不要
携帯性装置が必要比較的小型
AHI低下一般に高い症例により異なる
歯科管理通常不要必要
噛み合わせへの影響基本的に少ない長期使用では確認が必要
顎関節への影響基本的に少ない症例によって注意が必要

口腔内装置なら市販品でもいい?

OSAの治療を目的とする場合、自己判断で市販マウスピースを使用することはおすすめできません。

AASM/AADSMのガイドラインでは、口腔内装置療法を行う場合、

歯科医師が管理するカスタムメイドかつ調整可能な装置

が推奨されています。

これは、下顎をどの程度前方に動かすかによって、

  • 治療効果
  • 顎関節への負担
  • 歯への力
  • 噛み合わせ

などが変化するためです。

単に「顎を前へ出せば出すほど良い」わけではありません。


口腔内装置は作ったら終わりではない

ここは非常に重要です。

OSA用の口腔内装置は、

型を取ってマウスピースを渡せば治療終了

ではありません。

2025年に更新されたAmerican Academy of Dental Sleep Medicine(AADSM)の基準でも、

  • 適切な患者評価
  • 装置の選択
  • カスタム作製
  • 下顎位の調整
  • 副作用の確認
  • 医師との連携
  • 長期フォロー

が重視されています。

口腔内装置は、適切な位置まで段階的に調整していくことがあります。


いびきが消えたら治療成功?

必ずしもそうではありません。

口腔内装置を使用すると、

「家族からいびきが静かになったと言われた」

ということがあります。

これは良い変化の可能性がありますが、

いびきがなくなった=睡眠時無呼吸が完全に改善した

とは限りません。

そのためAASM/AADSMのガイドラインでは、口腔内装置治療後に、必要に応じて睡眠検査によって治療効果を確認することが推奨されています。

症状だけではなく、客観的な評価も重要です。


口腔内装置には副作用もある?

あります。

代表的には、

  • 顎関節の違和感
  • 咀嚼筋の疲労
  • 歯の違和感
  • 唾液量の変化
  • 口腔乾燥
  • 噛み合わせの変化
  • 歯の移動

などが報告されています。

特に長期間使用する場合には、噛み合わせや歯列に変化がないか定期的に確認することが重要です。

だからこそ、歯科医師による継続的な管理が必要になります。


歯が少なくても口腔内装置は使える?

口腔内装置は歯に保持させる設計が多いため、

  • 残っている歯の本数
  • 歯周病
  • 歯の動揺
  • インプラント
  • 義歯
  • 顎関節

などによって適応が変わります。

「OSAと診断されたから誰でも同じ装置を作れる」

わけではありません。

睡眠医学的な適応だけでなく、歯科的に安全に使用できるかも確認する必要があります。


大人のプレオルソとOSA用マウスピースは同じ?

ここは明確に分ける必要があります。

PreBeau Oral Careで扱う

大人のプレオルソ(プレオルソ ユーティリティ)

は歯科用咬合スプリントです。

主に、

  • 歯ぎしり
  • 食いしばり
  • セラミックなどの補綴物の保護
  • インプラントへの過剰な負担への対応
  • 顎関節への負担
  • 矯正後の保定

などを考える際に使用します。

大人のプレオルソについて詳しく見る

一方、

診断された閉塞性睡眠時無呼吸症に対する口腔内装置

は、睡眠中の気道確保を目的に下顎を適切な位置へ保持する専用の装置です。

したがって、

「大人のプレオルソを使えば睡眠時無呼吸症候群を治療できる」

と一括りにすることは適切ではありません。


歯ぎしり用ナイトガードとも違う

通常の歯ぎしり用ナイトガードも、OSA用口腔内装置とは目的が異なります。

ナイトガードは主に、

歯や補綴物を睡眠中の咬合力から守る

ことを目的として設計されます。

一方、OSA用の口腔内装置は、

睡眠中の上気道を確保しやすくする

ことが目的です。

見た目が「マウスピース」で似ていても、

目的も設計も異なります。


睡眠時無呼吸の治療はCPAPとマウスピースだけではない

OSAの治療は、CPAPと口腔内装置だけではありません。

患者さんによっては、

  • 体重管理
  • 飲酒習慣の見直し
  • 睡眠姿勢への対応
  • 鼻疾患への治療
  • 耳鼻咽喉科的治療
  • 外科治療
  • その他の治療

などが検討されることがあります。

どの治療が適切かは、OSAの重症度や原因、身体的特徴、基礎疾患などによって異なります。


歯科医師の役割は「マウスピースを作ること」だけではない

睡眠歯科における歯科医師の役割は、単に装置を作ることではありません。

重要なのは、

1.OSAを疑うサインに気づく

いびき、目撃された無呼吸、日中の眠気などがある場合には、適切な医療機関への受診につなげます。

2.口腔内装置を安全に使用できるか評価する

歯、歯周組織、顎関節、噛み合わせなどを確認します。

3.装置を調整する

効果と副作用のバランスを見ながら、必要に応じて下顎位などを調整します。

4.長期的に口腔内を管理する

歯列や噛み合わせ、顎関節などに変化がないか確認します。

5.医師と連携する

睡眠時無呼吸症は、歯科だけで完結する疾患ではありません。

睡眠医療と歯科の連携が重要です。


PreBeau Oral Careが睡眠と口腔機能を考える理由

PreBeau Oral Careでは、歯を削って修復する治療だけではなく、

「なぜその歯に負担がかかっているのか」

という視点を大切にしています。

例えば、

歯ぎしり。

食いしばり。

口呼吸。

舌の位置。

顎の使い方。

睡眠。

これらは必ずしも一つの原因で説明できません。

また、

「いびきがあるからプレオルソ」

「食いしばるからナイトガード」

と装置だけを先に決めることも適切ではありません。

まず症状と口腔内を評価し、歯科で対応できる範囲と、医科で評価すべき範囲を分ける。

そのうえで必要な治療を選択することが重要です。

PreBeau Oral Care 院長・歯科医師 毛利国安について


まとめ|睡眠時無呼吸は「医科で診断、必要に応じて歯科が治療に参加」

睡眠時無呼吸症候群に対して、歯科が重要な役割を果たすことがあります。

しかし、

睡眠時無呼吸を歯科だけで診断し、マウスピースを作れば終わり

ではありません。

基本的な流れは、

睡眠時無呼吸を疑う

睡眠医学的な評価・検査

OSAの診断

重症度や患者さんの状態に応じた治療選択

口腔内装置が適応なら歯科で作製・調整

治療効果の確認

長期的な医科・歯科フォロー

と考えると分かりやすいでしょう。

CPAPにはCPAPの強みがあります。

口腔内装置には口腔内装置の強みがあります。

大切なのは、

患者さんごとに適切な治療を選ぶことです。

また、大人のプレオルソや一般的なナイトガードと、OSA専用の口腔内装置は目的が異なります。

それぞれを正しく区別することが、安全な治療につながります。

大人のプレオルソ|プレオルソ ユーティリティの詳細


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参考文献・診療ガイドライン

  1. Ramar K, Dort LC, Katz SG, et al.
    Clinical Practice Guideline for the Treatment of Obstructive Sleep Apnea and Snoring with Oral Appliance Therapy: An Update for 2015.
    Journal of Clinical Sleep Medicine. 2015;11(7):773–827.
    PMID: 26094920.
    DOI: 10.5664/jcsm.4858.
  2. Levine M, Cantwell MK, Postol K, Schwartz DB.
    Dental Sleep Medicine Standards for Screening, Treatment, and Management of Sleep-Related Breathing Disorders in Adults Using Oral Appliance Therapy: An Update.
    Journal of Dental Sleep Medicine. 2025;12(2).
    DOI: 10.15331/jdsm.7384.
  3. Kapur VK, Auckley DH, Chowdhuri S, et al.
    Clinical Practice Guideline for Diagnostic Testing for Adult Obstructive Sleep Apnea.
    Journal of Clinical Sleep Medicine. 2017;13(3):479–504.
    PMID: 28162150.
    DOI: 10.5664/jcsm.6506.
  4. 日本睡眠歯科学会.
    閉塞性睡眠時無呼吸症に対する口腔内装置に関する診療ガイドライン(2017年改訂版)
  5. 日本睡眠歯科学会.
    閉塞性睡眠時無呼吸に対する口腔内装置に関する診療ガイドライン―装置の作製に関するテクニカルアプレイザル:2020年版

執筆・監修:歯科医師 毛利 国安
PreBeau Oral Care