いびき・軽度睡眠時無呼吸・歯ぎしりを和らげるオーダーメイドのソフトマウスピース(プレオルソ)のご案内
Last Updated on 3 weeks ago by prebeau
執筆・監修:毛利 国安 院長(歯科医師)
日々の睡眠の質は、全身の健康に直結しています。しかし、「いびき」「軽度の睡眠時無呼吸症候群(OSA)」「歯ぎしり」「食いしばり」など、就寝中の無意識のトラブルに悩まされている方は少なくありません。
当院では、これらの症状を総合的に「軽減」し、お口と顎の筋肉の負担を和らげるオプションとして、患者様お一人おひとりに合わせたオーダーメイドのソフトマウスピース(プレオルソ)をご提案しています。
この記事では、医学的な根拠に基づき、その仕組みと素材、そして安全にご使用いただくための重要な条件について詳しく解説します。

1. マウスピースの素材と「柔らかさ」の理由
当院で採用しているソフトマウスピース(プレオルソ)は、主にポリウレタン樹脂などの柔軟かつ安全性の高い医療用素材で作られています。
従来の硬いアクリル樹脂(ハードタイプ)とは異なり、指で押すと弾力があるのが特徴です。この「柔らかさ」には、以下の重要な役割があります。
- 歯へのダメージ軽減: 就寝中の強い力が加わっても、対合歯(噛み合う歯)を削ったり傷つけたりするリスクを抑えます。
- 痛みの緩和と装着感の向上: 歯列や歯肉に優しくフィットするため、装着時の違和感や痛みが少なく、継続して使用しやすい設計です。
- 筋肉の緊張緩和: 完全に固定されないため、噛み込んだ際に素材がクッションとなり、顎周りの筋肉(咬筋など)の緊張を和らげる働きがあります。

2. 症状を軽減する具体的な仕組みと設計
このマウスピースは、単に歯を覆うだけでなく、口腔周囲の筋肉や顎の位置を適切にサポート(筋機能的なアプローチ)するように設計されています。
いびき・軽度睡眠時無呼吸症候群(OSA)へのアプローチ
いびきや無呼吸の主な原因は、就寝中に舌の根元(舌根)が下がり、気道(空気の通り道)が狭くなることです。
- 設計の仕組み: マウスピースを装着することで、下顎が後方に下がるのを防ぎ、適切な位置(やや前方位)に保持します。
- 効果: 舌が持ち上げられることで気道が確保され、空気の通りがスムーズになるため、いびきや軽度の無呼吸の軽減が期待できます。※重度の睡眠時無呼吸症候群の場合は、専門医によるCPAP治療などが必要となります。
歯ぎしり・食いしばり(ブラキシズム)へのアプローチ
睡眠中の歯ぎしりは、起きている時の数倍の力が歯や顎にかかると言われています。
- 設計の仕組み: 弾力のあるポリウレタン素材が、上下の歯が直接こすれ合うのを物理的にブロックします。
- 効果: 噛みしめた際の圧倒的な力を素材が吸収・分散し、歯のすり減り、破折、詰め物の脱落を防ぐとともに、顎関節への負担を軽減します。
3. 【重要】対象外となる方と、安全に使用するための条件
このマウスピースは非常に有効な選択肢ですが、「お口の土台(環境)」が健康であることが絶対条件となります。過度な期待や誇張を避け、安全性を第一に考えるため、以下のような状態の方にはすぐには適用できません。
適用が難しい・対象外となるケース
- 未治療の虫歯がある方: マウスピースを装着することで自浄作用(唾液による洗浄)が低下し、虫歯が一気に進行する危険があります。
- 中度~重度の歯周病の方: 歯を支える骨が溶けて歯が揺れている状態(動揺歯)にマウスピースを装着すると、就寝中の噛む力によって歯が抜け落ちてしまうリスクがあります。
- 残存している歯が極端に少ない方: マウスピースを適切に維持・安定させるための土台(歯)が足りないため、効果を発揮できません。
安全に使用していただくために まずは、虫歯や歯周病の治療を優先し、「お口の中を良い状態に持っていくこと」から始めます。土台が整って初めて、マウスピースを安全かつ効果的にご使用いただけます。
なお、当院での初期治療(虫歯や歯周病の治療)が必要な場合、適切な医療機関をご紹介させていただくことがございます。 もし、ご自身で通われている「かかりつけの歯科医院」がある場合は、あらかじめそちらで歯科検診や必要な治療をしっかりと終わらせてから当院へご来院いただくと、マウスピースの作製ステップへ非常にスムーズに進むことができます。
4. マウスピース完成までのステップ(手順)
当院での作製プロセスは以下の通りです。患者様の状態をしっかり確認しながら進めます。
- 初診・カウンセリング: 睡眠時のお悩み(いびき、歯ぎしり等)を詳しくヒアリングします。
- 口腔内検査(精密チェック): 虫歯や歯周病の有無、顎関節の状態、歯の残存状況を確認します。
- 初期治療(必要な場合のみ): 虫歯や歯周病が見つかった場合は、安全性のためにそれらの治療を完了させます。(※かかりつけ医での治療をお願いする、または他院をご紹介する場合がございます)
- 型取り: お口の型取り(または3Dスキャン)を行い、患者様専用の精密なデータを取得します。
- マウスピースの作製: 取得したデータをもとに、最適な設計でソフトマウスピースを作製します。
- 装着・微調整: 完成したマウスピースを実際に装着していただき、噛み合わせのバランスやフィット感を細かく調整します。
- 定期検診(メンテナンス): 使用状況の確認、素材の劣化チェック、お口の健康状態の維持のために定期的にご来院いただきます。
5. プレオルソユーティリティーの詳細・料金について
当院で提供している成人向けソフトマウスピース「プレオルソユーティリティー」のさらに詳しい特徴や、作製にかかる料金・費用につきましては、以下のページにて詳しく解説しております。ぜひご一読ください。
👉 プレオルソユーティリティー(いびき・歯ぎしり・食いしばり)の詳細・料金はこちら
6. ご相談・ご予約について
いびきや歯ぎしりは、放置すると歯の喪失や全身の不調につながる可能性があります。まずはご自身のお口の現状を正しく把握し、適切な対策を立てることが大切です。
アーベイン赤坂 5階の当院での診察をご希望の方は、以下のGoogleビジネスプロフィール(GBP)より詳細をご確認の上、ご予約をお願いいたします。
- クリニック情報・口コミの確認はこちら: PreBeau Oral Care のGoogleビジネスプロフィールを見る
- 初診・カウンセリングのご予約はこちら: オンライン予約ページ
皆さまの快適な睡眠と、健康な歯を守るサポートをさせていただきます。
参考文献・エビデンス(PubMed)
[3] マウスピースを安全に使用するための「健康な歯と歯周組織」の重要性(適応外の根拠) Doff, M. H., et al. (2012). Long-term oral appliance therapy in obstructive sleep apnea syndrome: a controlled study on dental side effects. Clinical Oral Investigations. (成人がマウスピースを装着し続ける際、歯の移動や噛み合わせの変化といった副作用を防ぐためには、事前の虫歯治療や、しっかりとした歯周組織(歯を支える骨)の健康が不可欠であることを示した研究)
[1] 成人向け口腔内装置によるいびき・睡眠時無呼吸の改善 Ramar, K., et al. (2015). Clinical Practice Guideline for the Treatment of Obstructive Sleep Apnea and Snoring with Oral Appliance Therapy: An Update for 2015. Journal of Clinical Sleep Medicine. (いびきや軽度〜中等度の睡眠時無呼吸症候群の成人に対して、マウスピース(口腔内装置)が気道を確保し、症状を効果的に改善することを示した公式ガイドライン)
[2] ソフト素材のマウスピースが歯ぎしり(ブラキシズム)から歯を守る物理的効果 Macedo, C. R., et al. (2007). Occlusal splints for treating sleep bruxism (tooth grinding). Cochrane Database of Systematic Reviews. (睡眠時の歯ぎしりに対して、マウスピースが上下の歯の直接的な接触を防ぎ、歯のすり減りや破折(ダメージ)を物理的に保護する有効性に関するシステマティックレビュー)