幼少期から気になっていた前歯の茶色い斑点。ホワイトニング後にIcon®(アイコン)治療を行った20代女性の1症例
Last Updated on 3日 ago by prebeau
前歯の一部分だけに、昔から茶色い斑点がある。
ホワイトスポットのご相談では、真っ白な白斑だけでなく、黄色や茶色を含んだ「ブラウンスポット」についてご相談いただくこともあります。
今回ご紹介するのは、幼少期から左上の前歯1本に茶色い斑点があり、笑ったときに前歯が見えることを気にされるほど長年コンプレックスになっていた20代女性の症例です。
この症例では、最初からIcon(アイコン)を行ったわけではありません。
まず医療ホワイトニングによって歯全体とブラウンスポット部分の色調を明るくし、約2週間後にもう一度状態を確認しました。その時点で残っていた白濁に対して、Iconによるレジン浸潤を行っています。
Iconの仕組みや適応、費用などをまとめて知りたい方は、東京・赤坂のホワイトスポット治療・Icon(アイコン)をご覧ください。
東京・赤坂のホワイトスポット治療・Icon(アイコン)
治療前|幼少期から左上の前歯にあったブラウンスポット
今回気になっていたのは、患者さんから見て左上の前歯、左上1(上顎左側中切歯)です。
幼少期から黄褐色〜茶色の色調変化があり、成人してからも残っていました。
ブラウンスポットと呼ばれる状態にはさまざまな原因があるため、「茶色い斑点=すべて同じ治療」ではありません。
色だけで原因や深さを決めることはできず、エナメル質表面の状態、白濁の範囲、色調、既往などを確認したうえで治療方法を検討します。

なぜ最初からIconを行わなかったのか
Iconは、多孔質になったエナメル質内部へ低粘性のレジンを浸透させ、病変部と周囲のエナメル質との光学的な差を小さくするレジン浸潤療法です。
白いホワイトスポットでは、エナメル質内部で生じる光の散乱を変えることで、白濁を目立ちにくくできる場合があります。
一方、今回のようなブラウンスポットでは、白濁だけでなく茶色い色調そのものも見た目に影響しています。
そのため、この症例では茶色い状態のままIconを行うのではなく、
医療ホワイトニングで色調を調整する
↓
時間をあけて再評価する
↓
残った白濁にIconを行う
という順番を選択しました。
ブラウンスポットに対してIconとホワイトニングをどのように使い分けるかについては、こちらでも詳しく解説しています。
ブラウンスポットにIconはできる?ホワイトニングとの組み合わせも解説
1回目|オフィスホワイトニングで褐色色調を弱める
最初に行ったのは、歯科医院で行うオフィスホワイトニングです。
医療ホワイトニングでは過酸化物を使用して天然歯の色調を明るくします。
今回の目的は単に「歯全体を白くする」ことだけではなく、ブラウンスポットにみられる褐色色調のコントラストをできるだけ弱め、その後に残る白濁の状態を評価しやすくすることでした。
ホワイトニング後、治療前に目立っていた茶色い色調は弱くなりました。
一方で、周囲のエナメル質とは見え方の異なる白濁が残りました。
そこで、同日にIconを行うのではなく、一度時間をおいて再評価しました。
当院のオフィス・ホーム・デュアルホワイトニングについては、東京・赤坂の医療ホワイトニングで詳しく紹介しています。
東京・赤坂の医療ホワイトニング
なぜホワイトニングからIconまで約2週間あけたのか
今回の症例では、ホワイトニングからIcon治療まで約2週間あけています。
理由の一つは、ホワイトニング直後だけを見て最終的な色調を判断しないためです。
施術直後は歯の水分状態などによって見え方が変化することがあるため、時間をおいて歯全体とブラウンスポット部分の色調を再評価しました。
また、接着性レジン材料に関する研究では、ホワイトニング直後には接着強さが低下する可能性が報告されています。2021年のシステマティックレビュー・メタ解析では、漂白直後には接着強さへの影響がみられた一方、2週間後の比較では統計学的な差が認められなかったと報告されています。PubMed
ただし、この研究はIconそのものを対象にした臨床研究ではなく、接着性レジン材料一般について検討したin vitro研究のシステマティックレビューです。
そのため当院では、文献だけで一律に期間を決めるのではなく、使用したホワイトニング方法、色調の変化、歯の状態などを確認して治療時期を判断しています。
2回目|残った白濁にIconによるレジン浸潤
約2週間後に再度前歯を確認しました。
治療前にみられた茶色い色調は弱くなっていましたが、エナメル質内部の白濁・不透明感が残っていました。
そこで、この部分にIconによるレジン浸潤を行いました。
Iconでは、専用の処理を行ったあと、低粘性のレジンを多孔質なエナメル質へ浸透させます。
目的は、白い部分をドリルで削り取ることではありません。
エナメル質内部の光学的な差を小さくし、周囲の歯質との色調差を目立ちにくくすることを目指します。

Before / Afterで見ると何が変わったのか
治療前には、左上の前歯1本に黄褐色〜茶色の色調がみられ、周囲のエナメル質との境界が比較的分かりやすい状態でした。
この症例では、まずホワイトニングによって褐色色調を弱め、その後に残った白濁へIconを行うことで、治療前より周囲の歯質との色調差が小さくなりました。
一方で、Iconはすべてのブラウンスポットやホワイトスポットを完全に消失させる治療ではありません。
病変の原因、深さ、範囲、色調、エナメル質の状態などによって治療結果は異なります。
また、口腔内写真は撮影角度、光、水分状態などによっても見え方が変化します。Before / After写真だけではなく、実際の診察結果とあわせて治療効果を評価することが重要です。
ブラウンスポットだから、すぐIconとは限りません
今回の症例でお伝えしたいのは、Before / Afterだけではありません。
「茶色い斑点があるからIconをする」
という単純な治療ではないという点です。
ブラウンスポットと呼ばれるものには、歯の形成期に生じたエナメル質の変化、フッ素症、MIH、初期う蝕、表面的な着色など、異なる状態が含まれる可能性があります。
そのためPreBeau Oral Careでは、まず原因や歯質の状態を確認したうえで、
Icon単独を検討するのか、
ホワイトニングを先に行うのか、
マイクロアブレーションなど別の方法を検討するのか
を判断します。
できるだけ健康な歯質を保存しながら、必要な審美的改善を目指すことを大切にしています。
一方、白いホワイトスポットでは、見た目の白さだけでなく、病変の広がりやエナメル質の状態を確認することも大切です。
当院では必要に応じて、歯の後ろ側から光を当てる透照診(transillumination)も診査の補助として用いています。
ホワイトスポット・ブラウンスポットの診断、Iconの適応、治療方法、費用については、ホワイトスポット・Icon治療の専門ページにまとめています。
ホワイトスポット・Icon治療について詳しく見る
この症例の治療内容・期間・費用
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 年齢・性別 | 20代女性 |
| 主訴 | 幼少期から左上前歯1本の茶色い斑点が気になる |
| 対象歯 | 左上1(上顎左側中切歯) |
| 治療内容 | オフィスホワイトニング+Iconによるレジン浸潤 |
| 来院回数 | 2回 |
| 治療期間 | 約2週間 |
| 1回目 | オフィスホワイトニング:約90分 |
| 2回目 | Icon治療:約60分 |
| オフィスホワイトニング | 33,000円(税込) |
| Icon治療 | 22,000円/1歯(税込) |
| 本症例の治療費 | 55,000円(税込) |
| 初診料 | 初診の場合3,300円(税込)が別途必要 |
| 保険適用 | 自由診療 |
主なリスク・副作用・注意点
オフィスホワイトニングでは、施術中または施術後に一時的な知覚過敏や歯肉への刺激が生じることがあります。
もともとホワイトスポットが存在する場合、ホワイトニング直後には歯の脱水や周囲の色調変化によって、白濁が一時的に目立って見える場合があります。
Icon治療では専用の薬剤とレジン材料を使用します。歯肉や口腔粘膜への一時的な刺激が生じる可能性があります。
また、ブラウンスポット・ホワイトスポットの原因、深さ、範囲、色調などによって治療結果には個人差があります。治療後も色調差が残る場合や、追加治療・別の治療方法を検討する場合があります。
すべての症例で同じ結果が得られることや、斑点が完全に見えなくなることを保証する治療ではありません。
Icon治療についての執筆・教育活動
本症例を担当したPreBeau Oral Care院長・歯科医師 毛利国安は、Iconを用いたホワイトスポット治療について診療・教育活動を行っています。
株式会社ヨシダの歯科医療専門情報「Dental Products News」では、
「アイコンによるホワイトスポット治療:成功の秘訣と長期的な効果維持のためのポイント」
を執筆しています。
株式会社ヨシダの公式ページでも現在、「毛利 国安 先生(PreBeau Oral Care 東京・赤坂)」と掲載されています。ヨシダデンタル
毛利国安 執筆|株式会社ヨシダ Dental Products News「アイコン 文献6」
参考文献
ブラウン・着色を伴うエナメル質の変化については、ホワイトニング後にレジン浸潤を組み合わせた保存的な治療が症例報告されています。PubMed
Marouane O, Douki N, Chtioui F.
A Combined Approach for the Aesthetic Management of Stained Enamel Opacities: External Bleaching Followed by Resin Infiltration. Case Rep Dent. 2018.
PubMedで文献を見る
レジン浸潤によるエナメル質の白濁の色調改善についてはシステマティックレビューでも報告されていますが、長期的なエビデンスには限界があり、症例ごとの診断が重要です。PubMed
Borges AB, Caneppele TMF, Masterson D, Maia LC.
Is resin infiltration an effective esthetic treatment for enamel development defects and white spot lesions? A systematic review. J Dent. 2017;56:11-18.
PubMedで文献を見る
Savian TG, Oling J, Soares FZM, Rocha RO.
Vital Bleaching Influences the Bond Strength of Adhesive Systems to Enamel and Dentin: A Systematic Review and Meta-Analysis of In Vitro Studies. Oper Dent. 2021;46(2):E80-E97.
PubMedで文献を見る
執筆・監修
毛利 国安 歯科医師
PreBeau Oral Care 院長
DMG Icon KOL・Icon公認講師
東京・赤坂のPreBeau Oral Careで、ホワイトスポット・ブラウンスポットに対するIcon治療を含め、健康な歯質をできるだけ保存する低侵襲な歯科治療に取り組んでいます。